【2025年8月13日 為替市場レポート】
ドル調整と利下げ観測後退の狭間:CPIの影響と中銀人事観測が相場心理を揺らす
1. 市況概観:ドルは軟化も底堅い、株高続く背景には米CPIと対中配慮
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米7月CPIは前年比+2.7%、前月並みの+0.2%上昇を記録。米中間の摩擦懸念軽減等が背景に、Fed利下げ確率が9月に98%に高まる構図にReuters+1。
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ドル指数は98.02へ下落。ドル円は147.76、ユーロドルは1.1676とドル軟調ながら底堅く推移Reuters+1。
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アジア株は堅調。日本の日経平均は4万3,000超で最高値更新。インドのSensex・Niftyも0.8%上昇と景況感反転の兆しReutersThe Economic Times。
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中銀人事・独立性への懸念も広がる。トランプ政権がパウエル議長への影響やFed独立性に介入する姿勢を見せ、市場には警戒感もReuters。
2. 主要10通貨ペアの動向と戦略
通貨ペア | 現状水準 | 背景と材料 | 今後の戦略ポイント |
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USD/JPY | 147.76円 | 米CPI抑制+米中交渉楽観でドル弱含み、円は中立。BOJ人事・地政リスクに敏感。 | 147–149円レンジ中心。下限で押し目買い、上限接近で利確・小幅売り。BOJ声明前後に注目。 |
EUR/USD | 1.1676ドル | ドル調整でユーロ買戻し。ECBの利下げスタンスの根強い懸念あり。 | 1.16–1.18レンジで戻り売り基軸。1.18ブレイク→順張り狙い。 |
GBP/USD | 約1.3504ドル | ドル弱、ポンドは英雇用軟化との相殺で小反応。 | 1.34–1.36レンジ維持。戻り売りメイン、BoEイベント以降の需給変化注視。 |
AUD/USD | 0.6526ドル | RBA利下げ観測・ドル弱含み。商品市況と中国経済指標に連動。 | 0.64–0.66レンジ。押し目買い優勢、0.66突破トレンド狙い。 |
USD/CAD | 約1.370 | ドル弱だが商品通貨高を支える原油、CAD強含み。 | 1.36–1.38レンジ。ドル調整時は利食い、原油急騰でCAD戻し位置取り。 |
CAD/JPY | 約107円 | 円・ドル動向を受け、商品通貨らしく底堅い。 | 105–108円レンジ。商品イベント時に順張り・逆張り。 |
EUR/JPY | 約172.6円 | USDJPY底堅く、ユーロドルも安定。円の地政リスクは小さいが底堅さ維持。 | 170–174円レンジ。上下限で売買、上抜け順張りも候補。 |
GBP/JPY | 約199円 | GBP/USDとUSD/JPYの複合影響。 | 195–200円レンジ。上限で利確、下限で押し目狙い。 |
CHF/JPY | 約182円 | 安全通貨としての反応を継続。地政学緊張で反応強め。 | 179–183円レンジ。逆張り利確候補に。 |
INR/USD | 87.71ルピー | インドCPIへ保守的期待、丁寧な上昇基調。 | CPI前に持ち高調整待機。イベント後の反応で売買。 |
3. マクロ背景と市場心理の深掘り
米CPIは予想通りも影響は限定的?
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7月CPIは前年比+2.7%、月次+0.2%と緩やかな上昇を維持。コアは+3.1%でやや加速も、Fed買い安心材料となり、利下げ期待を減速させないReuters。
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市場では9月利下げ確率が98%に高まり、米債利回りは小反落して価格(債券)を支えていますReuters+1。
ドルは弱含むも基調は崩さず
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米中交渉の先送り、Fed利下げ期待の再燃が自律反動を誘発。ドル軟調だが、金融政策や人事介入リスクが支えに回帰Reuters+1。
日本円は中立圏へ回帰
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CNYイベントや地震といった一時材料により円は反応しつつも、構造的円安圧の中では調整の範囲に収まっています。BOJ人事・利上げ観測の変化は台風の目になり得ます。
アジア新興通貨は慎重ながら底堅い展開
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ルピーや同地域は米インフレ抑制や株高背景、また中央銀行の介入姿勢により安定推移。だが突発イベント時は注意が必要ですThe Economic TimesBitcoinWorld。
4. テクニカル視点とトレード戦略
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USD/JPY:147–149円レンジ。ただしFed/BOJイベント時は一時脱レンジブレイクも視野。
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EUR/USD:1.16–1.18レンジ。上限で戻り売り、下限で押し目買い。
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GBP/USD & GBP/JPY:1.34–1.36/195–200円レンジ。イベント通過後にトレンド開始可能。
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AUD/USD, USD/CAD, CAD/JPY, AUD/JPY:商品通貨はレンジ中心、商品連動イベントで反応有。
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CHF/JPY:安全通貨反応型。地政学懸念=買い→戻しで売り検討。
5. 今週〜来週の注目イベント
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米7月CPI(13日)、小売売上(14日)
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Fed理事人事・パウエル再任/後任論
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25–27日 Jackson Hole(金利見通し)
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欧州インフレ・ECB見通し発表(15日頃)
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BOJ金融政策会合(27日)
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英・豪・印 CPIや経済統計
総括
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8/13は米CPIの結果で相場が折り合いを試す一日となり、ドル調整・株高継続の構図が強まりました。
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ドル円は底堅い動きが続く一方、地政学・BOJ人事次第では材料相場へ転換も。
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主要通貨はレンジ戦略が中心となるが、イベントをきっかけとしたブレイクも警戒。
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商品通貨・安全通貨・新興国通貨などは個別テーマ連動を意識したサブ戦略が有効。
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