【2025年8月14日 為替市場ファンダメンタル総まとめ】
— CPI後のドル調整、FRB人事の影響、BOJターニングポイント、そして今後の戦略
グローバル市場概況:利下げ観測と株高だがドルは弱含み
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米CPIを受けてドル指数は2週間ぶりの安値圏へ下落(約97.8台)。投資家の利下げ期待が強まり、9月利下げ確率が90%超に達したとCME FedWatchが示しています InvestopediaBusiness Insider。
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米国株(S&P, Nasdaq)は最高値更新の一服感。MSCI世界株は小安、アジア株は高値圏維持 The TimesReuters。
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米長期債利回りが低下し、ドル弱と連動して円・金などの安全資産が買われる動きが加速しています。
米CPIとPPI:インフレ鈍化・利下げ観測がドルを抑制
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7月CPIは前年比+2.7%、コア+3.1%と市場予想より高かったが、ヘッドライン鈍化との組み合わせで利下げ期待が逆に高まりました Business InsiderInvestopedia。
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PPI(卸売物価指数)の結果も見極め対象となっており、これ次第でドルの次の動意が左右されそうです。
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金融市場では、「利下げ+インフレ鈍化でドル圧迫→債券・金上昇+リスク通貨買い戻し」という連鎖が継続しています。
FRB人事への注視:信頼性への疑念がドルに影を落とす
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トランプ政権によるFRB理事(Miron候補など)の人事動きが進行中、市場では**「Fedの政治介入→独立性低下→ドル信認の傷痕」**を懸念する声が強まっています ニューヨーク・ポストバロンズ。
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加えて、FRB幹部の間でも利下げタイミングに温度差が見られ(Bostic、Goolsbee、Barkin等が慎重姿勢)、政策の不安定感が依然強い Investopedia。
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投資家からは「ドルを主要保有通貨として信頼できるか?」「データ操作の可能性はないか?」といった根本的な疑念も浮上しつつあります。
BOJと日本円:上昇圧力再燃に対する警戒感
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ドル円は150円超え一歩手前で、BOJによる介入観測が燻る状況。地政学リスクや債券利回り動向との兼ね合いで急騰急落の可能性も高い Reuters+1。
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テクニカルでは現水準約147〜150円が中期レンジの上限ゾーンと見られており、150円突破には条件整備が必要です。
その他通貨動向:欧州・英・資源・アジア
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ユーロドルはドル安の流れで1.166付近まで反発も、ECBは依然として「9月・12月利下げシナリオ」を背景に慎重姿勢 ケンブリッジ通貨capitalstreetfx.com。
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英ポンドはBOEが利下げ据え置きの可能性が高く、上値余地を模索中(現1.346付近) The Times。
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資源通貨(AUD, NZD, CAD)はドル弱に反応し上昇。オーストラリアではインフレ圧力低下による利下げ観測が支援材料に。
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インド・ルピー、韓国ウォンなどアジア通貨もドル弱+リスク選好回帰に支えられ堅調推移。
テクニカル観点:ドル円中心で見る今の位置
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20日移動平均は約149円前後。149円割れは短期調整サイン、150円超えできれば「新レンジの上限テスト」 ケンブリッジ通貨Mid Forex。
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RSI(14日)は55前後、MACDは横ばい〜弱気寄り。勢いはないが方向感も定まらず。
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サポート水準:148円 → 147円 → 146円。上値抵抗:150→151円。
投資戦略:短期・中期の視座で整理
短期(本日〜1週間)
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ドル円:
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149円台前半でショート利食い狙い。
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148円付近で押し目買い。
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150円突破時はストップ損切り or 転換ロングも視野。
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EUR/USD:ドル安反応時にロング追加(1.17目指し)。
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GBP/USD:BOE据え置き→利上げ期待材料でロング。
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金・債券:安全資産買いが継続条件。ポジション追加の余地あり。
中期(数週間〜数ヶ月)
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ドル構造安継続:年末に向けてUSD指数は再下落。USD/JPYは142〜145円、EUR/USDは1.18以上を視野。
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通貨バスケット戦略:EUR, GBP, AUD, INRなどに分散配置。
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ヘッジ手段:USDプット、EURコール、金関連ポジション。
注視ポイント:要注目イベント
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✅ 8月27日 BOJ会合:政策姿勢の明確化がリスクイベント。
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✅ FRB理事人事発表:Powell後任確定が方向性の契機。
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✅ 米11日付ISM・雇用統計:利下げタイミングの再検証材料。
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✅ OPEC+・ロシアプーチン会談:原油価格がリスク通貨へ波及。
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✅ 米中・米欧通商交渉進展:関税・協定の追加交渉が通貨心理へ影響。
総括:イベント待ちの「レンジ構築期」到来
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本日は、CPI→ドル調整、利下げ観測→ドル圧迫、FRB独立疑念→構造的重圧、BOJ旋風→円サポートと、非常に多層的な相場環境でした。
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現在は「イベント待ち+レンジ構築期」入り。レンジの範囲はドル円148~150円、EUR/USD1.162〜1.175付近と見られます。
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運用上は、「レンジ内の戦略的利食い&押し目拾い」の繰り返し設計と、イベント後のボラティリティを活用したアグレッシブな逆張り部署を併用する二軸構造が理想です。
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特にヘッジ付きドル売り(プットオプションや非ドル資産比重増)を検討する段階に入りました。これが次週以降のカギとなるでしょう。
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