【2025年6月13日 為替市場レポート】
中東リスクが安全資産に傾斜させる中、ドルは底堅く、円・フランが上昇。リスク通貨は軟調な展開
1. 市場の概況:地政学リスク×米ドル
6月13日(金)の市場は、イスラエルによるイラン攻撃を受けた地政学リスクの急騰が最大のテーマでした。投資家は急激に円・スイスフラン・米ドル・金・米国債など安全資産に流れ、ドル指数と金利・為替・株価・商品市場の乱高下が目立つ一日となりました。
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ドル指数は中期の下落トレンドの中で、一時反発。
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ドル円は144円前後から143円台へ揺れ動き、日銀・中東情勢、米指標などの複合要因で膠着。
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クロス円は全面円高に傾き、特にAUD/JPY、NZD/JPYが狙われました。
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ユーロとポンドもリスク回避によるドル買い・円売りの影響を受け、上昇余地を制限。
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USD/CADは原油高にもかかわらず、安全資産人気で上昇優位に。
以下、10通貨ペアごとの動きを詳細分析します。
2. 主要10通貨ペア分析
通貨ペア | 終値水準 | 背景・動き | 今後の展望 |
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USD/JPY(ドル/円) | ~143.10→ 円買い進行 | 地政学リスクでリスクオフ→円、フラン、ドルへ資金移動。米ドルも先週の安値から反転傾向。tradingeconomics.com | 143円ミドル〜144円台回復のレンジ。週明けイラン報復次第で142円台突入も視野。 |
EUR/USD(ユーロ/ドル) | ~1.1511 | ユーロは4日ぶり下落、ドル買い戻しが優勢。ECB発言の効果一服。 | 1.148〜1.155あたりの調整レンジ急務。次は米指標やECBトーンが焦点。 |
EUR/JPY(ユーロ/円) | ~165円台 | ドル円・ユーロの二重影響で円高進行。リスクオフの円買い圧力強く、欧州CPI等に関心。 | 163〜166円のレンジ。欧中東情勢・ECB次第で動意あり。 |
AUD/JPY(豪ドル/円) | ~85円台半ば | 豪ドルは最も影響を受けた通貨。資源関連でもリスク回避に押されました。 | 85円割れチェック。価格安定でもリスク回避優先か。 |
NZD/JPY(NZドル/円) | ~82円台後半 | AUD同様、ニュージーランド通貨も一段安。下げトレンド続く。 | 82円割れ—83円台調整圧力強い可能性。FOMCなど政策イベントで反発余地。 |
CAD/JPY(カナダドル/円) | ~104円台後半 | 原油急騰も安全資産としての円買いが先行。リスク看過の場面。 | 原油次第の上下。105円台回復より104円支え状況確認を。 |
CHF/JPY(スイスフラン/円) | ~177円台前半 | 円よりも強い円買い。リスクオフで最も堅調な対円通貨。 | 178〜179円突破も視野。リスク解消まで一段高の可能性。 |
GBP/USD(ポンド/ドル) | ~1.355 | ドル買い戻しを受けポンド下落。中東リスク対ドルが優勢。 | 1.35台維持か。BOE見通しと米指標次第で1.33〜1.36レンジ維持。 |
GBP/JPY(ポンド/円) | ~194円台中盤 | 円全面安+ポンド回復鈍化。リスクオフ優勢圧力。 | 192〜196円レンジ。米・欧情勢で振れ幅拡大の可能性有。 |
USD/CAD(ドル/カナダドル) | ~1.365 | 原油高でも米ドル中心の買い戻し展開。 | 1.36〜1.37レンジで推移。中東・商品次第でブレイク注意。 |
3. 市場の背景と全体感
● 中東情勢の激化
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イスラエルのイラン攻撃で地政学リスク急増。油、市場、為替に影響。reuters.com
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投資家は円・スイスフラン・米ドルなどへ避難。これによりリスク通貨全面軟化。
● 米ドルの巻き返し
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ドル指数は週中に3年ぶり安値を記録した後、リスクオフで反発。en.wikipedia.org+15reuters.com+15forex.com+15livemint.com+1reuters.com+1
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ただし中期下落トレンド継続は未変。米利下げ観測は根強く、政策イベントに注視が必要。
● 金融・商品市場
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原油は一時+11%超。非産油国通貨・新興国通貨に下押し圧力。
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金・米長期国債は買い先行。安全資産への逃避が鮮明に。reuters.com+15reuters.com+15reuters.com+15
● 金融政策のサイドライン
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ECBは相変わらず利下げ縮小観測維持。ユーロには支え継続。reuters.com+7reuters.com+7reuters.com+7
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Fed利下げ観測も維持。ただし短期ではドル買いに作用するケースあり。
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BOEは緩和観測強まる中、ポンドには重し。reuters.com
4. 今後の注目ポイント
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イランの報復:週明け早期の反応あれば再びリスクオフ加速 → 円・フラン高に圧力。
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米指標:CPI・PPI・小売売上・住宅関連等で展望が変化 → ドルトレンド左右。
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ECB/BOE発言・政策:市場見通しと整合するか → ユーロ・ポンド変動要因に。
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商品価格動向:原油・金の続伸 or クールダウン次第で資源通貨の行方分かれる。
5. 投資戦略アドバイス
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ドル円:143〜144.5円のレンジ帯。リスクオフ時は143円前後へ、地政学落ち着けば144円台戻し狙い。
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スイスフラン円:最堅通貨。177〜178円のレンジ上限試し。
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クロス円(豪・NZ・カナダ):原油高でも円優勢影響大。リスク解消局面限定の買いが安全。
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ドルストレート:EUR/USDは1.148〜1.155の調整レンジ。BOE・Fed動向次第でブレイク想定。
🔍 まとめ
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地政学リスクによる抜けたリスクオフで為替市場は激動。
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円・スイスフラン・米ドルが一時的に主役、リスク通貨(AUD,NZD,GBP、CAD)が軟調。
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米中東情勢、米指標、各国中央銀行の舵取りが、今後の方向感を決定。
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10通貨ペアすべてが地政学・政策・商品動向に左右される状況。レンジ運用&イベント待ちが賢明。
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