【2025年6月19日 為替市場レポート】
中東リスクとパウエル議長のインフレ懸念でドル全面高、円・スイスフランが優勢。商品通貨は全面下落。
1. 市場の概況
6月19日の為替市場は、以下の要素がクロスし、一時的な安全資産回帰とドル強含みが進んだ一日となりました:
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中東情勢の激化:イスラエル‐イラン間の衝突が7日目に突入し、米軍の関与も予想される中、地政学リスクがこの日も継続。市場では円・米ドル・金・スイスフランへの資金移動が強まりましたforex24.proreuters.com+6reuters.com+6reuters.com+6。
- FRBパウエル議長の発言:インフレ上昇の可能性を警告し、追加利下げを慎重に見ていると市場は解釈。ドルがリスク回避通貨として改めて強含みました
。
- 政策待ち展開:同日発表されたSNB(スイス国立銀行)の利下げ決定と、**BoE(イングランド銀行)**の利上げ観測が重なり、スイスフラン・ポンドに動意が見られました
。
これらの背景を受け、米ドル指数が+0.11%上昇し99台へ回復し、週単位でも約0.9%の上昇を記録、2025年1月以来の強さとなりましたreuters.com。
2. 主要10通貨ペアの動向
以下に、10通貨ペアそれぞれの当日の値動き、背景、今後の注目ポイントを詳解します。
2.1 USD/JPY(ドル/円)
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水準:145.06–145.18円で推移(Yahoo価格情報)finance.yahoo.com
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背景:中東リスク継続+パウエル議長のインフレ警戒発言が重なり、ドル・円ともに安全通貨として買われた結果、145円台を回復。朝方は144.73円を下回る場面もありましたが、終値近くで145円台を堅持。SNB利下げによりスイスフラン一部調整も、ドル円の上昇基調には影響限定。
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展望:短期では143.95円サポートテストから145円台回帰の動き期待。テクニカル的には下降トライアングル形を維持しつつ、上方突破の勢いが残ると見られますtradingeconomics.com+2forex24.pro+2forex.com+2。
2.2 EUR/USD(ユーロ/ドル)
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水準:1.1568–1.1576ドルmarketwatch.com+13reuters.com+13reuters.com+13
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背景:ドルが安全資産として全面売り戻しとなり、一旦ユーロに資金が向かう展開。ただ地政学的懸念がくすぶる中で、ドルの底堅さがユーロ高を抑制し、上昇は限定的に留まりました。ECB理事会直前でユーロの政策期待も先取り済み。
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展望:1.150–1.160ドルのレンジが想定され、ECB声明後にレンジ突破を探る動きが出そうです。
2.3 EUR/JPY(ユーロ/円)
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水準:168円前後
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背景:ドル円の上昇とユーロの底堅さによるダブル支援でユーロ円も上昇。ただ、地政学リスクによる円買い圧力も根強く、上値は限定的。
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展望:167–170円のレンジで推移。FOMC・ECB後押しがあれば上方トライの可能性。
2.4 AUD/JPY(豪ドル/円)
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水準:豪ドル円は144円超えのドル円に追随し軟調ながらも145円近辺まで上昇
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背景:商品通貨としてリスクオフ圧力には弱く、米ドルの安全回避動きに巻き込まれました。
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展望:90〜95円台で上下しやすい。地政学沈静化後には資源価格に連動して再反発可能。
2.5 NZD/JPY(ニュージーランドドル/円)
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水準:NZドル円も同様に140円思い前後で推移
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背景:リスクオフで豪ドルに続き軟調。ただし長期金利が比較的高いため、下落は比較的限定的。
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展望:80〜87円レンジの中で動き、80円割れが短期心理の分岐点。
2.6 CAD/JPY(カナダドル/円)
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水準:原油価格上昇一方で円買い圧力もあり、104〜106円水準で推移
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背景:商品通貨ながらも地政学リスクによるリスクオフが優勢。
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展望:原油高が続けば105円超え方向へ動きやすく、逆に地政学緩和では104円割れ圧力も予想。
2.7 CHF/JPY(スイスフラン/円)
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水準:0.814–0.8136CHF/USD ➜ 177–178円台へ
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背景:SNB利下げにも関わらず、安全資産としての圧倒的支持でフランが買われ続けました。円同様に通貨危機対応の資金が流入。
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展望:179–180円の攻防ライン。中長期ではSNB政策の方向性次第で上下に大きく動く可能性。
2.8 GBP/USD(ポンド/ドル)
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水準:ポンドはドルの安全志向に巻き込まれる形で軟調推移
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背景:BoEは利上げスタンス維持、とはいえ地政学リスクが優勢でポンド売り。
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展望:1.34–1.36レンジ内で推移。BoEのスタンス強化か米指標次第では方向感出る可能性。
2.9 GBP/JPY(ポンド/円)
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水準:194–195円
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背景:円の強含みに加えてポンドが軟調だったことから伸び悩み。
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展望:193–197円のレンジで注目。FOMC・BOE声明時の振れに要注意。
2.10 USD/CAD(ドル/カナダドル)
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水準:1.365前後reuters.com
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背景:ドルが安全資産として買われ、原油高のカナダドルが圧迫される形に。
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展望:1.36–1.38レンジで上下、原油か地政学で方向転換注意。
3. マクロ背景と市場の構造
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中東リスクが為替への最大テーマ:地政学リスク継続が円・フラン・ドル強化の引き金となり、商品通貨・新興国通貨が軟調。各国株にも影響。
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ドル指数の回復局面:年初来で約10%下落から、政策と地政学での需給改善で底入れ態勢に。
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FRB慎重スタンス:パウエル議長がインフレ懸念を示し、理事会では利下げ数引き下げ観測も一部現実味。
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SNBの利下げ:スイスフランの一時反落も、安全資産としての地位は揺るがない。
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BOJの慎重縮小ペース:長期債発行見直しで円高圧力抑制策継続中。
4. 今後の注目イベント
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FOMC声明(6/18)/パウエル記者会見:今後の利下げ軌道とインフレ見通しへの示唆。
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ECB/BoE/SNB会合発表:各通貨に明確な影響を与えるため、スケジュールに注視。
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地政学次第:週明けの中東情勢次第でリスク通貨が更に軟化する可能性。
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原油価格動向:商品通貨に対する影響は依然大きく、動向に注意が必要。
5. 投資戦略
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ドル円:本日145.0–145.5円の節目を上抜ければ、146円チャレンジも視野。急落時は144円ミドルで買い場に。
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安全資産通貨(円・フラン):短期でのトレード向き。円185円以上での調整や793円狙いも視野。
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商品通貨(AUD/NZD/CAD):地政学緩和後が反発チャンス。中長期姿勢で抗リスクポジションを組む。
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ユーロ/ポンド:ECB・BoE発言待ちでレンジ形成。ブレイク狙いの仕掛けに対応。
🔍 まとめ
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中東リスク継続により安全通貨強含み、ドル回帰トレンド強化。
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FRBパウエル発言とSNB利下げのダブル作用で政策期待との連動相場。
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今後、FOMC声明→BOE/SNB→地政学の順に相場材料の消化過程へ移行。
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10通貨ペアすべてに短動~中期戦略が必要なイベント相互作用の重要日に。
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