【2025年8月15日 為替市場レポート】
ドル横ばい・インフレ懸念再燃・BOJの距離とリスク通貨の揺らぎ
1. 市況総観:絡み合うインフレと政策観測、通貨が模索する安定へ
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米国PPI(卸売価格指数)が3年ぶりの高水準へ急騰(月間+0.9%)。これは消費者物価(CPI)とは別に、市場が抱いた利下げ見送り期待とドル圧力との綱引きを複雑化させました(turn0news44, turn0news48)。
→ ドルは「一部反発」も、下落圧力とのジレンマで値動きは方向感に欠ける展開。 -
円はGDP堅調の日本を背景に0.3%の上昇。それに加え、BOJへの「利上げを慎重に検討すべき」との政府コメントが重なり、円への支援材料となっています(turn0news45)。
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金利では米2年債が3.726%、10年債が4.2849%と高水準維持。Fedはインフレと弱い雇用の間で政策舵取りに難航しています(turn0news44)。
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仮想通貨市場ではビットコイン・イーサリアムが反発。金と共にリスク資産への資金シフトの兆しです(turn0news44, turn0news47)。
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ロシア・ウクライナ関連でのトランプ–プーチン会談が注目材料。地政学リスクとして通貨市場に波及する可能性あり(turn0news44)。
2. 10通貨ペアの現状とトレード戦略
通貨ペア | 水準・動向 | 背景・材料 | 戦略ポイント |
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USD/JPY | 147.8円前後 | 高PPI → 米上値不透明、円は利上げ観測とGDPで底堅い。 | 147–149円レンジ。押し目買い主体、BOJ要人発言後に動き確認を。 |
EUR/USD | 1.17前後(やや堅調) | ドル軟化支えもECB利下げ懸念がユーロ上値を抑制。 | 1.16–1.18レンジ。戻り売り中心。1.18超えで順張りも視野。 |
GBP/USD | 1.35前後 | ドル軟化反応あり。英経済指標とBOEに敏感。 | 1.34–1.36レンジ。イベント時対応は逆張り優先。 |
AUD/USD | 0.652付近 | 商品市況堅調+ドル軟化支援。 | 0.64–0.66レンジ。押し目買い主体。 |
USD/CAD | 1.37前後 | ドル軟化も原油支えでCAD堅調。 | 1.36–1.38レンジ。動き出しに対応。 |
CAD/JPY | 約107円 | 円支え+商品通貨特性で安定推移。 | 105–108円レンジ。商品反応で振り回し対応。 |
EUR/JPY | 約172.6円 | ドル円調整+ユーロ横ばいで中立位置。 | 170–174円レンジ。上抜ければ順張り。 |
GBP/JPY | 約200円 | 両ドル含みで高止まり圏。 | 195–200円レンジ。上限で利確、下限で買い。 |
CHF/JPY | 約182円 | 金・地政リスクで反応しやすい。 | 179–183円レンジ。イベント時逆張り検討。 |
INR/USD | 約87.7ルピー | インフレ懸念緩和期待、堅調推移。 | CPI発表待ちで変動時に対応。 |
3. マクロ展開と相場心理
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PPI急騰 によって、Fedの利下げ期待が冷却、ドルへの再評価調整が進行中(turn0news48)。
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日本側も利上げ期待が台頭。ただし、財務大臣はBOJの独立性を重視し、政策介入を否定する姿勢を示しています(turn0news45)。
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仮想通貨市場の反応は、リスク許容度の復調を示唆。マクロ資産分散の流れを後押ししています(turn0news47)。
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地政学リスクの再浮上:トランプ–プーチン会談が思惑相場へ移し替えられる可能性あり。
4. トレード戦術ポイント
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レンジトレード絶好期:USD/JPY, EUR/USD, AUD/USDなど中心に、上下限での売買が安定的。
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イベント敏感型戦略:PPIや地政学ニュースに備えストップ・利確を柔軟に設定。
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リスク通貨活用:仮想通貨や金の反応は投資心理の先行指標。一時的なキャリー戦術に併用検討。
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安全資産・円戦略:地政学ショックがあればCHF/JPY, USD/JPYで安全通貨買い検討。
5. 今後注目イベント
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Jackson Hole(8/22–24):パウエル講演が注目。
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米債入札・トランプ–プーチン会談の内容。
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BOJ次回会合(8月末)の見通し表明。
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インフレ継続/鈍化トレンド:PPI/CPIフォロー。
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主要企業決算(ハイテク・消費財)と中国景況感指標への反応。
総括
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8月15日は、米PPI急騰が市場心理に複雑な圧力を掛け、ドル・利下げ期待・円支えの力学がせめぎ合う展開。
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通貨ペア全般はレンジ中心だがσ内での上下振れが特に目立ち、イベント後に新たなトレンド発生も視野に。
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トレードの鍵は「材料への即応性」と「レンジ回転の徹底」です。特にJackson Hole、地政学ニュース後の動きを押さえることが重要です。
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