【2025年9月30日 為替市場レポート】四半期末のフローと米経済指標を受けドル円は143円台半ばで持ち合い、ユーロ・ポンドは堅調
2025年9月30日(火)の外国為替市場は、四半期末に伴うリバランス需要や米経済指標の発表を背景に、全体的に調整色が強い一日となりました。ドル円は143円台半ばを中心に方向感を欠き、ユーロやポンドといった欧州通貨は底堅さを維持。資源国通貨は中国景気への不透明感と商品市況の変動に揺れる展開が続きました。
以下では、当日の市場動向を整理し、主要10通貨ペアの分析と今後の展望を詳しく解説します。
1. 市場概況
9月30日の東京時間から欧州市場にかけては、四半期末に伴うフロー調整が目立ちました。ドル円は一時143.20円まで下落しましたが、その後は米長期金利の下げ止まりを背景に143.50円付近へ戻しました。ユーロドルは1.1380〜1.1410ドルで推移し、ECB理事会を控えて底堅い動き。ポンドドルも1.28ドル後半を維持し、BOEのタカ派的なスタンスが支えとなっています。
米経済指標では9月の消費者信頼感指数が予想をやや下回った一方、住宅価格指数は堅調で、ドルの方向感は限定的でした。市場は週末に控える米PCEデフレーターを意識しており、積極的な売買は手控えられました。
2. 主要通貨ペアの動向
2.1 ドル円(USD/JPY)
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現状: 143.45円付近
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背景: 四半期末のフローで上下しつつも、米金利の下げ止まりで下値は限定的。
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展望: 今後は米PCEデフレーターと雇用統計が焦点。142円台後半から144円台前半のレンジで推移する可能性。
2.2 ユーロドル(EUR/USD)
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現状: 1.1390ドル前後
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背景: ドル安基調を背景に底堅く推移。ECB理事会でのスタンスが注目される。
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展望: 1.14ドルを明確に超えられるかが焦点。突破すれば1.15ドル台も視野。
2.3 ユーロ円(EUR/JPY)
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現状: 163.50円付近
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背景: ドル円の持ち合いの中で、ユーロの対ドル堅調さが支え。
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展望: 164円台を試す展開が想定される。
2.4 ポンドドル(GBP/USD)
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現状: 1.2880ドル付近
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背景: BOEがタカ派姿勢を維持しており、ポンドは底堅い。
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展望: 1.29ドル突破を試すか注目。英国インフレ指標が重要。
2.5 ポンド円(GBP/JPY)
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現状: 184.60円付近
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背景: ポンド高と円の小動きが組み合わさり堅調。
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展望: 185円台回復を狙う展開。
2.6 豪ドル円(AUD/JPY)
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現状: 92.80円前後
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背景: 中国経済指標の弱さと鉄鉱石価格の下落が豪ドルの重荷。
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展望: 92円台後半を維持できるかが焦点。
2.7 NZドル円(NZD/JPY)
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現状: 86.90円付近
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背景: 豪ドルと同様に中国リスクの影響を受けやすいが、RBNZのタカ派姿勢が下支え。
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展望: 87円台回復を試す可能性。
2.8 カナダドル円(CAD/JPY)
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現状: 106.00円付近
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背景: 原油価格が底堅く推移し、カナダドルを支援。
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展望: 106円を維持できれば上昇基調を保てる。
2.9 スイスフラン円(CHF/JPY)
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現状: 163.00円前後
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背景: 安全資産需要は根強いが、リスクオフの一服で方向感は限定的。
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展望: 162.50〜164.50円のレンジを想定。
2.10 ユーロポンド(EUR/GBP)
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現状: 0.8840ポンド付近
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背景: ユーロとポンドが共に底堅く、方向感は出にくい。
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展望: 0.88台後半を維持するかが焦点。
3. 今後の注目材料
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米PCEデフレーター(10月初旬発表): FRBの金融政策に直結するため、市場の最大関心事。
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ECB理事会: 利下げを見送るのか、あるいはハト派的なトーンが出るのかでユーロの方向性が決まる。
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英国CPI: BOEの利下げタイミングを占う上で重要。
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中国経済指標: 豪ドル・NZドルに大きな影響を与える。
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原油価格: カナダドルの動きと密接に連動。
4. まとめ
2025年9月30日の為替市場は、四半期末フローと米経済指標が交錯し、全体的に調整基調となりました。ドル円は143円台半ばを中心に小動きとなり、ユーロやポンドは対ドルで底堅く推移。資源国通貨は依然として中国景気懸念の影響を受け、クロス円は総じて方向感に乏しい展開でした。
今後は、米PCEデフレーターと雇用統計が最大の注目材料であり、FRBの政策スタンスを占う重要な局面を迎えます。ユーロ・ポンドの堅調さが続くのか、資源国通貨の反発余地があるのか、来月初旬の市場は大きな変動要因を抱えてスタートすることになりそうです。


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