【2025年6月24日 為替市場深掘りレポート】
— 停戦決定によるドル軟化とリスクオンの波、次なる焦点は為替水準と金利差
1️⃣ 本日の市場概況:地政学に呼応する相場動向
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イラン–イスラエル停戦発表を受けて、世界市場は急速にリスクオンへと傾きました。主要株価指数が上昇し、原油価格が急落。投資家心理が一気に和らいだことが為替にも直結しています。
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これによりドル指数は0.6%低下し、横ばいが続いていた円・ユーロ・ポンド・オセアニア通貨が一斉に反発。中でもドル円は145円台前半まで軟化しています。
2️⃣ 原油価格とドル相関の動き
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北海ブレントは約3%下落し、70ドル台前半へ。これは停戦期待による供給懸念の緩和によるもの。
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一般にはドル安(USD安)が見られるが, 今回は原油安=ドル安(USD弱い)という構図。資源国札や円などが恩恵を受けています(特にインドルピーや円)。
3️⃣ ドル円テクニカルと節目攻略
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下降チャネル継続中。上値は145.95付近で抑えられ、下値は144.25〜143円まで余地あり。
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Economies.comは、146円突破後の押し目買いゾーンが145円前後と指摘。Forex24.proは、サポート割れなら144.25〜142円ゾーンと警戒要請。
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RSIは「中立からやや売られ過ぎ」。EMAや50日線はサポート圏内で反発の余地が残っています。
4️⃣ 円の動きと支持要因整理
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他通貨比で円が相対的に強く、ドル円軟化の主役に。東京時間では145.30→145.05円へ。
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原油安による「輸入コスト低下圧力」は日本に大きく作用。輸出・輸入バランスへのポジティブ要素。
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為替当局の政策変更なしと確認され、円の不安定さ・乱高下への恐怖も後退。
5️⃣ 他通貨パフォーマンスと動向
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EUR/USD:ドル売り流れを反映し、1.152→1.1609付近まで反発。
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AUD/USD / NZD/USD:リスクオンによるオセアニア通貨上昇。AUD+0.7%、NZD+0.75%前後に回復。
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USD/INR(ルピー):原油安とドル弱体化のダブル恩恵で、0.6%上昇し86.22→86.75へレンジ移行。
6️⃣ 市場心理:リスクオンへ加速
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停戦発表に即座に反応したのは、リスクオン=ドル売り・円売りの流れ。Equity rally が顕著。
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金利見通しの変化:FRB幹部による「利下げ圧力」に再注目。ドル安への構造的支持が継続中。
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投資家心理改善でECB/BOEの政策見通しにも注目が戻る兆し。中銀リスクヘッジの動きが再燃。
7️⃣ ファンダメンタルの軸:3つのポイント
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地政学リスクの低下:停戦でドル売りが加速し、安全通貨需要が一時的後退。
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原油価格の落ち着き:70ドル台前半→リスク通貨へ回帰推進。ドルインデックスには弱材料。
- ドルの構造的弱要因:米金融政策の不透明さ、利下げ圧力、貿易政策リスクなどへの懸念が継続
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8️⃣ ショート〜中期ストラテジー提言
■ 短期(本日〜数日)
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ドル円:145円割れ狙いのショート。145円トライ後、反応なければロングポジションで押し目狙い。
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リスク通貨(AUD/NZD/INR)ロング:飛び乗りではなく、270〜300pips幅での利確が目標。
■ 中期(数週間)
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ドル構造弱要因踏まえたレンジ継続〜下抜けシナリオ。中間目標:142〜143円台。
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資源国通貨ヘッジ:インドやオーストラリアなど、定期利回りを活かしたポジション組成が有効。
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金利差モニタリング:米中金利差、原油価格推移、地政学動向に連動して価格が反転しやすいため追跡推奨。
9️⃣ 本日注目すべき観察値
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✅ ドル円の145円ライン回復どうか
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✅ 原油・金市場の反応継続性
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✅ FRB幹部発言や欧州中銀のトーン
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✅ アジア株・債券の反応から来るリスク指標
🔚 総括
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本日発表された停戦=原油下落=ドル軟化という三位一体の構図が、為替市場に明確な調整要因を与えました。
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ドル円は145円前後で調整へ, 短期では押し目買い、中期ではドル弱傾向を意識した警戒が必要です。
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今後は地政学の再燃や原油の反転、FRB発言などが一斉に影響する混合相場となり、流動性とリスク管理がますます重要になります。
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