【2025年8月6日 為替市場レポート】
ドルは焦点の分岐点:雇用・サービス停滞が警戒感を刺激。円反応、政策期待と貿易懸念が混在する中で次週中銀イベントへ
Ⅰ. 市場総覧📌
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アジア株は米国の経済指標悪化と昨夜のウォールストリート安を受け軟調。MSCIアジア太平洋指数が▲0.2%下落する一方、日経はわずかに上昇と地域差が鮮明に(turn0news25)。
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米7月サービス業が停滞し、雇用減少・コスト上昇を示唆。景気とインフレが同時に弱まる“スタグフレーション懸念”が再燃(turn0news25)。
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トランプ政権が半導体・医薬品に新たな関税を発表、インドへの追加関税も示唆。市場では今後の物価・雇用への長期影響を警戒(turn0news25, turn0news27)。
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一方でインフレ抑制期待もあり、ドルは直近高値から調整、9月のFed利下げ期待がさらに高まる展開(turn0news26, turn0news34, turn0news23)。
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トレーダーは次週に控えるFed理事候補発表やパウエル議長人事決定に注目。トランプ氏は週末中に指名を行う見通し(turn0news21)。
Ⅱ. 主要10通貨ペア分析
通貨ペアごとに、水準・背景・注目材料・トレード戦略を整理しました。
① USD/JPY(ドル/円)
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水準:約147.3–147.4円前後でやや円高圧力も底堅い。
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背景:ドルは金利利下げ期待で調整も、円は安全資産買い戻しによる支えあり。
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注目材料:Fed理事人事/パウエル後任・BOJ声明・米債利回り動向。
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戦略:146.5–149円レンジで中立運用。押し目買いを中心に148円付近で利食い検討。BOJ要因で上振れトレンドにも対応。
② EUR/USD(ユーロ/ドル)
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水準:1.158–1.160台半ばに軟調。
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背景:ドルは弱含みながら、ユーロはECBの利下げ見通しとEU不振で調整圧強い。
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注目材料:ECB声明・ユーロ圏CPI/GDP・米インフレデータ。
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戦略:1.155–1.17レンジ。下限付近は買い目線・上限接近時は戻り売り中心。
③ EUR/JPY(ユーロ/円)
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水準:約171円前後(ユーロドル×ドル円換算ベース)。
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背景:ドル円調整とユーロ軟調の両影響で重圧続く。
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戦略:170〜174円レンジに収束予想。ブレイク時には順張りの展開を想定。
④ AUD/JPY(豪ドル/円)
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水準:約96円台前半。
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背景:リスク通貨回復と円の底堅さが共存。商品市況への連動強まる。
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注目材料:中国PMI、RBA声明、鉱物市況・原油価格。
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戦略:95〜98円レンジで押し目買い基調。98円突破は順張りチャンス。
⑤ NZD/JPY(NZドル/円)
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水準:88円前後。
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背景:豪ドルとの連動性強く、NZ政策見通しも影響。
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戦略:87〜90円レンジ。押し目買い重視、商品市況やNZ要人発言に対応。
⑥ GBP/USD(ポンド/ドル)
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水準:約1.333ドル前後、約2カ月ぶり安値圏。
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背景:ドル主導の上昇および英国景気の不透明感が重荷に。
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注目材料:BoE声明・英CPI/賃金統計・EU交渉展開。
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戦略:1.33〜1.35レンジ。戻り売り主体、上限抜け条件付きで順張り可能。
⑦ GBP/JPY(ポンド/円)
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水準:約197〜198円。
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背景:GBP/USD、ドル円の組合せによる動き。
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戦略:195〜200円レンジ。下限で押し目買い、上限で利食い狙い。
⑧ USD/CAD(ドル/カナダドル)
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水準:約1.370〜1.375前後。
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背景:ドル主導の中、原油など商品圧迫も混在。
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戦略:1.36〜1.38レンジ。ドル強時に買い各戦略。原油急変時は柔軟対応。
⑨ CAD/JPY(カナダドル/円)
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水準:約107円前後。
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背景:商品通貨としての需給と円の地政学反応が交錯。
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戦略:105〜108円レンジでの押し目買いや利確対応。
⑩ CHF/JPY(スイスフラン/円)
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水準:約181〜182円。
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背景:金価格や地政学懸念の中、安全資産としての支持継続。
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戦略:179〜183円レンジ。イベント時には逆張り利確も検討可。
Ⅲ. マクロ/市場心理トレンド
● Fed分断とデータ信認への不安
アナリストはFed独立性・データ整合性への懸念から、ドル弱傾向を予測。Goldman SachsやBarclaysも、ドルの長期下落トレンドを見込む見解強め(turn0news23)。
● 利下げ期待の急加速とドル圧力
9月利下げ確率は94%超、年内複数回利下げも視野に。市場では買戻しの一方でドルの中期的弱含見通し根強い(turn0news34, turn0news26)。
● 貿易懸念とスタグフレーション懸念
新たな関税施策がインフレと雇用悪化を同時に進行させる可能性あり。企業収益圧迫や消費停滞リスクにも注意が必要(turn0news25, turn0news27)。
● 日本円のオフショック反応
地震による津波警報などで円の安全資産需要が再燃。短期反応的には円支持に繋がるも、構造的円安圧力継続の可能性も。
● 夏季薄商いの増大
市場流動性は限られ、些細なニュースやイベントで急変動する不安。特に主要中銀の声明前後はポジション管理が重要。
Ⅳ. 戦略・トレードポイント集
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レンジ中心の安定運用:USD/JPY、EUR/USD、AUD/JPYなど主要通貨はレンジ上下での押し目・戻り売りが基本。
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イベントトレードに備える柔軟性:Fed理事人事、ECB/BOJ会合、インフレ統計、企業決算などに連動してポジション整理を。
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商品通貨の相関性活用:AUD、NZD、CADは原油・鉱物相場との連動を重視し、反応を狙う。
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安全資産ポジションの逆張り機会:金・CHF・JPYの急反応には利確対応も含めた逆張りチャンス。
Ⅴ. 今後の重要イベントスケジュール
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8月14日:米CPI(消費者物価指数)
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8月22–24日:ジャクソン・ホールシンポジウム(Powell講演)
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8月27日:BOJ利政策決定
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ECBおよびBoEの政策ステートメント
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米雇用統計(9月5日予定)とFedメンバー発言
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米・中/米・インド/米・EU貿易進展
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