【2025年7月11日 為替市場ファンダメンタル徹底診断】
— 関税ショック再燃でもドル堅調、アジア通貨に局地的混乱、構造変化は継続中
① 新関税発表で揺れる市場とドルの強さ(0.6%高)
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本日、トランプ大統領がカナダへ35%、多国へ15‑20%の新関税を発表。これによってカナダドルやユーロ、円、豪ドルなどが一瞬売られる展開となりましたReuters+1Reuters+1。
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ドルはむしろ高含みに転じ、ドル指数は0.8%上昇、149円台へ迫る強さを見せています。週間で+0.8%の上げとなり、依然として大きく下落した上半期からの反発局面が継続中。
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GSは「ドルはもはや安全資産ではなくリスク資産のように反応しやすい」と警鐘を鳴らしており、市場潮流の変化を示唆しています。
② 米ドル耐性の理由:ファンダメンタルの裏側
A. 政治ショックでも相対的優位
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関税発表は短期的に各国通貨に圧力をかけましたが、市場はもはや冷静対応し「織り込み済み」視点に移行しています(アジア市場は限定反応)。
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米景気・雇用統計が強く、Fed利下げ懸念は後退し、一方でトランプのFed圧力も影響限定との見方が強固化中。
B. 債券・コモディティとの波及相関
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米10年債利回りは4.36%に上昇。これがドル買いの背景となっています。
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原油は68.9ドル、金は3,337ドルと安定状態。ドルとの連動が逆転し、ドル吸引力が強まる様相となっています。
③ アジア通貨圏の「耐え・反応・連鎖」
● インドルピー(INR)
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米ドル強含みにより85.70‑85.74レンジへ弱含み。ただサポート85.50は堅固との見方ありfx.co+2Reuters+2Reuters+2。
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1ヶ月フォワードプレミアムやNDFにもドル強圧力が反映され、インド市場でもリップルが波及中。
● 中国人民元・韓国ウォン
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関税発表にも市場は限定反応。人民元は中国当局の介入方針が支え材料。一方、ウォンは「主力アジア通貨連動」の動き有り。
● カナダドル・ブラジルレアル
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カナダドルは35%関税衝撃で一時急落。NZD/AUDも短期調整圧あり。一方、ブラジルレアルは穴埋め警戒で数%の急落Reuters+3Reuters+3marketwatch.com+3。
④ テクニカルチェック:ドル円とクロス円
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ドル円:抵抗=147円近辺。145.5‑146円台で反発継続。サポート=146→145→144円の重ね型。
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EUR/USD:1.167→調整へ。ドル強反応だが、上昇トレンドは依然継続。
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AUD/USD:豪ドルは0.7‑0.8%調整。これはRBA利下げ観測や関税ショックにより一時反落の可能性。
⑤ 投資戦略と向き合い方(短期⇆中期)
🕒 短期戦略(数日)
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ドル円ロング狙い:146‑147レンジで利幅獲得。SL=145.5、TP=147。
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EUR/USDショート:1.17前後の戻り売り。TP=1.16。
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資源国通貨のプルバック戦略:AUD/JPYショート・CADショート。
🕰 中期戦略(数週間〜)
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ドル構造弱継続想定:ドル円142‑144ゾーンへ目安。EUR/USDは1.18突破を狙う。
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ヘッジ・オプション絡め:USDプット、EURコールなど、為替リスク低減策重視。
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アジア通貨連動投資を検討:INR・KRW・TWD絡みの複合構成で分散収益追求。
⑥ 本日注目すべき観察ポイント
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✅ トランプの追加ツイートや関税進展
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✅ 米10年債利回りとドルインデックスの変動
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✅ アジア通貨の支持ライン突破・反発状況
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✅ 米企業決算(Q2)とFed要人の見解
🔚 総括
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本日は関税ショックが起こったにも関わらず、ドルが逆行・堅調推移。これは市場の懸念分散力と構造的なドル需要の結果です。
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アジア通貨・資源国通貨には局地的圧力あり、特にブラジル・カナダ周辺は短期変動に注意。
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戦略構造は短期レンジショートorロング、中期ドル弱軸の構成。
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今後は、トランプ発言、米債利回り、Fed動向、対アジア政策進展の4軸を戦略に入れて対応する必要があります。
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