【2025年7月25日 為替市場レポート】
ドル反発・円は戻り売り圧力継続:貿易交渉と中央銀行付きまとめ週末展望
1.マーケット総覧:ドルの週末上昇とリスク選好の複雑な交錯
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アジア株式は利益確定売りで反落。特に日経・TOPIXは記録的高値からやや調整しましたが、市場全体では週の取引を締めくくる様相です。
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ドル指数は2週間安値から反発し、週ベースで上昇。日本の不透明性や堅調な米経済指標がドル買いの後押しに。特にドル/円は147.37まで上昇しました。Reuters
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ゴールドは3,368ドル台付近でやや調整も、週間で上昇。金市場はドル軟化に支えられながらも、貿易交渉進展でリスク志向が強まり安全資産需要はやや後退。ReutersReuters
2.主要10通貨ペアのポイント分析
通貨ペア | 現状水準(日中動き) | 背景・要因 | 注目ポイント | 戦略の視点 |
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USD/JPY | 約147.37円(日足+0.3%) | 米経済指標堅調、政治不安含み、日本の債券売り圧と戻り場面。 | Fed・BOJ会合、8月1日の関税期限、日銀の追加声明 | 中立レンジ145–149円。押し目買い+ブレイク順張り狙い |
EUR/USD | 約1.1743(やや下落傾向) | ECBは利下げ停止、米・EU交渉進展期待でユーロ流動性確保。 | ECB発表(本日)、米CPI・貿易交渉の進行 | 1.165–1.18レンジで戻り売り&押し目買い併用 |
EUR/JPY | 約173.0円推定 | ドル円とユーロドルの複合影響。ユーロは小幅調整。 | 欧州指標、日銀の為替発言 | 170–174円レンジ。上方ブレイクで順張り戦略可 |
AUD/JPY | 約97.0円前後 | リスクオン通貨への資金流入継続。原油・鉱物市況も好調。 | RBA発言、中国PMI、商品相場動向 | 95–98円レンジ。押し目買いベース、利確ライン明示 |
NZD/JPY | 約89.0円 | 豪ドル連動で円安圧力を継続中。 | RBNZ政策、NZ国内指標、水準判断 | 87–90円レンジ。相場軌道次第で押し目買い |
USD/CAD | 約1.385(ドル優勢維持) | ドル主導の背景が影響。原油も小動きながら底堅い反応。 | 原油在庫・BoC会見、米雇用統計 | 1.36–1.40。ドル強なら順張り、押し目買い狙い |
CAD/JPY | 約107円推定 | 原油・ドル円の同時上昇要因が相乗。 | OPEC声明、BoC声明、米関税素材 | 105–108円レンジ。上昇時利確、下押しで買い |
CHF/JPY | 約182円前後 | 地政学リスクや金価格支えも円安圧でフラン優位。 | 欧州金融動向、地政学、不透明感 | 179–183円。イベントで利確/戻り売りを検討 |
GBP/USD | 約1.3581ドル | ドル強だが英国の財政・景況期待で下支え。EU合意観測も影響。 | BoE会合、英指標、EU交渉進展 | 1.34–1.36レンジ。戻り売り主体、状況次第で順張り |
GBP/JPY | 約199.8円 | GBP/USD・ドル円の流れで高値圏維持。 | ポンド指標、日米情勢から複合推移 | 196–200円。上限で利確、下限付近で押し目買い |
3.マクロ背景と市場心理
🔹 貿易交渉の四重苦 → 関税期限間近
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米国は8月1日までに合意なければ追加関税との強硬姿勢を継続。市場は交渉延期によるリスク顕在化を懸念中。forextraders.com+13Reuters+13Reuters+13Exchange Rates+2forextraders.com+2Reuters+2
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米–EU交渉で15%枠の合意可能性が報じられ、ドルへの圧迫感も一因。投資家心理を左右する焦点に。Sucden FinancialReuters
🔹 中央銀行イベント前の静けさ
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ECBは7月24日に金利据え置き(2%)と発表し、今後の動きは不透明。市場は9月の利下げ観測を続けています。フォレックス+3Reuters+3Reuters+3
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Fedの利下げ観測も9月に先送りされる見通し強まる。利上げ圧力やタリフ・財政政策がドル支持要因。forextraders.comReuters
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BOJ会合(来週)の声明への注目高まる。インフレ圧力と政治不透明性が円の構造的方向を決定づけるか。ReutersReuters
🔹 商品・債券・リスク資産動向
🔹 ドルの信頼性と脱ドルの潮流
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2025年に入り、ドル信認に対する懐疑が高まり。欧州・円・スイスフランへの分散志向の傾向が強まっています。boj.or.jp
4.戦略的トレード視点と留意点
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レンジ回転が中心戦術:USD/JPY は145–149円レンジ継続見通し。押し目買い+抜けたら順張り。
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イベントトレードの重要性:Fed・BOJ会合、貿易交渉、米雇用統計やApple/Metaなどの決算発表が次週材料の中心。ReutersReuters
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商品通貨には原油や鉱物市況の連動性が見られ、一段の上昇余地あり。
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安全資産への分散ヘッジ:CHF/JPY や CHF/USD は地政学リスク時に反応強め。
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薄商い期間のボラティリティ警戒:夏場ゆえ、小動きニュースでも価格変動が拡大しやすいためストップ設計に注意。
5.今後の注目スケジュール
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州日米・EU・中国との交渉進捗(特に8/1関税期限)
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日銀・BOJ金融政策会合(7月末)
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Fed政策発表・パウエル講演
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米雇用統計(非農業部門)・CPI/PPIデータ
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主要ハイテク企業決算(Amazon, Apple, Meta, Microsoft)
🔍 総括
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ドルは堅調維持も信認不安が並存し、貿易交渉とFed発表待ちの構え
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円は短期で戻りを試すも中長期では円安圧力優勢、BOJ声明・選挙関連が重要トリガー
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商品通貨(AUD, CAD, NZD)はリスク選好で堅調に推移
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戦略は「レンジ内押し目+ブレイク順張り」。重要イベントにはトリガー感覚で対応を
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