【2025年7月29日 為替市場レポート】
ドル首位回帰か:米・EU合意が示した“リスク払拭”構図。円は148台前半、ユーロ・ポンドは軟調。
🔍 1. 本日のマーケット総覧:ドル全般に強く、リスク選好と貿易安心感が交錯
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米・EU貿易合意でドルが復活
米国とEU、日本間の一連の貿易枠組み合意により、市場の不確実性が後退。これを映してドルが全般的に上昇し、特にユーロに対して1%超の上昇を記録、ドルは“関税リスクプレミアム” を剥ぎ取られる形で買われていますforextraders.com+10Reuters+10Forex+10。 -
ユーロは急落、欧州政治の反発も影響
ユーロは前日比約▲1.3%の下落、直近1.1584付近まで調整。フランスやドイツ首脳から「EUは譲歩した」との批判が強まり、ユーロ圏の経済見通しへの懸念へと拡大しましたReuters+1Reuters+1。 -
アジア株は反落、MSCI Asia‑Pacific指数▲0.8%、日経平均▲0.9%
リスク許容進展と共に投資家の一部は利益確定へ。中国株は横ばいで堅調維持も全体としてやや重い展開ですReuters+1Reuters+1。 -
商品・債券:原油急騰、金は高値圏維持も調整入り
ロシア制裁懸念や地政学リスクから原油が急伸(Brent 約70ドル台)。一方、金は一時3,315ドル前後まで上昇したものの、ドルの戻りに調整気配も出ています。債券利回りは比較的安定していますForex Factory+15Reuters+15Reuters+15。 -
重要中央銀行会合を控えた静観ムード
FRB・ECB・BOJはいずれも当面据え置き観測だが、声明文や講演に市場は敏感に反応を見せています。
🧭 2. 主要10通貨ペア:水準と背景・戦略を整理
2.1 USD/JPY(ドル/円)
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水準:約148.2円前後、前日からやや円高反応も底堅さ維持
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背景:ドル強・原油上昇などから円圧迫継続。貿易合意での円安圧も影響。
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戦略:147.5–149円レンジ維持を想定。押し目買い優位、148.5円台なら利食いも視野。BOJ声明とFedコメントに警戒。
2.2 EUR/USD(ユーロ/ドル)
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水準:約1.1584ドル(前日▲1.3%)
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背景:米・EU合意とユーロ圏批判報道で急落。独仏首脳から「損害」懸念発言。ECBの政策先慰期待薄。
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戦略:1.155–1.17レンジ想定。戻り売りメイン。ECB議会発言待ち。
2.3 EUR/JPY(ユーロ/円)
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推定水準:約171.7~172円(1.158×148.2)
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背景:ドル円調整で上値重く、ユーロ調整も影響。
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戦略:170–174円レンジ中心に上下反応注視。上限突破で順張り検討。
2.4 AUD/JPY(豪ドル/円)
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推定水準:0.6524ドル×148.2 ≒ 96.6円
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背景:豪ドルは堅調維持、リスク通貨買い戻しの影響。原油安にも耐える構え。
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戦略:95–98円レンジ押し目買い主体。中国PMIや鉱物市況の強弱が反応材料。
2.5 NZD/JPY(ニュージーランドドル/円)
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推定水準:0.5970×148.2 ≒ 88.5円
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背景:NZドルはほぼ横ばい、豪ドルとの類似動向。
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戦略:87–90円レンジ中心に押し目買い。NZ政策指標動向重視。
2.6 GBP/USD(ポンド/ドル)
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水準:約1.3338ドル、2カ月ぶり安値付近
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背景:ドル全面高に伴いポンドが圧迫。英国景気見通し不透明感も影響。
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戦略:1.33–1.35レンジ内で戻り売り。BoEコメントやEU貿易交渉に敏感。
2.7 GBP/JPY(ポンド/円)
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推定水準:1.3338×148.2 ≒ 198円前後
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背景:ドル円上昇分に加えポンド軟化影響で円換算では持ち高維持。
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戦略:195–200円レンジ。上限圏での利確/下限での押し目対応可。
2.8 USD/CAD(ドル/カナダドル)
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水準:原油高背景もドル強継続→約1.37中盤前後
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背景:カナダドルは商品通貨ながらドル高に圧され調整色。
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戦略:1.36–1.38レンジ。ドル強なら逆張り売りより押し目買い主体。
2.9 CAD/JPY(カナダドル/円)
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推定水準:1.37×148.2 ≒ 約203円(注:極端な算出値のため四捨五入的) -> 実際は約106円台維持。
※正しいはUSD/CAD計算反転でCAD/JPYは107円前後 -
背景:原油高+円安相場でカナダドル円堅調。
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戦略:105–108円レンジ。原油材料への連動を追う。
2.10 CHF/JPY(スイスフラン/円)
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水準:地政学懸念とドル強により約182円台維持
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背景:金価格高止まりと兼ね、安全通貨需要持続。
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戦略:179–183円レンジ。イベント時の利食い・戻り売り対応推奨。
⚡️ 3. マクロ環境と市場心理
◆ 米・EU/米・日本貿易合意の“逆風消失”
これにより市場の「関税リスクプレミアム」が剥落し、ドルが金利差と連動する本来の動きへ復帰していますReuters+2Reuters+2Reuters+2。
ユーロは明確に“負け組通貨”とされ、日欧比較でも弱含み。
◆ ドル優勢→政府債務懸念との綱引き
米債利回りは高止まり、しかしFRBの利下げ観測は後退。ドルは金利差の影響に回帰しつつありますReuters。
◆ 日銀・ECB・BoEの“静かな週末待ち”
いずれも当面政策維持と見られていますが、声明・講演や8月頭の重要指標で雰囲気変化の可能性あり。
◆ 多様化進むドル離れ・ヘッジ行動
BOJ前副総裁・中曽氏のコメントによれば、ドル支配体制に“亀裂”の兆しがあり、分散志向が徐々に進むとの見方もForsyth Barr Investment Services+1Reuters+1。
◆ 夏季薄商いによるボラティリティ増幅
流動性低下で小さな材料にも過敏反応。イベント相場の急斜面トレードには注意。
🧠 4. テクニカル視点とトレード戦略まとめ
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USD/JPY:145–150円レンジ。147.5円以下では押し目買い重視、149円台から上方ブレイク狙い。
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EUR/USD:1.155–1.18レンジ。1.16台で押し目、1.17前後で戻り売り戦略が軸。
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AUD/JPY・NZD/JPY:95–98円/87–90円。商品市況に連動した押し目中心の回転トレード。
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GBP/USD & GBP/JPY:1.33–1.35/195–200円。ドル主導の中でポンドの上下振れ動に注意。
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USD/CAD & CAD/JPY:1.36–1.38/105–108円。原油連動軸で上下反応展開。
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CHF/JPY:179–183円。地政学リスクや金価格反応時の逆張り有効。
📅 5. 今後注視すべきイベント
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ECB会合(7/31)と声明内容
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BOJ金融政策会合(7月末)および植田総裁発言
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米雇用統計やGDP速報、FRB要人講演
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米中国間の貿易協議進捗
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原油・金など商品市場の地政学反応
📌 総括
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米・EU・日間貿易合意が、「ドル強化+ユーロ・円への圧力」局面を促進しています。
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ドル指数最大の週として回復し、他通貨との対比で構図が明確化。
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ユーロは対ドル・対円共に軟調基調、米欧合意の歪さに反応。
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円は148円台中心に安定も、BOJ政策と選挙後処理が不透明材料。
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商品通貨(AUD/NZD/CAD)はリスク志向下で押し目買い有利。
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戦略の基本は「レンジ回転中心、イベント前後のブレイク順張り」。特にECB・BOJ決定を控えて慎重なポジション運用が求められます。
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