【2025年9月22日 為替市場レポート】ドル安基調続くも円は伸び悩み、ユーロとポンドに注目集まる
2025年9月22日(月)の外国為替市場は、先週末から続くドル安基調を引き継ぎつつも、円高の勢いがやや鈍化する展開となりました。米株式市場が安定を取り戻していることからリスク回避の円買いは限定的となり、ドル円は143円台半ばで下げ渋り。一方で、ユーロやポンドといった欧州通貨は対ドルで堅調さを維持し、ユーロドルは1.14ドル台をうかがう水準に接近しました。
資源国通貨は依然として軟調で、中国経済の減速懸念と資源価格の不安定な動きが重荷となり、豪ドルやNZドルは上値が重い展開。カナダドルは原油相場の一時持ち直しを受けて小幅に反発しました。
本日は週明けということもあり、東京市場では調整的な動きが目立つ一方、今週後半に予定されている米PCEデフレーターや欧州の景況感指数に市場の関心が集まっています。以下では各主要通貨ペアの動向を詳しく振り返り、今後の展望を整理していきます。
1. 市場全体の振り返り
先週末(20日)は米国株が反発し、リスク回避姿勢が和らいだことから円買いの流れが一服しました。ドル円は144円台前半で下げ渋り、ユーロやポンドは対ドルで堅調さを維持。特にユーロドルは1.14ドル台をうかがう展開となり、市場では「ドル安基調が続く一方で、円の独歩高は一旦落ち着いた」との見方が強まっています。
週明け22日は、東京時間からドル円が143円台半ばで推移し、ユーロドルは1.1380〜1.1400ドルを中心に底堅く動いています。ポンドは1.28ドル台後半で推移しており、BOEの政策スタンスを背景に引き続き堅調。豪ドルやNZドルは依然として軟調ですが、カナダドルは原油相場の下げ止まりを受けて小幅反発しています。
2. 主要通貨ペアの詳細分析
2.1 ドル円(USD/JPY)
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現状: 143.60円付近
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背景: FOMCを受けたドル安基調は続いているが、米株の安定が円買いを抑制。144円台からの調整が進むも下値は限定的。
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展望: 今週の米PCEデフレーターが焦点。インフレ鈍化が確認されればドル売り優勢となり、143円割れを試す可能性あり。ただし株価の安定が続けば円買い圧力は弱まる。
2.2 ユーロドル(EUR/USD)
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現状: 1.1395ドル前後
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背景: ドル安基調に支えられ、ユーロは底堅い。ECBの利下げ観測は残るものの、当面はドルの弱さが相場を主導。
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展望: 1.14ドル突破を明確に果たせば、上昇トレンドが意識され、1.1450〜1.15ドルが視野に入る。
2.3 ユーロ円(EUR/JPY)
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現状: 163.60円付近
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背景: ユーロの堅調さに支えられつつも、ドル円の軟調さが影響し伸び悩む。
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展望: 株価が安定すれば165円を再び試す可能性。ただし円買いが強まれば162円台への調整も。
2.4 ポンドドル(GBP/USD)
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現状: 1.2875ドル付近
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背景: 英国インフレ圧力を背景にBOEの利下げ観測が後退。ドル安も重なり、ポンドは対ドルで堅調。
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展望: 1.29ドル台突破が近い。週後半の英国小売売上高に注目。
2.5 ポンド円(GBP/JPY)
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現状: 184.90円付近
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背景: ポンド高が支えとなる一方、ドル円の軟調さに影響を受けて小幅下落。
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展望: 185円台を回復できれば上値余地拡大。ただし円買い圧力が再燃すれば184円割れリスクも。
2.6 豪ドル円(AUD/JPY)
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現状: 92.50円前後
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背景: 資源価格の不安定さと中国景気懸念で上値が抑制。先週から続く軟調地合いを引き継ぐ。
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展望: 92円台前半を維持できるかが焦点。中国の経済指標が弱ければ再び91円台も。
2.7 NZドル円(NZD/JPY)
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現状: 86.90円付近
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背景: 豪ドルと同様、資源安やリスク回避に敏感に反応。RBNZのタカ派スタンスは支えだが限定的。
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展望: 87円台を維持できるかが分岐点。米PCEが弱ければ対ドルで買い戻しが入りやすい。
2.8 カナダドル円(CAD/JPY)
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現状: 106.00円付近
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背景: 原油相場の持ち直しを受け小幅反発。ただし米ドル安がベースにあるため上値は限定的。
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展望: 106円台維持ができるかがカギ。原油相場の方向性に依存。
2.9 スイスフラン円(CHF/JPY)
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現状: 162.80円前後
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背景: 円高一服により調整。地政学リスクは支えとなるが、フラン買いはやや後退。
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展望: 163円台を回復できれば再び強含み。リスク回避が強まれば165円を伺う。
2.10 ユーロポンド(EUR/GBP)
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現状: 0.8840ポンド付近
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背景: ポンドの強さが勝り、ユーロポンドはじり安。ユーロ自体も強含むため下落は限定的。
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展望: 0.88を割り込むとテクニカル的に売りが強まる可能性あり。
3. 今週の注目材料
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米PCEデフレーター(27日発表予定)
FRBが重視する物価指標。鈍化すれば利下げ観測が強まり、ドル売り加速要因に。 -
欧州景況感指数(26日発表予定)
欧州経済の減速懸念が強まればユーロ売りに。堅調なら1.15ドル突破を後押し。 -
英国小売売上高(25日発表予定)
BOEの利下げ判断に影響。結果次第でポンド相場は大きく振れる可能性。 -
中国経済指標(製造業PMIなど)
豪ドル・NZドルに直結。弱ければクロス円全体のリスクオフ要因にも。
4. まとめ
9月22日の為替市場は、ドル安基調が継続する一方で円高は一服しました。ドル円は143円台半ばで下げ渋り、ユーロやポンドは対ドルで堅調。豪ドルやNZドルは依然として弱含み、カナダドルは原油の持ち直しで小幅反発しています。
今週は米PCEデフレーターや欧州景況感指数といった重要指標が控えており、為替相場は調整色を強めながらも再び方向性を探る展開となるでしょう。ドル安が続けばユーロやポンドがさらに買われる可能性が高い一方、リスク回避が再燃すれば円やスイスフランに資金が集まりやすくなります。
投資家は、短期的なドル売り・円買いの調整局面を意識しつつ、週後半のビッグイベントに備える姿勢が求められます。
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