2025年9月2日 為替市場レポート 米PCEを消化後、ドル円は再び145円を試す展開へ 雇用統計を前にポジション調整色が強まる

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2025年9月2日 為替市場レポート

米PCEを消化後、ドル円は再び145円を試す展開へ
雇用統計を前にポジション調整色が強まる


1. 市場全体の振り返り

2025年9月2日の為替市場は、8月末に発表された米PCEデフレーターの結果を受け、市場がFRBの金融政策見通しを再評価する動きの延長戦となりました。8月30日に発表されたPCEコア前年比は+2.5%と市場予想通りで、インフレ鈍化の流れを確認。ただし月次ベースでは底堅さが残り、FRBの利下げ時期をめぐる見方は分かれたままです。

この結果を受け、ドル円は一時143.80円まで下落しましたが、その後は米金利が持ち直したことで144円台半ばに反発。9月2日には145円を意識する水準まで戻してきました。市場は今週末の米雇用統計を最大のイベントとして控えており、参加者は方向感を出しにくい一方、底堅いドル需要が支配的となっています。

ユーロは引き続き軟調で1.08ドル台を割り込んで推移。ユーロ圏の景況感が弱いことに加え、ECBの利下げ観測が強まっているためです。ポンドは比較的底堅く、資源国通貨は中国景気への警戒感と追加刺激策への期待が交錯し、方向感を模索する展開となりました。


2. 主要通貨ペアの動向

2.1 ドル円(USD/JPY)

現状:144.95円前後。
背景:PCE発表直後はドル売りが優勢となり143円台に押し込まれましたが、その後は米金利が反発。FRBが急速に利下げへ動くシナリオは後退したとの見方が広がり、再び145円に迫っています。
展望:今週末の雇用統計が予想を上回れば145円突破の可能性が高い。ただし市場は当局の介入警戒感も意識しており、146円方向への勢いは抑えられる可能性。サポートは144.30円付近。

2.2 ユーロドル(EUR/USD)

現状:1.0770ドル付近。
背景:ユーロ圏景況感指数が再び低下し、欧州経済の弱さが改めて意識されました。ECB内では「年内利下げの可能性」が議論されており、ユーロは上値が重い。
展望:1.0750ドルを下抜ければ1.07ドル割れの可能性も視野。反発局面では1.0830ドルが強い抵抗として意識される。

2.3 ユーロ円(EUR/JPY)

現状:156.10円付近。
背景:ユーロの弱さとドル円の底堅さがせめぎ合う形。ドル円に引っ張られて円安圧力はかかるが、ユーロの地合いが弱いため上値は限定的。
展望:155.70円を維持できれば底堅いが、割り込めば155円台前半まで調整の可能性。上値は156.70円。

2.4 ポンドドル(GBP/USD)

現状:1.2860ドル前後。
背景:英国経済は依然として不安要素を抱えているものの、小売やサービス業の堅調さからポンドは一定の支持を得ています。BOEの利下げ観測もあるが、ECBよりは後手になるとの見方が強く、相対的に買われやすい。
展望:1.2850ドルをサポートに、1.29ドル方向を再び試す可能性。米金利次第では一時的に1.28ドル割れも。

2.5 ポンド円(GBP/JPY)

現状:186.50円付近。
背景:ドル円の反発に支えられ、ポンド円も堅調。185円台後半でサポートが意識され、買いが入りやすい状況。
展望:187円を試す展開。ただしドル円が反落する場合は連れ安に注意。

2.6 豪ドル円(AUD/JPY)

現状:93.00円付近。
背景:中国PMIが予想を下回ったことで一時的に売られる場面がありましたが、その後は政府の追加刺激策期待で下げ止まり。
展望:92.70円を下値、93.50円を上値とするレンジを想定。中国関連ニュースが引き続き最大の材料。

2.7 NZドル円(NZD/JPY)

現状:87.20円前後。
背景:豪ドルと同様に外部要因に振らされやすい状況。NZ自体の材料は限られており、対ドル・対豪ドルでの連動性が強い。
展望:87円をサポートに88円方向を試す展開。ただし豪ドルが弱含めばNZドルも追随する。

2.8 カナダドル円(CAD/JPY)

現状:107.10円前後。
背景:原油価格は小幅高で推移し、カナダドルを下支え。米景気が底堅ければ需要見通し改善からCADに追い風。
展望:107円を維持できれば上値余地が広がるが、106.70円を割り込むと調整の可能性。

2.9 スイスフラン円(CHF/JPY)

現状:177.50円付近。
背景:リスク回避需要は乏しいが、円安がフラン円を押し上げて高止まり状態。
展望:177円を下値に、178円を試す展開。リスクイベント次第ではフラン買いが急増する可能性も。

2.10 ユーロポンド(EUR/GBP)

現状:0.8370ポンド付近。
背景:ECBの利下げ観測が強まり、ユーロ安・ポンド高の流れが継続。
展望:0.8350が視野に入る展開。戻りは0.8420が重い抵抗。


3. 今後の注目材料

  1. 米雇用統計(9月5日発表予定)

    • 市場予想:非農業部門雇用者数 +18万人、失業率 4.1%。

    • 予想を上回ればドル高・円安が再加速、逆に下回ればドル売りが強まる可能性。

  2. FRB要人発言

    • PCE後、利下げ時期に関して意見が割れる中、要人発言で市場の期待が大きく揺さぶられる可能性。

  3. 欧州の景気指標(PMI、CPI)

    • 景気減速が確認されればユーロ売りが継続。ECBの政策スタンスも一層ハト派に傾く見込み。

  4. 中国関連ニュース

    • 豪ドル・NZドル・資源市場全般に直結。追加刺激策が具体化すれば資源国通貨にとって強い支援材料。


4. まとめ

2025年9月2日の為替市場は、米PCE発表後の動きを引き継ぎ、ドル円が145円を再び試す展開となりました。ユーロは景気懸念から軟調、ポンドは比較的底堅さを維持。資源国通貨は中国動向に揺さぶられつつもレンジ内に留まりました。

今週の最大の注目は9月5日の米雇用統計。ドル円は145円の節目を前に攻防が続くとみられ、雇用統計次第では146円方向へ加速するか、143円台へ押し戻されるか、大きな分岐点を迎えることになります。市場は「調整と警戒の狭間」で推移しており、投資家は短期的な値動きに振らされやすい状況に注意が必要です。

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