【2025年8月12日 為替市場・ファンダメンタル徹底分析】
— 貿易“休戦”による安心感とFRB政治懸念が交錯。CPI前のドル展開を全方位で読み解く
1|本日の市場概況:ドルは堅調、注目はCPI発表へ
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米中貿易協定が90日延長となり、対中関税は現状維持。これによりリスク回避色が後退し、グローバル株が上昇、日本の日経は年初来高値を更新ReutersAP News。
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米ドルは主要通貨に対して落ち着いた動きを維持し、ドル円は 148.4円、ユーロは $1.1622、ポンドは $1.3426、ドル指数は約98.48でほぼ横ばいReuters。
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市場最大の関心は米7月CPI(消費者物価指数)に移っており、年率2.8%、コアで3.0%と予想されている中、その結果次第で9月FOMCでの0.25%利下げの可能性が影響を受ける見通しReuters+1。
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トレーダー達はCPIの結果を恐れ、金利や為替のボラティリティに備えたスタンバイ状態ですReuters。
2|注目ファンダメンタルポイント①:対中 “休戦”による為替への安心効果
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今回の関税延長で緊迫ムードが緩和され、市場には**「通商リスク後退 → リスクオン回帰」**のムードが広がっています。
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株価上昇に加え、ドルへの圧迫材料が削減されるため、ドル安圧力がじわじわと増している構図ですReutersAP News。
3|注目ファンダメンタルポイント②:FRB人事の不透明性がドル信認を揺るがす
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Bessent財務長官が「FRB新議長は組織検証力を持つ人物であるべき」と発言。このタイミングでの発言が、FRBの独立性への懸念として市場に波紋を投げかけていますReuters。
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Trump氏によるBLS(米労働省統計局)長官解任や、データ信頼性への疑念も受け、「経済データそのものがドルの信用を下支えするか」の不透明感が市場に広がっている状況ですバロンズReuters。
4|主要通貨・マーケットの動意
ドル円(USD/JPY)
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148.4〜148.5円で堅実推移。150円超からの一歩手前で、水準維持の動きです(テクニカルでは上昇余地ありと確認)。
ユーロドル(EUR/USD)
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$1.1622で停滞中。ドル堅調に押されつつも、貿易安心感に支えられ戻り余地あり。
ポンドドル(GBP/USD)
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$1.3469付近へ上昇。BOEは利下げ継続見送りが多くの議員で合意しており、賃金高によってインフレ抑制への慎重姿勢が支援材料にReuters。
豪ドル/ルピー
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豪ドルは若干軟調(RBA利下げ継続の可能性を背景に)Reuters。
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インド・ルピーは中銀据え置き+グローバルリスク回復に支えられつつ、堅調。
5|今後注目のイベントカレンダー
日付 | 注目イベント |
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本日 | 米7月CPI発表(焦点:インフレ見通しの修正) |
今週 | FRB理事人事発表、米小企業景況感、財政データ発表 |
今週 | RBA発表(利下げ継続の可否)、BOJ中銀見通し確認 |
CPIでインフレ鈍化示唆があれば、ドル安リターンと金利低下でドル円再下落の可能性あり。逆にインフレ堅調なら利下げ観測が遠のきドル堅調持続という展開に。
6|戦略提案(短期・中期)
短期(〜1週間)
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ドル円:149円台前半で戻り売り、148割れで押し目買い。
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EUR/USDロング:$1.165付近まで押したら利食い狙い。
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ポンド買い:利下げ懸念後退シナリオでは上昇余地。
中期(数週間〜1ヶ月)
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ドル構造安継続想定:ドル円142〜145円帯、EUR/USD1.17〜1.20をターゲット。
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アジア通貨・資源通貨バスケット運用:AUD/NZD/INRなどを組み合わせた分散ポートフォリオ戦略。
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ヘッジ手段としてプットオプションなどの活用を検討。
7|まとめ:CPI前夜は「市場の静けさ」が強さを示す
本日は、米中貿易一時休戦、FRBの独立性疑義、そしてCPI発表待ちという三つの大きな波に挟まれた「静かな中の難局の前触れ」状況です。
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ドルは堅調だが、構造的には脆弱。政策見通しとデータ信頼性次第で変動余地大。
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投資家は短期リスク(CPIショック)と中期トレンド(ドル弱基調)を両睨みした柔軟ポジション構築が肝要です。
市場の注目が最高潮となる見通しで、冷静な待機姿勢とイベント後の迅速対応力が成果を左右するタイミングです。
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