【2025年6月24日 為替市場レポート】
イスラエル・イラン「永久」停戦報道でリスク回復、ドル軟化・円反発 一方で政策発言・商品価格の影響に注視
1. 市況概観:停戦期待とドル調整、リスク志向再燃
24日の為替市場は、トランプ前大統領が「イスラエルとイランの永久停戦」に合意したと報じたことで瞬間的に地政学リスクが後退。これを受けて原油価格が約3%下落(1バレル=66.80ドル)、株高・ドル安・リスク通貨買い戻しといった流れが加速しましたreuters.com。
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ドル円は一時148円台から145.45円へ急反落。さらに日中は145円半ばを下回る水準に推移。
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ドル指数は主要通貨に対して0.5%以上下落し、ドルの年初来最悪下落ペースに拍車が掛かりましたreuters.com。
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投資家心理が改善し、豪ドル・NZドル・ユーロなどリスク通貨に買い戻しが一斉に入っています。
ただし、報道には不確定要素も多く、「停戦合意は公式確認されていない」ため慎重な警戒ムードも継続中です。
2. 主要10通貨ペアの詳報分析
2.1 USD/JPY(ドル/円)
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値動き:148→145.45円へ急反落後、145.0~145.5円の推移。
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背景:地政学リスクの後退+原油下落による円の再評価。
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注目点:日米政治動向、米議会準備制度や日本の対米為替調整戦略に注目。不確実性が高く145円割れ・147円台回帰の行方が焦点。
2.2 EUR/USD(ユーロ/ドル)
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値動き:1.1605→1.1560付近へ小反落。
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背景:ドル軟化の波に乗りユーロも上昇。その後、リスク通貨相場の全体調整も。
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注目点:米議会証言(パウエル証言)、ECB理事発言が短期的な材料になり得ます。
2.3 EUR/JPY(ユーロ/円)
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値動き:170円近辺から168円前後まで調整。
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背景:ドル円調整幅に連動。ユーロの押し下げも一因。
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注目点:リスク回復の持続性とECB動向が焦点。
2.4 AUD/JPY(豪ドル/円)
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値動き:0.6493豪ドル高に連動し、145円台へ。
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背景:停戦期待と原油安によるリスク通貨買い。
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注目点:中国・オーストラリア向け経済指標、原油安持続の可否。
2.5 NZD/JPY(NZドル/円)
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値動き:0.6009NZドル高に反応し、軟調回復。
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背景:リスク通貨の巻き戻しと米ドル軟化トレンド。
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注目点:豪ドル同様、商品価格と安全資産需給の行方がポイント。
2.6 CAD/JPY(カナダドル/円)
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値動き:油価下落で軟化気味も円安調整に支えられ105円台から104円台半ばへ。
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背景:商品通貨だが原油下落抵抗。地政学→原油への影響が顕著。
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注目点:来週予定のカナダCPI・BOC発言が影響要因。
2.7 CHF/JPY(スイスフラン/円)
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値動き:円の一部戻りにより177→175円台へ調整。
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背景:停戦後リスクオンで一部戻し。SNB・独中銀動向注視。
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注目点:資金の安全資産回帰トレンドに振れ幅注意。
2.8 GBP/USD(ポンド/ドル)
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値動き:1.3564→1.350台中盤へ軟化。
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背景:ドル軟化を受け一旦反発、その後調整。
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注目点:BoEメンバー発言・英経済指標の方向性。
2.9 GBP/JPY(ポンド/円)
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値動き:196円近辺から194円台へ反落。
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背景:ドル円・ポンドドル両方の影響を受けた複合調整。
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注目点:リスク通貨全体の流れとBoE動向の兼ね合い。
2.10 USD/CAD(ドル/カナダドル)
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値動き:1.365→1.370付近へドル優勢へ反転。
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背景:ドル弱から反発に転じ、CAD押し戻し。
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注目点:原油動向・地政学リスク=ドル/CADに影響。
3. マクロ背景と心理トレンド
● 地政学リスクの緩和と不安の継続
停戦報道が市場を一時楽観モードへ導いたものの、詳細不明なまま。誤報の可能性もあり、短期的な反発だが内容次第で再警戒reuters.com+13reuters.com+13reuters.com+13reuters.com。
● 原油価格への影響
3%下落(66.80ドル)→インフレ圧力抑制→ドル圧縮→商品通貨支援の構図。物価・金融政策に波及の可能性reuters.com。
● ドル相場の調整局面
ドル指数は0.5%超急落、ドル最悪半年ペース継続。Fedの利下げ見通しがサポート材料。
● 政策発言ウィーク
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パウエル証言(上下両院):利下げ観測とインフレトーンが焦点。
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Michelle Bowman・Christopher Waller発言:7月利下げオープンと示唆reuters.com+3reuters.com+3reuters.com+3。
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英中銀・ECB関係者:インフレ・成長見通しでリスク通貨に影響。
● 為替政策の視野
日本政府が対米交渉で為替安を巡る微妙な姿勢を継続中。副大臣 三村氏再任も為替安定への意図を再確認reuters.com+15reuters.com+15reuters.com+15。
4. テクニカル分析と戦略提案
通貨ペア | レンジ・抵抗ライン | 下値支持ライン | 戦略 |
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USD/JPY | 147–148円、146円 | 145.0円、144.5円 | 停戦継続なら買い。否定ならショート |
EUR/USD | 1.160–1.165 | 1.155、1.150 | ECB待ちの押し目買いを想定 |
AUD/JPY | 93–95円 | 91–92円 | リスク通貨→原油トリガー次第 |
GBP/USD | 1.360–1.365 | 1.345–1.350 | BoE・米資料でドライブ可能 |
USD/CAD | 1.36–1.38 | 1.35–1.36 | 原油・停戦・米指標連動で調整 |
5. 今後の注目イベント
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パウエル証言(米議会上下院):利下げ姿勢が為替に直撃材料。
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ECB・BoE関係者スピーチ:利下げか据え置きか市場心理反映。
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原油価格動向:インフレ的側面=政策に波及。
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中東情勢の継続 or 再燃:「永久停戦」の裏側次第で相場の質変化。
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米・カナダ消費・CPI指標:ドル・CAD両通貨に影響。
🔍 まとめ
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停戦報道によりリスク回復、ドルは急反落・円も急反発。
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商品通貨(豪、NZ、CAD)は原油急落・リスク回復=一時的上昇。
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スムーズな停戦継続か、再燃含みを持つかで90分後の相場展開は極めて分かりやすい構造。
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政策発言(パウエル等)は夏場の次トレンドへの分岐材料。
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短期~中期の幅広いレンジ対応が有効。事件的リスクと政策の交差点を見極めよう。
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