【2025年7月10日 為替市場レポート】 ドル底堅くも圧迫続く:Fed分断と貿易リスク、円独歩高・ユーロ伸長・リスク通貨に二分化

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【2025年7月10日 為替市場レポート】

ドル底堅くも圧迫続く:Fed分断と貿易リスク、円独歩高・ユーロ伸長・リスク通貨に二分化


1. 市況概観

  1. ドルは調整局面へ
     7月10日、ドル指数は小反発も伸び悩む動きに。米債買いが一部セーフティ需要を支えたものの、全体的には底堅いながらも上昇余地は限定されました

  2. Fed内の政策分岐鮮明に
     6月のFOMC議事録公開により、一部メンバーが7月利下げを支持する一方、多数は慎重姿勢。市場では当面据置き姿勢が強まったと受け止められています

  3. 米の関税宣言がリスク通貨を混乱させる
     ブラジルなどに対する銅関税50%の打診を含む新関税措置が注目されたものの、アジア・欧州市場では思ったほど売られず、政治ショックには免疫がある様子

  4. 円は米圧力軽視の材料
     元為替官・浅川雅嗣氏によれば、米国はプラザ合意のようなドル全面介入を求めない見通しで、日本の円高圧力には構造的な限界があるとの見方が示されていますザ・タイムズ+6Reuters+6ニューヨーク・ポスト+6


2. 10通貨ペアの動向・分析

2.1 USD/JPY【ドル/円】

  • 水準:146.30円(+0.14%)トレーディングエコノミクス

  • 背景:ドルは米債買い支えも、日本円は円高圧力の反動で調整入り。

  • 注目:144–148円のレンジ継続。米債利回りと円需要動向が鍵。

2.2 EUR/USD【ユーロ/ドル】

  • 水準:1.1749ドル(+0.25%)Economies.com

  • 背景:EUとの貿易交渉進展期待とドル弱を背景に回復。

  • 展望:1.17–1.18レンジ回復。貿易関連ニュースで1.19へのブレイクの可能性。

2.3 EUR/JPY【ユーロ/円】

  • 水準:約172円(1.1749×146.3)

  • 背景:ドル円上昇とユーロ回復の相乗反応。

  • 展望:170–174円レンジ。貿易協議進展が上値圧力要因。

2.4 AUD/JPY【豪ドル/円】

  • 推定水準:約98円台前半(ドル・豪ドルの動きから推定)

  • 背景:リスク通貨への資金流入、豪ドル高に連動。

  • 展望:96–99円レンジ。中国・原油・米債利回りに反応。

2.5 NZD/JPY【ニュージーランドドル/円】

  • 推定水準:約90円前後

  • 背景:豪ドルと同様の動きで戻る展開。

  • 展望:88–91円レンジ。豪・NZの政策姿勢が影響。

2.6 CAD/JPY【カナダドル/円】

  • 水準:約106円台中盤

  • 背景:原油は微動だが、ドル調整によりCAD戻り。

  • 展望:105–108円。特に原油指標と米債利回りに敏感。

2.7 CHF/JPY【スイスフラン/円】

  • 推定水準:約180円台前半

  • 背景:ドルへの不信が安全通貨スイスフランに資金流入。

  • 展望:179–183円レンジ。地政学リスクが上昇材料に。

2.8 GBP/USD【英ポンド/ドル】

  • 水準:小幅反発、推定1.18ドル前後

  • 背景:ドル弱+英国景気期待。

  • 展望:1.17–1.19レンジ内で動意。BoE・英経済指標に反応。

2.9 GBP/JPY【ポンド/円】

  • 推定水準:約173円台

  • 背景:ドル円とポンドドルが連動し、ドル反落で押し上げ。

  • 展望:170–175円レンジ。流動性に注意。

2.10 USD/CAD【ドル/カナダドル】

  • 水準:約1.375前後

  • 背景:ドル調整により上昇圧力。

  • 展望:1.37–1.38レンジ。原油・Fed政策で変動余地あり。


3. マクロ・政策・市場心理

● Fedの分裂と金融政策の方向性

FOMC議事要旨では、利下げ派と据置派が拮抗し、「急ぐ必要なし」とのメッセージ。多くは9月まで据置く見通しforex.com+4トレーディングエコノミクス+4Reuters+4Economies.comReuters+2Reuters+2Economies.com+2

● 新関税リスクが限定的影響

ブラジルへの50%銅関税は実質市場インパクト薄。米内での商談継続もあり、重大ショックにはつながっていません

● ドルの構造的下押し

年初来で10%超下落。貿易政策の不透明と財政赤字拡大、Fedの「混乱状態」が重なる構図

● 円圧力は限定的

浅川氏によると、米国は日本への強制円高を狙わず建設的対話路線維持。圧力は継続するが限界が明示

● 夏薄商い・ボラティリティ環境

薄商いによる値動きの拡大リスクあり。市場は小規模ニュースにも敏感に反応する傾向継続中。


4. テクニカル視点と投資戦略

通貨ペア レンジ予想 戦略見通し
USD/JPY 144–148円 中立レンジ売買継続、146円超は上値トライ可
EUR/USD 1.17–1.19 貿易ニュース反応で順張り、押し目買い
AUD/NZD/CAD AUD:96–99円
NZD:88–91円
CAD:105–108円
原油・チャイナ・米債に敏感。押し目買い中心
CHF/JPY 179–183円 安全通貨として反応、地政学要因注意

5. 今後の注目トリガー

  1. 貿易交渉進展・対EU米協議

  2. Fed政策会合(7月29–30日)および利下げ見通し

  3. 来週の米CPI・雇用統計

  4. 中東リスクや地政学動向

  5. 夏季薄商い回避策


🔍 総括

  • ドルは底堅い反応を示しつつ、構造的には下押し圧が優勢。

  • Fedの分断ゆえ、早期利下げ観測は一旦後退。しかし市場は9月切り下げ期待を維持。

  • 円高圧は続くが米側の圧迫は限定的。中期では146円前後のレンジ戦略に分散投資。

  • 貿易交渉や米財政問題がドルの方向性を左右。ユーロ、リスク通貨の反転にも注目。

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