【2025年6月18日 為替市場レポート】
地政学リスクと政策待ちが交錯:ドルは底堅く、円・フラン買い。ユーロと商品通貨に分かれる展開
1. 市場の概要
6月18日(水)の為替市場は、中東情勢の激化とFOMC(米連邦公開市場委員会)前の慎重姿勢が交錯した一日となりました。
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地政学リスク:イスラエルのイラン攻撃が続き、リスクオフ志向が強まる中、ドル・円・スイスフランが急伸傾向に転じました。特にドル指数と円に対しては1%超の上昇を記録za.investing.com+3reuters.com+3reuters.com+3。
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米FOMC控え:連邦準備理事会は15〜16日会合を予定しており、市場は据え置きながら将来見通しやバランスシート政策についての言及に注目。ドルは“待ち”の動きとなりました。
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BOJ方針変更:日本銀行は18年ぶりに長期金利の縮小ペースを減速する見通しを発表。景気・物価の不確実性に対応する姿勢が、円の強さを支える材料となりました。
2. 主要10通貨ペアの動向
2.1 USD/JPY(ドル/円)
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水準:145.0〜146.5円レンジで推移。
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背景:中東リスクを背景にドルが安全資産として買われ、一時145円台半ばまで急伸。BOJの慎重姿勢も追い風にhome.treasury.gov+9reuters.com+9reuters.com+9tradingeconomics.com+15reuters.com+15reuters.com+15。
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展望:FOMCの声明次第で一時的な調整はあり得るが、145円台キープが維持されやすい。中期的にはレンジ145–147円。
2.2 EUR/USD(ユーロ/ドル)
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水準:1.150〜1.157ドル。
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背景:ドル安が進む中、ECBがインフレ抑制達成に強気の姿勢を示し、ユーロは比較的堅調。だが地政学リスクで安全資産への逃避が優勢にreuters.com+14reuters.com+14reuters.com+14。
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展望:FOMC後のドル反動次第でユーロにも上値余地。1.17〜1.18ドルも視野入り。短期では1.145–1.160のレンジ。
2.3 EUR/JPY(ユーロ/円)
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水準:168–170円。
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背景:ドル円が堅調な中、ユーロドルの堅さに支えられて4営業日連続上昇。円全面安トレンドがユーロにも波及。
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展望:167〜171円レンジでの推移。FOMC後、BOJ動向によりブレイクも。
2.4 AUD/JPY(豪ドル/円)
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水準:92〜94円。
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背景:商品価格が安定する一方、地政学リスクでリスク通貨は圧迫。ドル円の影響が大きく、底堅然とした展開reuters.com+15reuters.com+15reuters.com+15。
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展望:リスク回避が和らげば再度93円突破も。92〜95円レンジが中心。
2.5 NZD/JPY(ニュージーランドドル/円)
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水準:84〜86円。
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背景:豪ドルと似た展開。NZ政策は安定だが、中東リスクで上値重し。
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展望:86円突破にはリスクオン環境が必須。短期レンジ:84〜87円。
2.6 CAD/JPY(カナダドル/円)
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水準:104〜106円。
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背景:原油価格が76〜77ドルへ上昇、支援材料。だが中東リスクによる円買いは重しに。
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展望:**105円台維持へ。106円突破へのチャレンジ可能も、円全面高には調整圧力。
2.7 CHF/JPY(スイスフラン/円)
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水準:178〜180円。
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背景:地政学リスクでフランへの資金逃避強化。円以上に強い動き。
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展望:179〜181円レンジを維持。リスク解消が見えない限り堅調継続。
2.8 GBP/USD(ポンド/ドル)
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水準:1.340〜1.350。
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背景:ドル買い戻しにつれてポンドは一時調整。英国もユーロ同様、ECBやBOEのスタンスが注目。
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展望:BOEによる政策変化や米指標で1.33〜1.36推移。
2.9 GBP/JPY(ポンド/円)
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水準:194〜197円。
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背景:円の強さが優先し、対ドル停滞と相まって調整色。
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展望:195円前後のレンジ継続。196円の壁突破に注目。
2.10 USD/CAD(ドル/カナダドル)
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水準:1.360〜1.375。
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背景:原油高でもリスクオフでドル買い優勢。
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展望:FOMC後の展開次第で1.36維持か、1.38上抜けも。
3. 市場の背景とマクロ要因
◆ 地政学リスク(中東、イスラエル・イラン情勢)
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紛争激化で原油価格が再び上昇(ブレント76.7ドル)し、市場心理がリスク回避。一時的とはいえ、ドル・円・フランへの資金流入が加速。
◆ FOMCへの思惑
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来週のFOMCでは据え置き見通しだが、今後の利下げシグナルや金融政策の引き締めペース減速方向が焦点。声明文のトーン次第で短期的にドルインパクト大。
◆ BOJの方針変更
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政策金利据え置き・バランスシート縮小ペース減速発表は、円高圧力を緩和。但し、政策スタンスは依然緩和的と受け取られ、円の下支え効果あり。
◆ ECBの動向
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欧州インフレはいったん落ち着くも、労働市場が強いため利下げペース鈍化。ユーロ上昇は支えあるが、ドルとの相対政策との兼ね合いが鍵reuters.com+15reuters.com+15reuters.com+15。
◆ ドルの中期下落トレンド
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2025年に入り、ドルは主要通貨バスケットに対し約10%下落。ただし、短期のリスクオフでの戻りは想定範囲。
◆ オプション市場の動き
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ドルプットの買いが依然継続され、オプション市場でもドル弱気が継続中reuters.com。
4. テクニカル観点と戦略アイデア
・USD/JPY戦略
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上値抵抗帯:146.50–147.00円。
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下値支持帯:145.00–144.50円。
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戦略:145.0円台で押し目買い、147円突破で利食い。急落時は144.50円で反転期待。
・EUR/USD戦略
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レンジ:1.150–1.160。
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ECBよりもFOMC後のドル動向重視。押し目買い主体。
・商品通貨クロス円(AUD/NZD/CAD)
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地政学リスクが和らげば反発狙い可能。反面、安全志向なら下落圧力強化。基本はリスクオン局面で買い、オフで売り。
5. 今後の注目イベント
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FOMC声明(6月18日):利下げシグナルや減速トーンが為替に直撃。
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米経済指標(小売、鉱工業等):ドル需給の材料。
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中東展開:地政学緊張が継続すれば為替相場が乱高下。
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ECB総裁・BOE発言:ユーロ・ポンドの材料に。
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原油価格の動き:商品通貨の方向性を左右。
🔚 総括
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ドル円・ドル指数はFOMC控えで底堅く地政学にも支えられ、145円台中心のレンジ展開。
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円とスイスフランは安全資産として強い動き。フランは特に堅調。
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ユーロはECB次第では上値余地あり。
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商品通貨は中長期では原油等に連動するが、短期ではリスク選好の展開に左右される。
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市場全体は政策・地政学・商品バランスの相互作用期に突入。イベント待ちの慎重姿勢が主流。
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