【2025年6月11日 為替市場完全解説】 〜CPI発表前夜、ドル円は145円台を維持。市場はFRBと日銀の「沈黙」と「示唆」に揺れる〜

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🔰 はじめに

6月11日の為替市場は、米CPI(消費者物価指数)の発表を翌日に控えた「静けさの中の緊張」に包まれました。前週の米雇用統計の強さを背景に、FRBの年内利下げ観測が一時的に後退した一方、日銀は依然として利上げに慎重な姿勢を崩していません。こうした日米金融政策のスタンス差が、ドル円を145円台へと押し上げる主要因となっています。

本記事では、6月11日の市場動向を中心に、各種経済指標、中央銀行のコメント、地政学的背景を踏まえて詳細な分析を行い、翌日の重要イベントに備えた戦略指針も提示します。


📅 6月11日 為替市場の全体像

▶ ドル円(USD/JPY)

この日、ドル円は145.00円台を挟んで安定したレンジ相場を形成。朝方にかけてはやや軟調となる場面もあったものの、米長期金利の持ち直しに支えられて再び145円台へ復帰しました。

背景には、以下のようなファンダメンタル要因があります:

  • 6月12日に控えた米CPI発表:コアインフレが依然として粘着質とされており、FRBの年内利下げ観測の修正が入る可能性あり。

  • 米国10年債利回りは4.48%付近で安定:利下げへの期待がやや後退し、ドルの支援材料に。

  • 日銀の金融政策に関する慎重な姿勢:植田総裁の「性急な引き締めは望ましくない」との発言が引き続き円売り要因。

このように、材料待ちの中でもドル買い/円売りの地合いが維持されているのが6月11日の相場でした。


🔍 経済指標と市場心理

▶ 前週の米雇用統計の影響が継続

  • 非農業部門雇用者数(NFP)+18.7万人と予想を上回る内容

  • 平均時給上昇率も+0.4%(前月比)と予想超え

  • → 利下げ期待が一部後退し、米ドルに買い戻しが入る展開

この影響は週明け以降も持続しており、6月11日も「CPIが強ければ、9月の利下げも怪しい」との警戒感が相場に反映されていました。

▶ 米CPI発表を控えたポジション整理

  • 市場は**総合+0.1〜0.2%、コア+0.3%**を見込んでおり、予想通りであれば「無風」も想定されていた。

  • しかし、想定以上の結果が出た場合は、ドル高が加速する可能性が高く、ドル買いの先回りも見られた。

投資家は積極的なトレードを控え、リスクを限定した持ち高調整が優勢でした。


🏦 中央銀行のスタンス

▶ FRB(連邦準備制度理事会)

  • FOMCメンバーからの発言は限定的で、「経済指標を注視」との構え。

  • 一部メンバーは「インフレに対して確固たる進展を確認できるまでは慎重」とコメント。

➡ 市場は**「9月利下げは五分五分」**との見方を強めています。

▶ BOJ(日銀)

  • 植田総裁:「急ぎすぎる政策変更は、金融市場の混乱を招く」

  • 経済再開に伴う物価上昇は見られるが、安定的な2%超には至っていないとの見解。

➡ 引き締めスタンスへのシフトが遅れていることが、円売り圧力の背景


🌍 その他通貨の動き

▶ ユーロ(EUR/USD)

  • ECB理事会前で「6月利下げ」はほぼ織り込み済み

  • ドイツの経済指標も冴えず、ユーロは対ドルで軟調

EUR/USDは1.072~1.075の狭いレンジで推移

▶ 英ポンド(GBP/USD)

  • 英国の賃金統計が予想を上回り、インフレ粘着の懸念再燃

  • ただし、BOEの利上げは見送られるとの見方が主流

1.274〜1.280付近で持ち合い

▶ 豪ドル・NZドル

  • 中国の景況感改善がリスクオンを支援

  • 豪州・NZともに利上げ期待は限定的だが、コモディティ価格の上昇で下支え

AUD/USDは0.662〜0.667、NZD/USDは0.611〜0.615で堅調


📊 テクニカル分析:ドル円の現状と今後

指標 現状 説明
50日移動平均 143.85円 サポートラインとして意識される水準
200日平均 146.10円 長期トレンドの転換ライン
RSI 61(中立〜やや買われすぎ) 過熱感はなし
MACD 強気クロス継続 買いシグナル発生中

テクニカル上は、144.50〜145.50円のレンジ上限を突破すれば、146円台が視野に。
ただし、CPIの結果次第でどちらにもブレイクの可能性があるため、要注意。


🔮 今後の注目材料と戦略

📆 注目イベント

日付 イベント 影響
6月12日(水) 米CPI 強ければドル買い継続
6月13日(木) 日銀政策決定会合(開始) 利上げ示唆なら円買い反応
6月14日(金) 植田総裁会見 発言トーン次第で変動大
6月14-15日 G7サミット(イタリア) 協調介入の可能性に警戒

💡 トレード戦略提案(短期〜中期)

  • 短期(今週〜来週初)

    • CPI結果を確認後、145.50円突破なら146円台ロング追随

    • CPIが予想を下回れば、144円割れを試す展開も

  • 中期(6月下旬)

    • 米利下げ観測強まれば、ドル円は140円台後半までの調整も

    • BOJのスタンス次第では、円高圧力再燃のシナリオあり


📝 総括

2025年6月11日の為替市場は、まさに**「嵐の前の静けさ」**でした。米CPI発表前で取引は様子見ムードが強く、投資家は手控えムードの中でも、米金利と日銀のスタンス差を背景としたドル買い・円売りの地合いが継続しました。

ドル円はテクニカル的にも上放れを狙える位置にあり、CPIが強ければ146円超も見えてきます。
一方、BOJの利上げ可能性やG7での協調発言など、円高に振れる材料も同時に存在しています。

来週にかけては、「金融政策とインフレ指標」という市場最大の関心テーマが交錯する重要局面です。リスク管理と情報感度を高めて臨む必要があります。

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