【2025年6月12日 為替市場レポート】
ドル軟調・ユーロ堅調、リスク回避と政策絡みで通貨の明暗分かれる展開
1. 市場の概要
6月12日の為替市場は、米国発の注目材料が重なった一日でした。まず、米5月消費者物価指数(CPI)が予想を下回ったことでドルの上値が抑えられ、ドル指数は約2か月ぶりの安値を更新し、ドル円は143円台後半から144円台前半へ下落。一方、米中貿易協議が「枠組み合意」に達したとの報道や、大統領の新たな関税方針発言が投資心理に影響を与え、市場は混乱しつつもリスクオフ傾向に舵を切りました。
地政学的リスクの高まりにより円やスイスフランなどの安全通貨が買われ、金価格も約0.6%上昇しました。一方、ユーロはCPI軟化とECBの強気トーンで7週ぶり高値を更新。これらの動きを受け、クロス円・ドルストレートともに大きなトレンド変化が見られました。
2. 通貨ペア10選:水準・背景・展望
以下10通貨ペアについて、当日の動き、背景、今後の展望を4000字レベルで深掘りします。
2.1 USD/JPY(ドル/円)
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水準:144.20付近で推移
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背景:米CPIの予想下回り→ドル安、米中協議や関税不透明感→リスクオフ→円買い加速freshforex.com+15reuters.com+15reuters.com+15。
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展望:米CPIの追跡指標(PPI)が今後発表され、Fed利下げ期待が続く限り144円を囲むレンジ継続。ただし**先行きはドル安継続バイアス強く、143円台前半割れる可能性も。**テクニカル的には144.00–145.00円がレンジと予想。
2.2 EUR/USD(ユーロ/ドル)
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水準:1.148〜1.150
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背景:CPIソフト→ドル圧迫、ECBラガルド総裁の「政策サイクルほぼ完了」発言によりユーロ買い加速。
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展望:**1.1540〜1.1550の抵抗試しへ。**一方、米中の貿易・CPI次第ではユーロの伸びも限定的に。ECB正常化観測とFed利下げ観測の攻防が焦点に。
2.3 EUR/JPY(ユーロ/円)
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水準:166円前後
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背景:ドル円軟化+ユーロ堅調の相乗効果で円全面安トレンド。4営業日続伸の勢い。
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展望:165円ミドルが下支え水準、168円台攻めもあり得る。ただし週明け米重要指標次第で乱高下注意。
2.4 AUD/JPY(豪ドル/円)
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水準:93.50前後
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背景:ドル円の影響が大、資源価格と中国向け需要見通しも勘案。
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展望:米中動向次第で93円台突破可能。リスクオン局面にならずとも93円支え堅調。リスクオフが強まれば再度92円台半ばへ調整も。
2.5 NZD/JPY(ニュージーランドドル/円)
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水準:86円台前半
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背景:豪ドル円と連動、円の安全通貨買いが影響。
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展望:NZ利回り優位が維持される限り86円台後半–87円継続。米利下げ観測強まれば再度86円割れ注意。
2.6 CAD/JPY(カナダドル/円)
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水準:105.20前後
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背景:原油が70ドル近辺で軟調安定、リスクオフ相場によりカナダドルも影響。
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展望:**商品&ドル需給次第で105円台は維持可能。**米経済指標次第では104円台への調整も視野。
2.7 CHF/JPY(スイスフラン/円)
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水準:176円台前半
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背景:中東緊張+ドル安による安全資産循環で円よりも買われやすい。
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展望:**176.5円前後が短期抵抗、水準維持でリスクオフ局面継続の裏付け。**上抜けなら流動性低くとも177円突破試す可能性あり。
2.8 GBP/USD(ポンド/ドル)
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水準:1.354〜1.357
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背景:ユーロ同様、ドル安圧力が優勢。英国の経済指標も底堅く支持。
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展望:**1.360突破も視野。**ただ、ドル巻き戻し警戒により1.345-1.365のレンジ動き期待。
2.9 GBP/JPY(ポンド/円)
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水準:195円台後半
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背景:円全面安、ポンドの対ドル堅調が相乗。
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展望:**196円半ばの節目試しへ。**ただ、米CPIや中東リスク次第で変動も。
2.10 USD/CAD(ドル/カナダドル)
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水準:1.365前後
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背景:ドル脆弱&原油下支え→相対的に緩やか。
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展望:**1.36台維持か、1.37超えなら反転サイン。**政策面や商品情勢に敏感。
3. マクロ要因と市場心理
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ドル弱体化の背景:米CPIのヘッドライン・コアともに下振れが継続しており、Fed利下げ観測に拍車forex24.pro+10reuters.com+10bloomberg.com+10。
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米中通商協議の思惑:枠組み合意報道から具体性欠くコメントまで織り交ぜ、リスクオン・オフが交錯する状態。
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地政学リスク:中東情勢や米関税の不透明感が円・スイスフラン・金への資金流入を促進。
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ECBの存在感:ドル安・ユーロ高のトリガーになる一方、ECBは追加利下げには慎重な姿勢も継続。
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ドルの長期シフト:ECB報告では、ドルの国際保有は低下傾向だがユーロが台頭していない事情も注目。
4. テクニカルポイントと戦略提案
USD/JPY戦略:
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レンジ:143.80–145.00円
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上値目標:145円超→トライアングル上抜け狙い、146円到達も視野。
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下値サポート:143.50–144.00円のストラクチャーベース維持。
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戦略:143.8–144.0円で買い、145円タッチで利食い。一方、145円超えで145.5–146円狙いのロングも戦術的に可。
EUR/USD戦略:
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レンジ:1.1440–1.1520
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上値トライ:1.1540突破→1.16〜1.1675レンジ想定freshforex.comforex.com。
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下値注意:1.1400割れはドル回帰の兆し→1.13台への調整可能。
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戦略:1.1460–1.1470で押し目買い、突破時には1.1520目標の買い継続。
その他通貨ペアも同様に、円全面安やドル安基調をベースにしたレンジオペレーションが効果的です。
5. 今後の注目イベント
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米PPI(15日)およびFed関係者発言
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Fedの金融政策観測が深化、ドル全体の方向性を左右。
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米中貿易協議の進展具合
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枠組み合意が具体合意へ進むか、相場分岐点の可能性。
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ECB発言・欧州経済データ
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ユーロの上昇余地がある中、次期介入タイミングを探る動き。
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地政学リスク
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中東、米関税、北朝鮮などのリスクが安全通貨に影響。
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🔍 総括
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ドルはCPI下振れ+利下げ期待で一段と軟調→年初来安値圏ドル指数
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ユーロはECB観測後押しで堅調継続→1.15台トライ中
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円・スイスフランなど安全通貨は引き続き買われる流れ
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クロス円・ドルストレート10通貨ペアすべてに対して、日米・欧州の政策イベントおよびリスク材料を含めたレンジ戦略が有効に働く展開といえるでしょう。
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