2025年8月27日 為替市場レポート
米経済指標の強弱に揺れる相場展開、ドル円は144円台を再度試す動き
1. 市場全体の振り返り
2025年8月27日の為替市場は、米経済指標の結果と米国金利動向を軸に、一日を通じてドル主導の展開となりました。前日に発表された米耐久財受注が市場予想を下回ったことで、景気減速懸念が一時的に台頭し、ドル売り圧力が強まった場面もありました。しかし、その後に公表された消費関連データが底堅さを示し、ドル売りは限定的。むしろ「FRBが利下げを急がない」との見方が支配的となり、ドルは買い戻されました。
ドル円は一時143円台半ばまで下落した後、米金利上昇を受けて144円台を再度試す動きとなりました。米10年債利回りは4.15%台から4.22%台へ上昇し、ドル高要因として作用しました。
一方、ユーロは依然として上値の重さが鮮明。ユーロ圏景況感の悪化とECB理事の追加利下げを示唆する発言が響き、1.08ドル割れを視野に入れる展開となりました。英ポンドはインフレ圧力の強さが背景となり、1.28ドル台を維持。
資源国通貨は引き続き中国の景気不安に押される展開。豪ドル・NZドルは下げ止まりを模索しましたが、投資家心理の改善には至らず。カナダドルは原油価格が小幅に反発したことで若干の支えを得ました。
2. 主要通貨ペアの動向
2.1 ドル円(USD/JPY)
現状:144.10円前後。
背景:米耐久財受注の弱さで一時143.50円まで下落しましたが、その後米金利が持ち直し、ドル買い優勢に転換。144.20円近辺まで反発しました。
展望:今後は米PCE物価指数が最大の焦点。インフレ鈍化が鮮明なら143円台前半まで下押す可能性、逆に強い数値なら145円方向を再度試す展開が予想されます。
2.2 ユーロドル(EUR/USD)
現状:1.0810ドル付近。
背景:ユーロ圏の景気指標が低迷を続け、ECB関係者の「景気を下支えする追加緩和が必要」との発言が相次ぎました。結果的にユーロ売りが強まり、1.08ドル割れを試す展開が意識されています。
展望:1.0780ドルを明確に割り込むと、テクニカル的には1.07ドル台半ばが次のターゲット。反発局面では1.09ドルが重くのしかかります。
2.3 ユーロ円(EUR/JPY)
現状:155.70円前後。
背景:ユーロ安ドル高の流れに押され、ユーロ円もじり安。ドル円が堅調だったため大崩れは免れましたが、上値追いの勢いは見られません。
展望:155円台前半を割り込むと売りが加速し、154円方向が意識されます。
2.4 ポンドドル(GBP/USD)
現状:1.2840ドル前後。
背景:BOE当局者が「インフレ鈍化は見られるが、なお目標達成には時間が必要」と発言し、市場では利下げ時期をめぐる思惑が継続。結果としてポンドは底堅さを維持しました。
展望:1.28ドルをサポートとする展開が続きそう。上値は1.29ドル台前半で頭打ちとなる可能性が高い。
2.5 ポンド円(GBP/JPY)
現状:185.00円前後。
背景:ドル円が堅調に推移したことで、ポンド円も185円を回復。方向感は限定的ながらレンジ上限を試す動き。
展望:184円後半を下値に、185円半ばを上値とした持ち合い相場が続く可能性。
2.6 豪ドル円(AUD/JPY)
現状:92.50円付近。
背景:中国当局が小規模な景気刺激策を発表したとの報道を受け、一時的に買い戻しが入りました。ただし市場の反応は限定的で、本格的な回復には至っていません。
展望:92円台前半を下値に持ち合い形成か。中国経済の動向が引き続き最大の材料。
2.7 NZドル円(NZD/JPY)
現状:86.90円前後。
背景:豪ドルと同様、中国関連のニュースで小幅反発。ただし、NZ国内要因は乏しく、外部要因次第の相場展開が続いています。
展望:87円台を回復できるかが目先の焦点。
2.8 カナダドル円(CAD/JPY)
現状:106.80円前後。
背景:原油価格が小幅反発し、カナダドルに支援材料。ドル円の堅調さも追い風となり、前日比で上昇。
展望:107円を突破できれば上昇余地拡大。ただし原油価格が再び下落すれば、106円台前半まで押し戻される可能性。
2.9 スイスフラン円(CHF/JPY)
現状:176.70円前後。
背景:リスク回避需要が限定的となる中、スイスフランは方向感に欠ける展開。ただし高止まりしており、安全資産としての需要は依然堅調。
展望:176円を下値にレンジ相場が続く可能性。
2.10 ユーロポンド(EUR/GBP)
現状:0.8420ポンド前後。
背景:ユーロ安・ポンド堅調の流れが続き、ユーロポンドは0.84台前半に下落。
展望:0.84を明確に割ると0.8350付近まで下落余地。反発局面でも0.85が重い展開。
3. 今後の注目材料
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米PCE物価指数(8月30日発表予定)
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FRBが最も注視する指標であり、利下げ開始時期を占ううえで決定的な意味を持ちます。市場の関心はコアPCEが前年比2.5%を下回るかどうか。
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ECB理事会メンバーの発言
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ユーロ圏景気が減速する中、9月会合での利下げ観測が強まっており、ユーロ相場は当局者の発言に過敏に反応。
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中国の追加景気対策
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豪ドル・NZドルにとっては最大の外部要因。規模感の大きい刺激策が出れば反発の余地あり。
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原油相場の動向
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カナダドルの方向性に直結。OPECの減産姿勢や米国在庫統計が焦点。
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4. まとめ
2025年8月27日の為替市場は、米経済指標の強弱に振らされながらも、最終的には米金利上昇を背景にドル買い優勢で引けました。ドル円は一時143円台半ばまで下押した後に反発し、144円台を再度試す動き。ユーロは景気懸念と利下げ観測から売りが続き、1.08ドル割れを視野に。ポンドは底堅く、資源国通貨は依然として中国リスクを抱えたまま不安定な値動きとなっています。
今後の焦点は米PCE物価指数。FRBの金融政策に直結するため、結果次第でドル円は145円台突破か、あるいは142円台へ反落するか、大きな方向性が決まる可能性があります。市場は引き続き高いボラティリティを維持すると予想され、投資家は短期的な値動きに十分な注意が必要です。
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