2025年5月6日(火)、東京市場はゴールデンウィーク明けで再開されましたが、為替市場では先週末からの流れを引き継ぎ、ドルが主要通貨に対して軟調に推移しています。特にアジア通貨の急騰がドル安を加速させており、ドル円は一時的な調整局面に入った可能性があります。
◆【1】前日の為替市場の振り返り(5月5日)
5月5日(月)、米国市場ではドルが主要通貨に対して下落しました。背景には、トランプ大統領の新たな関税政策への懸念があり、特にアジア通貨が急騰したことがドル安を加速させました。台湾ドルは2日間で8%上昇し、3年ぶりの高値を記録しました 。また、香港金融管理局が自国通貨の上昇を抑えるために78億ドルの介入を行ったことも報じられています。Reuters
◆【2】主要通貨ペアの動向
▶ ドル円(USD/JPY)
ドル円は先週末に146円台を記録しましたが、5月5日の取引では145円前半まで下落しました。これは、アジア通貨の上昇と米国の関税政策への懸念が影響しています。ただし、日銀の緩和政策が継続していることから、円の上昇は限定的であり、ドル円は一時的な調整局面にあると考えられます。
▶ ユーロドル(EUR/USD)
ユーロドルは1.08ドル台で推移しています。欧州中央銀行(ECB)の利下げ観測が後退しており、ユーロは底堅く推移しています。また、米国の関税政策への懸念がドル安要因となり、ユーロドルの上昇を支えています。SMD-AM
▶ 豪ドル円(AUD/JPY)
豪ドル円は98円台で推移しています。オーストラリアのインフレ率が高止まりしており、豪州準備銀行(RBA)の利下げ観測が後退しています。また、アジア通貨の上昇が円安要因となり、豪ドル円の上昇を支えています。
◆【3】今後の注目材料と展望
▶ 米国の経済指標
今週は、米国のインフレ指標である消費者物価指数(CPI)と生産者物価指数(PPI)の発表が予定されています。これらの指標が予想を上回る場合、米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測が強まり、ドル高要因となる可能性があります。
▶ 米中貿易交渉
米中間の貿易交渉が再開される見通しですが、具体的な進展は見られていません。トランプ大統領の関税政策への懸念が引き続き市場のリスク要因となっており、交渉の行方が注目されます。
▶ アジア通貨の動向
台湾ドルや香港ドルの急騰がドル安要因となっています。これらの通貨の動向が今後もドルの動きに影響を与える可能性があり、注視が必要です。株探
◆【4】テクニカル分析:ドル円のサポートとレジスタンス
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サポートライン:144.00円、143.50円
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レジスタンスライン:145.80円、146.30円
ドル円は、145円前半でのサポートが意識されており、この水準を維持できるかが注目されます。一方、146円台への再上昇には、米国の経済指標や貿易交渉の進展が必要となるでしょう。
◆【5】まとめと戦略
ドル円は一時的な調整局面にありますが、日銀の緩和政策が継続していることから、円の上昇は限定的と考えられます。今後の米国の経済指標や米中貿易交渉の進展がドルの動向を左右する要因となるでしょう。投資家は、これらの要因を注視しながら、柔軟な戦略を取ることが求められます。
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