2025年9月10日 為替市場レポート
ドルは底堅く、円は落ち着き見せる。米インフレデータ控え相場の縮小継続中
① 市場全体を俯瞰
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米ドルは底堅さ維持
米ドルは小幅ながら安定的な推移。市場は数日に控える米PPI・CPIのインフレ指標に注目しつつ、9月FOMCでの利下げ(25bp)が織り込まれる展開。50bpの大幅利下げへの期待は依然控えめですReuters+1。 -
アジア株は全面高、債券利回りは上昇
労働市場が弱い兆しを示す中で、米市場の好反応を受け、日経やKOSPIなどアジア株は上昇傾向。債券相場は利回り上昇が継続していますReuters+1。 -
ドル指数は堅調、しかし年初来で10%安
トレード政策の不透明感や利下げ見通しにより、一方でドル指数は穏やかな回復だが、依然として年初来で約10%の下落余地が残る状態ですReuters。 -
インドルピーはボラティリティ低下、安定化進行
インド中央銀行(RBI)の介入と企業のボラティリティ売りが効いたことで、1か月のインプライド・ボラティリティが3月以来の低水準を記録。対ドルではわずかな下落にとどまり安定していますReuters。 -
地政学リスクは依然不透明だが、影響限定的
中東・ロシア・ウクライナなどリスクが意識される場面がありつつ、日米欧の政治動向や地政学的な事件への反応は限定的ですAP NewsReuters。
② 主要10通貨ペアの動向と戦略
通貨ペア | 現状 & 動向 | 背景・材料 | 戦略 |
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USD/JPY | 約147.5円を軸に小動き | 日銀の利上げ期待とインフレ懸念の相反が綱引き継続 | 147–148円レンジ。下限で押し目買い、上限で利確 |
EUR/USD | 約1.17ドル前後で小反発 | インフレ鈍化期待ながら強いドル圧力継続 | 1.16–1.18レンジ。方向感薄くレンジ回し中心 |
EUR/JPY | 約172円付近 | ユーロドルとドル円の揺れ幅に依存 | 170–174円グリッド相場対応が有効 |
AUD/USD | 約0.66ドル前後 | 豪政策と米景気・中国関連材料が交錯 | 0.65–0.67。押し目買い、RBA発表注目 |
NZD/USD | 同じく堅調 | 豪ドルに連動、中国建材需要注視 | 0.62–0.64。動意薄なら様子見継続 |
GBP/USD | 約1.355ドル付近 | ポンドはEU政治不安に左右されつつ堅調 | 1.35–1.37レンジ。戻り売り主体 |
GBP/JPY | 約200円前後 | GBP/USD × USD/JPYの相乗効果 | 198–202円レンジ。ギャップ対応中心 |
USD/CAD | ≈1.36 | 原油、米金利動向に敏感 | 1.35–1.37。原油動向注視 |
CAD/JPY | 約150円前後 | 商品に左右される商品通貨の代表格 | 148–152円。原油イベントで対応柔軟に |
CHF/JPY | 約181円 | 安全資産買い継続だが円安も重複 | 180–183円。地政/株安時は逆張りチャンス |
③ マクロ背景と市場心理
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米インフレ主役交代の兆し
PPI(卸売価格指数)、CPI(消費者物価指数)が控えており、Fedの利下げスタンスを左右する核心指標として注目Reutersforex.tradingcharts.com。尻切れ感やタカ派サプライズなら市場反応は鈍く、逆に弱いデータは強い反応見込まれます。 -
FRB独立性への懸念、影響は限定的
特定連邦準備理事の解任阻止に関する司法判断が注目されましたが(リサ・クック理事)、市場への直接影響は限定的Reuters。 -
アジアの政治変動
インド・日本・フランスの政治不安定が報じられていますが、為替市場は全体的に落ち着いた反応で推移Reuters+1AP News。 -
金市場の高値継続も方向は不透明
金は記録的高値を維持し、安全資産の一角として資金が流入中。ただしドルや債券利回りとの相互作用で短期トレンドは転換可能ReutersFX Leaders。
④ 当面のトレード戦略・ポイント
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レンジ戦トレード継続
特にUSD/JPY、EUR/USDなどは方向感が見えづらいため、上下エッジでの押し目・戻り売り対応中心。 -
イベントドリブンには慎重姿勢
PPI、CPI、Fed会合での反応が大きいと思われ、発表時はポジション縮小・リスク制御推奨。 -
商品通貨はテーマ別利用に有効
AUD、CADなどは原油・金属市況との連動を活かした戦略が効果的。 -
安全資産は戻り売りでの戦術が有効
CHF、JPYは安全資産として反応が出やすいため、リスクオフ局面では短期利確が狙い目。
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