2025年5月7日(水)、ゴールデンウィーク明け2日目の東京市場は本格的な取引再開ムードとなり、為替市場も再びボラティリティを増しつつあります。ドル円は再び160円台をうかがう展開、クロス円も上昇傾向が続き、市場全体に円安の波が押し寄せています。
前日5月6日の海外市場では、米国の経済指標が強めに出たことからドル買いが進行し、ドル円は159円後半へ急伸。ユーロ円やポンド円などのクロス円も連れ高となり、主要通貨ペアの多くが年初来高値圏に接近しています。
本記事では、最新の為替相場を主要10通貨ペアの視点から読み解きながら、今日の注目材料と今後の戦略について解説します。
■ 5月6日のマーケットハイライト
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ドル円:159.95円まで上昇。介入警戒がある中での高値圏推移。
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米ISM非製造業指数(4月):予想を上回る好結果(実績52.3、予想51.6)
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FOMCメンバー発言:パウエル議長は利下げに慎重姿勢。利下げ時期は依然として「データ次第」。
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米長期金利:上昇基調継続。米10年債利回り4.48% → ドル高支援。
これらの要因が重なり、為替市場全体でリスクオン・円売りの流れが顕著になりました。
■ 注目通貨ペア10選:個別分析
1. ドル円(USD/JPY):160円目前、介入リスクと背中合わせ
5月6日夜、ドル円は再び159.95円まで上昇し、心理的節目の160円を目前に足踏み。背景には、
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米経済の底堅さ(ISM指数、雇用指標)
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米利下げ観測の後退
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日本の金融政策の緩慢さ
があり、ファンダメンタルズ的には円売り圧力が継続。
しかし、160円突破=日本当局による為替介入の再警戒ゾーンとなっており、市場参加者は慎重さも増しています。
注目レンジ:158.80〜160.50円
2. ユーロ円(EUR/JPY):170円の壁に再接近
ユーロ円は169.70円まで上昇。ユーロ圏経済は回復の兆しが出始めており、ECBの利下げ観測があっても市場はポジティブに捉えつつあります。
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ドイツ製造業PMI:50.4と久々に景気拡大ライン超え
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インフレは鈍化しつつも、労働市場は堅調
円売り圧力が持続する限り、ユーロ円の170円突破は時間の問題との見方も増えています。
3. ポンド円(GBP/JPY):200円の大台が目前
ポンド円はついに199.80円まで上昇。英国の経済指標が意外と堅調であることが背景にあり、BOEの慎重な姿勢がポンドを下支え。
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5月9日に英中銀金融政策会合を控えており、タカ派姿勢が維持されれば200円突破も現実的。
注目ポイント:英CPIの推移と市場の利下げ織り込み
4. 豪ドル円(AUD/JPY):資源高とRBAスタンスで堅調
豪ドル円は108.85円まで上昇。RBAは追加利上げには慎重だが、インフレの鈍化が進まず金利を当面高水準で維持する姿勢。
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中国の製造業PMIが50.8と予想上振れ → 豪ドル買い
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鉄鉱石価格が再上昇 → 豪州経済に追い風
110円の節目を意識した展開へ
5. NZドル円(NZD/JPY):レンジ上抜けを試す展開
NZドル円は95.80円まで上昇。RBNZは依然としてインフレ懸念を強調しており、利下げ時期が不透明。
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豪ドルとの連動でじわじわと上昇
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RBNZ次回会合(5月22日)への思惑が交錯
テクニカル的には96.00円を明確に超えると、97円台も視野に入ります。
6. カナダドル円(CAD/JPY):WTI原油反発で117円台維持
CAD/JPYは117.60円で推移。原油価格の持ち直し(WTI:79ドル台)と、カナダ経済の底堅さが材料。
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BOCの利下げは7月以降が有力視されており、当面は金利据え置きの見通し。
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米ドルとの相関性が高いため、米経済の動向にも要注意。
7. スイスフラン円(CHF/JPY):安全資産としての強さ持続
CHF/JPYは176.80円付近。スイス中銀は3月に利下げを実施したものの、フランは地政学リスクヘッジ通貨として安定した需要あり。
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円よりも「堅調な安全通貨」として選好
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地政学的緊張(台湾・中東)=フラン買い
円安とのダブル効果で過去最高水準圏
■ ドルストレート通貨の動向
8. ユーロドル(EUR/USD):米金利上昇で再び下押し圧力
EUR/USDは1.0735ドルまで下落。ドル買い主導でユーロはやや軟調。
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米ISMや金利上昇がドル高を誘導
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ECBの7月利下げを市場が意識し始める
今後は1.0700のサポートを維持できるかが焦点。
9. ポンドドル(GBP/USD):相対的な底堅さを維持
GBP/USDは1.2560ドル。ドル高地合いの中でも、ポンドは強さを維持。
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BOEが利下げに慎重姿勢 → 相対的に金利差を維持
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英経済の粘り強さも評価
1.26を明確に上抜ければ再び上昇トレンドに
10. 豪ドル米ドル(AUD/USD):レンジブレイクに迫る
AUD/USDは0.6665ドル。ドル高と豪州の強めの経済指標の綱引き状態。
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米ドルの強さが重石
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豪中経済連動と商品市況改善が支え
0.67ドル台に乗せるにはさらなるリスク選好が必要。
■ 5月7日(水)の注目イベント
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パウエルFRB議長講演(日本時間23:00)
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米中貿易交渉に関する報道(突発リスクあり)
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ECB理事発言(利下げ時期のヒント)
また、ドル円が160円を明確に突破するか否かは、今夜の最大の焦点となるでしょう。
■ 中期展望と戦略
◇ 為替相場の中心テーマは「利下げの温度差」
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FRBはデータ次第のスタンスを維持し、早期利下げを否定
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ECB・RBA・BOCなどは夏の利下げ開始が視野
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日銀は緩和継続色が強く、円安圧力が持続
これにより、クロス円の上昇基調は当面続くと予想されます。
◇ テクニカル面では「節目意識」が鍵
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ドル円:160円突破→162円台へ? or 再介入で157円台調整?
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ポンド円:200円乗せ→長期レジスタンスに挑戦
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ユーロ円・豪ドル円:170円・110円の壁が迫る
ボラティリティが急上昇しており、**短期トレーダーにとっては「絶好のタイミング」**とも言えます。
■ 結論:160円が割れるか超えるか、為替市場は分岐点
2025年5月7日の為替市場は、「ドル円160円の攻防」が中心テーマです。介入警戒感が漂う中で、ドル高・円安がどこまで持続するかが試される一日となります。
その他の通貨ペアも、全体的にリスク選好・円売り地合いが継続。主要中央銀行の利下げ時期のずれが今後のトレンドを決定づけるでしょう。
次回注目イベント:
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5月9日(金):英BOE金融政策発表
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5月10日(土):米CPI(4月)
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5月13日(月):日銀金融政策決定会合 議事要旨公表
これらを通じて、次の波に備えることが肝要です。
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