【2025年6月20日】為替市場ファンダメンタルレポート
― BOJタカ派分岐、地政学でドル堅調、円高圧力に揺れる相場 ―
1. 総括:三つの要因が交錯した重要な一日
6月20日(金)の為替市場は、大きく3つのファンダメンタル要因が同時に作用し、非常にダイナミックな展開となりました:
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中東リスク再燃:イスラエル・イラン問題でエネルギー価格が乱高下、ドルの「安全資産」需要を刺激 。
- BOJミニッツ公表:政策会合では利上げ継続への賛成多数だが「一時停止」の主張もあり、タカ派と慎重派で意見割れる
。
- 米ドル週間高値形成:地政学、Fed声明からのドル買い、原油高に一服感 → ドル指数週間最高更新
。
2. ドル円の動きと基調
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USD/JPYは145.67円付近で推移, 前日比‐0.09%の微下落も、週間ではドルの上昇が継続 energynews.oedigital.com+7asahi.com+7reuters.com+7。
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地政学リスクやBOJのタカ派志向が重なり、円には短期的な売り圧力、ドルは「防衛的強さ」を見せています。
3. 中東情勢と市場心理
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地政学リスク継続で原油高圧力継続 → エネルギー通貨には円安圧力 。
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一方で、即断的な米軍介入には慎重な姿勢も出始めており、原油は75~77ドルでの揺れ動き 。
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市場は「円安+ドル高」の流れを静かにフォローしつつ、地政学イベント待ちモードへ。
4. BOJミニッツ分析:利上げ継続へ、期待と警戒
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BOJの政策委員会ミニッツによれば、おおむね「緩やかな利上げの継続」が支持された一方で、一部のメンバーは材料不足を理由に一時停止を提案 。
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インフレ見通しは弱含み(成長・消費ともに慎重姿勢)。米関税リスクと中国景気停滞への警戒が調整派の背景に 。
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結果、日本の金利見通しは「緩やかな上昇シナリオ」に据え置き。これは円に対する短期的な売り圧力と中長期円高圧力の同居という微妙な構図を生み出しました。
5. 米ドルの週次強さと「逃避先通貨」役割
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ドル指数は前週から約0.45%上昇、月内では最強週となっており、地政学+Fed後の反応が複合的に作用 reuters.com。
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特に、**Fed声明後のリスク回避(ドミナント・ドル買い)**と、原油高への懸念一服感が背景となっています。
6. 主要通貨ペア別動向
通貨ペア | 6月20日の動き | 背景・解説 |
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USD/JPY | 145.0~146.0円のレンジ | 地政学とBOJの影響でセンチメント高揚 |
EUR/USD | 1.149→1.144台へ反落 | ドル全面高に押されユーロは軟化 |
AUD/USD | 0.648→0.642へ下押し | 資源国通貨もリスクオフ圧力に飲まれる |
USD/CHF | CHF は堅調もドルは底固い動き | リスクオフ通貨としての円と共通点 |
7. テクニカル分析:レンジ拡大か?
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USD/JPYは三角持ち合いパターンの上抜け中 forex.com+5asahi.com+5reuters.com+5。サポートは143.95円付近、レジスタンスは148.35円まで上値余地ありとの見方も。
8. 投資戦略(短期〜中期)
短期(今週〜来週前半)
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ドル円ロング戦略:145〜146円で維持。BOJ方向が明確化すれば146円突破可能性も。
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EUR/USDショート:1.145付近を抵抗とした小反発からの戻し狙い。
中期(次月まで)
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BOJ次会合(水準次第):7月には明確な利上げ継続or一服が回答。円高転換リスク注意。
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地政学リスク緩和:原油下落・株高・資源通貨反発の流れがドル調整局面に。
9. 今後注目イベントカレンダー
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中東情勢の行方:米軍の関与・和平進展が焦点化。
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BOJ次回会合:判断の分かれ目。為替対応ともリンク。
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米経済指標:ISM購買&小売売上 → ドル需給に影響。
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中国第2四半期GDP:リスクオン/オフ評価の鍵。
10. 総まとめ
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地政学リスクとBOJの分岐が市場センチメントを不安定化。
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ドルは安全資産として買い戻され、円/ユーロ等は下押し圧力が強まる展開。
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来週を見すえるには、BOJと中東情勢の動向が為替中心の分岐点になる可能性大です。
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