【2025年9月24日 為替市場レポート】ドル安地合いが続く中、ユーロ・ポンド堅調、円は143円台半ばで下げ渋り
2025年9月24日(火)の外国為替市場は、前日までのドル安基調を引き継ぎながらも、リスク回避の円買いは限定的となり、ドル円は143円台半ばを維持する展開となっています。米国の住宅関連指標が市場予想を下回り、米長期金利はじり安。これを背景にドルインデックス(DXY)は前日比で小幅続落し、ユーロやポンドなど主要通貨が対ドルでじり高となっています。
一方、資源国通貨は対円・対ドルともに軟調基調を引きずっています。豪ドルは中国景気への不安定感が払拭できず、NZドルも87円を割り込んだまま。カナダドルは原油高が支えになっているものの上値は重く、106円台前半でもみ合いが続いています。
この日も東京市場は秋分の日明けで流動性はやや低めとなる見込みですが、海外時間には米新築住宅販売件数やリッチモンド連銀製造業指数が発表予定。ドル相場の方向性を決定づけるほどではないものの、弱い結果ならドル売りが一段と進む可能性があります。
1. 市場全体の振り返り
前日23日の欧米市場では、米中古住宅販売件数が市場予想を下回り、金利低下とドル売りが再開しました。ドル円は一時143.20円まで下落した後、米株の底堅さを背景にやや戻し143.60円付近でNYを引けています。
ユーロドルは1.1450ドル台に迫る上昇。ECB理事メンバーの一部が「これ以上の大幅利下げには慎重であるべき」と発言したことが引き続き材料視されました。ポンドドルも1.2900ドルを試し、英国のインフレ指標が予想をやや上回ったことが支えになりました。
資源国通貨は方向感に欠けています。豪ドルは92円を挟んで重い動き、NZドルは86.70円前後でもたつき、カナダドルは原油価格上昇にもかかわらず106円台でのレンジ相場。スイスフラン円は円の下げ渋りとともに163円付近で小動きでした。
2. 主要通貨ペア詳細分析(10通貨ペア)
2.1 ドル円(USD/JPY)
-
現状: 143.40〜143.70円
-
背景: 米金利低下とドル安が重石だが、米株高でリスク回避の円買いは限定的。
-
展望: 今晩の米住宅指標次第で142円台を試す可能性も。ただし143円割れは株価次第で下げ渋る公算大。
2.2 ユーロドル(EUR/USD)
-
現状: 1.1440〜1.1460ドル
-
背景: ECB内のタカ派寄り発言がユーロ買いを支え、ドル安と合わせて上昇。
-
展望: 1.1450超を固めれば1.15台定着も視野。欧州PMI速報値待ちの様子見もあり。
2.3 ユーロ円(EUR/JPY)
-
現状: 164.30円付近
-
背景: ユーロの対ドル高と円の弱含みが同時進行。
-
展望: 164円をサポートに165円方向をうかがう展開。円買いが強まれば163円台へ押し戻されるリスク。
2.4 ポンドドル(GBP/USD)
-
現状: 1.2880〜1.2910ドル
-
背景: BOEタカ派スタンスが継続。インフレデータが堅調でポンド買い優勢。
-
展望: 1.29を突破すれば1.30が視野。ただし米指標がドルを下支えすれば伸び悩む可能性も。
2.5 ポンド円(GBP/JPY)
-
現状: 184.80〜185.20円
-
背景: ポンド高が支え。ドル円の軟調が重しだが185円維持中。
-
展望: 185円を固められれば上値余地あり。米株急落やリスクオフで円高が進めば184円前半まで下押しも。
2.6 豪ドル円(AUD/JPY)
-
現状: 91.60〜91.90円
-
背景: 中国の景気減速懸念が根強く、RBAの追加利上げ期待も後退。
-
展望: 92円を回復できればセンチメント改善だが、91円を割り込むと90円台前半まで調整の恐れ。
2.7 NZドル円(NZD/JPY)
-
現状: 86.60〜86.80円
-
背景: 豪ドル同様に中国経済への懸念と商品価格の不安定さが重石。
-
展望: 87円回復が重要。RBNZが年内の利下げを示唆すれば下方向リスク増大。
2.8 カナダドル円(CAD/JPY)
-
現状: 106.10〜106.30円
-
背景: 原油価格がWTIで79ドル台を回復しサポート。ドル安も追い風だが勢いは限定的。
-
展望: 原油が80ドルを突破すれば107円試しもあり得るが、リスクオフでは105円台に逆戻り。
2.9 スイスフラン円(CHF/JPY)
-
現状: 163.00〜163.30円
-
背景: リスクオフ一服で小動き。SNBの慎重スタンスがフランの安全資産需要を一定程度維持。
-
展望: 163円がサポート。地政学リスクの高まりで164円方向へ反発の可能性。
2.10 ユーロポンド(EUR/GBP)
-
現状: 0.8850前後
-
背景: ユーロとポンドが共に強いが、ECBの発言でユーロがやや優勢。
-
展望: 0.8850を超えると0.89台視野。BOEの発言トーン次第で乱高下もあり得る。
3. 本日の注目材料とイベント
-
米新築住宅販売件数(今晩)
予想を下回ればドル売りが加速し、ドル円142円台試しの可能性。逆に底堅ければ一時的にドルが戻す展開も。 -
リッチモンド連銀製造業指数
景況感が弱ければドル安再加速のリスクあり。 -
欧州PMI速報値(27日予定)
ユーロの方向感を決める重要材料。好結果なら1.15超えの可能性。 -
中国の景気関連ニュース
豪ドル・NZドルに直結。悪材料ならクロス円が総じて軟調化する恐れ。
4. 戦略と総括
24日の為替市場は、ドル安が基本シナリオだがリスクオフ円高は限定的という地合いが続いています。ドル円は143円台半ばを中心としたレンジが続く公算が大きく、下は142円後半、上は144円前半が目安となりそうです。
ユーロやポンドは引き続き対ドルで堅調。ECBとBOEの政策スタンスの差が意識されるなか、欧州指標の結果次第ではさらに上昇余地が広がる可能性があります。一方、豪ドルやNZドルは中国経済とコモディティ市況の影響を受けやすく、引き続き慎重な姿勢が必要です。
投資家にとっては、
-
ドル円は短期的に戻り売り優勢、ただし株価動向で急反発リスクも。
-
ユーロドルは1.1450の攻防がカギ。
-
資源国通貨は底値模索が続き、無理な逆張りは避けるべき。
総じて、ドル安トレンドをベースに据えつつも、米住宅関連指標や週後半の欧州データで相場が急変する可能性に備える必要があります。
コメント