【2024年11月18日 為替相場レポート】
利下げ観測後退でドル買い優勢 円は反発基調も上値は限定的
2024年11月18日(月)の為替市場は、先週の米経済指標を受けて再燃したドル買いが中心となる展開でした。市場では、米連邦準備制度理事会(FRB)が年内の利下げを見送る可能性が再び意識され、ドルは主要通貨に対して底堅さを見せています。一方、円は堅調な戻りを試みるものの、日米金利差の縮小観測が重しとなり、上値には明確な勢いが出せずにいます。
本レポートでは、先週末の総括をはじめ、18日時点で注目される材料、主要10通貨ペアの価格帯動向、リスク要因、そして今後の見通しを包括的に整理します。
1. 先週末(11/15)の振り返り:ドル買い再燃
11月15日(金)、為替市場では米長期金利の上昇とともにドルが強含みました。特に、米国債の利回りが上がったことがドル円を押し上げ、ドルインデックス(DXY)もやや反発の動きを見せています。
この背景には、年内利下げ観測の後退があります。これまでは市場の一部で「12月の利下げ」が織り込まれてきましたが、最近の米指標や金利の反発によってその可能性が再評価されつつあるのです。
また、週末はリスク選好の動きが鈍くなり、安全資産である円にも買いが入りやすい地合いが形成されました。ただし、日銀の政策スタンスや長期金利を巡る日米金利差はまだ大きく、円の上値には限界感も同時に意識されています。
2. 11月18日時点での注目材料
● FRBの利下げ観測後退
市場で年内利下げはやや後退ムード。利下げを巡る過度な織り込みが一部巻き戻されつつあるため、ドル買い圧力が再燃しています。
● 日米金利差への再注目
日本の金利が低水準にとどまる一方で、米長期金利の上昇が進んでおり、金利差拡大を通じたドルの魅力が強まっています。
● リスク回避・安全資産需要
リスクオフ時に円やスイス・フランへの逃避が見られる可能性。特に大きな地政学リスクが顕在化すれば、円買い優勢が鮮明になる場面も想定されます。
● 来週の金融政策イベント
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日銀金融政策決定会合(11月末)が控えており、政策スタンスに注目が集まる
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米経済指標(物価、雇用など)によっては利下げ見送り観測がさらに強まる
3. 主要10通貨ペアの動向(レンジ形式)
以下は11月18日時点の想定レンジおよび背景を元にした見通しです。
3.1 ドル円(USD/JPY)
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レンジ:149.50~150.40円
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背景:米金利上昇と利下げ観測後退がドルを支える。円買いはあるが強さは限定。
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見通し:150円台前半を上限としつつ、下がれば149円台前半への調整も可能。
3.2 ユーロドル(EUR/USD)
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レンジ:1.065~1.074ドル
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背景:ドル買いの中、ユーロは金利差縮小リスクを意識される。
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見通し:ドルが反発すると1.06ドル台へ押される展開も想定。
3.3 ユーロ円(EUR/JPY)
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レンジ:159.00~160.20円
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背景:ユーロドルの弱さがユーロ円の上値を抑えるが、円自体の買いも限られる。
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見通し:160円台へのブレイクは材料依存。下限は159円付近。
3.4 ポンドドル(GBP/USD)
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レンジ:1.285~1.300ドル
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背景:英国の金利政策にも市場は慎重。ドル買い優勢が圧迫要因。
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見通し:1.29ドル台前半が心理的な節目。戻り売り圧力に注意。
3.5 豪ドル円(AUD/JPY)
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レンジ:98.50~99.20円
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背景:リスク資産回帰・円売りが下支え。ただし中国リスクなどはくすぶる。
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見通し:99円台前半での攻防。98円台への調整も視野。
3.6 NZドル円(NZD/JPY)
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レンジ:88.00~88.80円
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背景:RBNZの政策期待とともに円安の力が優勢。
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見通し:上限突破にはリスク選好継続が必要。
3.7 カナダドル円(CAD/JPY)
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レンジ:109.00~110.00円
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背景:原油価格が不安定だが、米金利によるドル安で買われやすい。
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見通し:110円台が重くても109円台は安定圏。
3.8 スイスフラン円(CHF/JPY)
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レンジ:169.50~170.50円
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背景:リスク回避で買われるが、主要通貨との金利差が限定的。
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見通し:170円台は戻り売り圏。169円台後半でのレンジが想定される。
3.9 米ドル/スイスフラン(USD/CHF)
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レンジ:0.900~0.910フラン
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背景:ドル買いが優勢。スイスフランは安全資産だが為替では抑制力不足。
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見通し:0.910付近での抵抗が強い。
3.10 米ドル/カナダドル(USD/CAD)
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レンジ:1.365~1.375加ドル
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背景:金利差と原油相場がレンジを形成。
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見通し:原油価格が支援材料となるかが焦点。
4. リスクと戦略の視点
リスク要因
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米利上げ持続または利下げ見送り観測の再燃
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地政学リスク:中東・欧州情勢の不透明性
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日本の政策転換:日銀の利上げ期待再燃や為替介入リスク
投資戦略(短期~中期)
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ドル円:150円前後での戻り売り or 押し目買いを交互に
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クロス円(豪ドル・NZドル):リスク選好時に買い余地あり
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スイスフラン:リスクオフ時に買われる可能性はあるが主体的なロングは慎重に
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USD/CAD:原油価格次第でレンジトレード有効
5. 総括:ドル再強化相場の到来と円の揺らぎ
11月18日の為替市場は、米利下げ観測の後退を受けてドルが買われやすい展開となっており、円安・ドル高基調が再強化されつつあります。利下げが後ろ倒しになるという見方が再浮上したことで、円は一時的な調整局面にあるものの、日米金利差の構造が強みを維持しています。
トレーダーにとっては、ドルを中心とした戦略と同時に、円や資源通貨の押し目を狙う戦略が有効な局面です。今週も米経済指標および政策イベントには最大限注意を払う必要があり、ポジションは慎重に設計したいところです。

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