【6月第1週・為替市場完全レビュー】——中央銀行の圧力とドル反騰、レンジ相場を読み解く(6月2日~6月8日)


🔎 今週の要点まとめ

  • ドル円は144〜145円台を中心に、上下しつつもレンジ内に収束。週末には145円台半ばを試す展開へ
  • 米経済指標は強弱まちまち。ISM製造業は低調だったが、雇用統計が強く、ドル買い戻しを誘発。
  • BOJへの圧力と政策期待が交錯。日銀は金融緩和修正の姿勢を維持しているものの、米国からはさらなる正常化を求める声が強まる。
  • 欧州通貨はECB利下げ観測で軟調。ユーロは特に米ドルとの金利差拡大観測で売られる傾向。

📅 日別分析:市場とその背景

■ 6月2日(月)

  • 米ISM製造業PMI:48.2(予想:49.5)。節目の50を割る水準が続き、米景気減速懸念が高まる。
  • ドル円は144円台前半へ下落。リスクオフの流れとともに円買いも発生。
  • 米10年債利回りは4.37%へ低下。

■ 6月3日(火)

  • ドルは調整買い戻し。ISMのネガティブ・インパクトの反動と、米株高(S&P500 +0.8%)が支援材料に。
  • ドル円は一時144.80円付近まで回復。
  • 米国では債務上限問題が再燃しつつあり、財政への懸念も市場の一部では材料視。

■ 6月4日(水)

  • ADP民間雇用統計:+15.2万人(予想:17.5万人)。やや弱めだが、マーケットの反応は限定的。
  • 米ISM非製造業指数も予想を下回り、ドルは再び軟調。
  • ドル円は143.70円近辺へ反落
  • ECB関係者による「利下げは6月が有力」との発言がユーロ売りを誘発。

■ 6月5日(木)

  • 前日の流れを引き継ぎ、リスク回避が進む。VIX指数は13.2とやや上昇。
  • BOJへの米国からの金融正常化圧力がメディアで取り上げられ、円高材料に。
  • ドル円は143.30円〜60円の間で推移

■ 6月6日(金)

  • 米雇用統計(非農業部門雇用者数):+18.7万人(予想:18.0万人)
  • 失業率3.9%、平均時給も上振れ(+0.4%)→市場は再び利下げ遠のくと認識。
  • ドル円は一時145.09円を記録し、週の高値を更新。
  • 米株市場は上昇。ドル円と日経平均は連動性が高く、同時にリスクオンに乗る形。

■ 6月7日(土)

  • 市場は休場だが、来週の米CPIやFOMCを控え、ポジション調整の意識が強まりつつある。
  • 欧州ではフランス政局の不透明感が再浮上し、ユーロへの圧力が残る。

■ 6月8日(日)

  • アジア時間序盤でドル円は145円台を維持。
  • 指標待ちムードが強く、145円〜145.50円の狭いレンジに収束。
  • 日本のGDP改定値、ECB理事会、そして米CPIと、注目材料が来週に集中する状況

🌍 通貨ペア別の週間動向

通貨ペア 主な動き
USD/JPY 143.3〜145.09円。米指標とBOJ圧力の綱引き。
EUR/USD 1.09〜1.073。ECB利下げ観測により弱含み。
GBP/USD 英インフレ見通しで堅調も、1.28〜1.275の狭いレンジ。
AUD/JPY 豪中銀政策変更観測で93〜95円へ上昇余地。

🔍 今週のファンダメンタル材料

📌 米国経済の読み解き

  • 米労働市場は底堅さ維持。ただし製造・サービス業には減速傾向。
  • 利下げ観測はやや後退、FRBは9月会合まで様子見か。

📌 日銀のスタンスと外圧

  • 日本のCPI上昇率は3.0%を上回る予測あり。
  • 米財務省からは日銀に対する引き締め圧力の報道も。

📌 欧州と豪州

  • ECBは6月利下げが大勢。ユーロは引き続き重たい展開。
  • 豪中銀はインフレ継続を懸念し、追加利上げの可能性あり。

📊 テクニカル分析

【ドル円】

  • 144.00円:強いサポートゾーン
  • 145.50円:短期レジスタンス
  • RSI:57(過熱感なし)
  • MACD:買いシグナル継続中

📅 来週の注目イベント(6/10〜6/14)

  • 6/12(水) 米5月CPI発表
  • 6/13(木) 日銀政策決定会合スタート
  • 6/14(金) BOJ結果公表・植田総裁会見
  • 6/14〜15(金〜土) G7サミット(伊プーリア州)

💬 総まとめと戦略提案

  • ドル円はレンジ突破を狙う局面。CPIやBOJ次第で146円台試す可能性。
  • リスクオン傾向が続く限り、円売り+株高の組み合わせに優位性あり。
  • シナリオ別戦略:
    • CPI強ければ:145.50円ブレイク狙いの買い
    • CPI弱ければ:144.00円割れで売り

今週は経済指標の強弱と中央銀行の判断が市場を大きく動かした1週間でした。来週はその決定的な分岐点となる可能性があります。

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました