【2025年7月17日 為替市場レポート】
Fed危機と日米関税リスク、政権レベル交渉動向が重なる中、ドル反発も円・リスク通貨は揺らぐ展開
1. 市況概観:Fedリーダーシップ疑念・関税リスクの交錯
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Fed議長・パウエル解任報道で市場動揺
トランプ前大統領がパウエル解任の可能性に言及し、一時市場はドルと米利回り急低下を警戒。後に否定報道もあり混乱の中でドル指数は98.5前後へ揺れる展開となりました Reuters+1バロンズ+1。 -
米生産者物価指数(PPI)が想定以下の伸びに
6月のPPIは前年並みに留まり、9月利下げ期待を強めつつも、Fedの独立性懸念が短期調整を加速 。 -
アジア通貨軟化・日本円弱含み
アジア通貨はFed不透明感で総じて下落。日本では上院選を控え、与党の不利観測と米関税への警戒から円売りが優勢となりました 。 -
インド・ルピーも軟調圏維持
米情勢懸念で86ルピー台に回帰。輸出業者のドル売りで85.8~86.1レンジが示唆されます Reuters。
2. 主要10通貨ペアの詳細分析
2.1 USD/JPY(ドル/円)
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水準:148.50円前後 Reuters+10トレーディングエコノミクス+10DailyForex+10
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背景:Fed混乱でドル買戻し、円は選挙懸念と関税談判で軟調維持。
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展望:147–150円レンジでの推移。米金利と日米交渉材料がキーファクター。
2.2 EUR/USD(ユーロ/ドル)
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水準:1.16前後 → 小反落 AP News+15monetamarkets.com+15Reuters+15
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背景:ドル反発でユーロは調整。PPI弱含とFed政策混乱も支え材料。
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展望:1.155–1.17レンジ継続。ECB動向や欧米交渉ニュースで方向感変化。
2.3 EUR/JPY(ユーロ/円)
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水準:約172.5円(1.16×148.5)
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背景:ドル円高+ユーロ横ばいの複合影響で高値圏。
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展望:170–175円レンジ。東京選挙・関税・ECB指標がトリガー。
2.4 AUD/JPY(豪ドル/円)
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水準:約95円台前半に軟化 トレーディングエコノミクス+3monetamarkets.com+3DailyForex+3
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背景:豪指標弱含みとリスク回避気味の円買で調整色。
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展望:94–97円レンジ。RBA演説、中国指標、米金利が影響。
2.5 NZD/JPY(ニュージーランドドル/円)
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水準:約87円台
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背景:豪ドル同様に調整。ただしNZ政策やインフレ指標で上下余地。
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展望:86–89円レンジ。
2.6 CAD/JPY(カナダドル/円)
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水準:106円ミドル維持
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背景:ドル買いと原油安圧力混在。関税リスクもCADに影響。
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展望:105–108円。原油変動を注視。
2.7 CHF/JPY(スイスフラン/円)
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水準:約180円台
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背景:地政学的安全通貨需要がドルにも円にも並行支援。
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展望:179–183円レンジ。
2.8 GBP/USD(ポンド/ドル)
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水準:1.20~1.205 → 小反落傾向
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背景:ドル反発でポンドも調整基調。英国インフレ・BoE期待が下支え。
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展望:1.19–1.21レンジ。
2.9 GBP/JPY(ポンド/円)
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水準:約178円台
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背景:ドル円・ポンドドル動向混合で高値維持。
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展望:176–180円。
2.10 USD/CAD(ドル/カナダドル)
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水準:約1.395 → 前日終値からドル強反応 Reuters+3Reuters+3Reuters+3
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背景:ドル買い強めでCAD反落。原油低迷と合わさりドル優勢の構図。
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展望:1.38–1.40レンジ。原油とFed+関税材料の影響が目立つ。
3. マクロ・政策・市場心理
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Fedへのパウエル解任ショック:市場は一時ドル・米利回り低下に反応したが、構造的にはドル買いに転換 。
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米PPI弱含が利下げ期待を継続:September cut odds up 。
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日本上院選控えと米関税圧力が円圧迫:輸出鈍化と選挙懸念に挟まれて円は重い展開 。
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アジア通貨軟化ムード優位:Fed懸念と政治リスクで一斉に下落、中ではルピーが86円台で方向性追う様相 。
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夏季薄商いとイベント待ち相場:選挙明け、関税進展、Fed・ECBに向けて方向感見極め局面。
4. テクニカル分析と戦術戦略
通貨ペア | レンジ予想 | トレード戦略 |
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USD/JPY | 147–150円 | 上限突破狙い順張り、下限反発の逆張り |
EUR/USD | 1.155–1.17 | 上端での戻り売り、下端近辺で買い狙い |
AUD/JPY | 94–97円 | RBA・豪指標で押し目買い・利確 |
USD/CAD | 1.38–1.40 | ドル反発重視→上限トライの順張り |
CHF/JPY | 179–183円 | 上端接近で利確、下端から買い戻し |
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重要トリガー:Fed発言、日米交渉、PPI/CPI、選挙結果、原油・輸出指標動向。
5. 今後の注目イベント
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日本参議院選挙(7月21日):円・輸出・政権安定に影響。
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米関税交渉の進展:米–各国関係見直しでリスク通貨に変化。
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Fed議長の去就明確化:市場混乱の再燃抑制には核心。
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Fed/ECBの長期スタンス発言:9月以降の利下げ見通し変化。
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日銀・BOJ理事講演:円高圧に対する政策許容度注目。
🔍 総括
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Fed解任報道→ドル一時調整も、結果的にドル強含み優勢に。
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円は政権・選挙・関税リスクで重圧下継続、輸出関連への影響も懸念材料。
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アジア通貨はFedリーダーシップの混乱で軟調、ルピー等エマージング歓迎策持続中。
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リスク通貨(豪NZ加)は調整基調へ戻り売りチャンスあり。
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イベント材料重視の薄商い相場、常に変化に備えたレンジ&順張り戦略が最適。
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