【2025年6月25日 為替市場レポート】
イスラエル・イラン停戦期待でリスク回復、ドル売り・円軟化、政策と商品動向に注目
1. 市況全体の概要
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中東情勢の転機:イスラエルとイランの間で停戦が「脆弱だが継続中」と伝わり、投資家のリスク回避姿勢が和らぎました。これにより、株価が世界的に上昇、原油価格は3%下落、そして安全資産需要がピークアウトしてドルの支援材料が弱まりました。
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ドルの調整局面:ドル指数は主要通貨に対して約0.5%安となり、ユーロは2021年10月以来の高値水準、豪ドル・NZドルも上昇する一方、円とスイスフランは小幅変動に留まりました。
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米政策動向混在:パウエルFRB議長は急速な利下げの必要はないと発言しつつ、弱い米経済データは年内の利下げ観測を後押ししています。市場は9月の利下げ(計60bp)が織り込まれ、長期金利は低下傾向です。
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BOJの政策葛藤:6月16–17日の会合では、米関税・物価上昇を巡る意見が分かれており、一部理事は利回り引き上げに前向き。次回7月末の会議で注目されていますreuters.com。
2. 主要10通貨ペアの分析
以下に、通貨ペアごとに値動き、水準、背景、今後のポイント、テクニカル展望をまとめました。
2.1 USD/JPY(ドル/円)
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水準:144.68–145.27円reuters.com+6reuters.com+6tradingeconomics.com+6
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背景:ドル需要の一服と円のリスクオン回復で144円台後半へ軟化。
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視点:一時145円ミドル回復も、リスク通貨の戻しが抑え材料。BOJの慎重姿勢と原油価格も留意。
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展望:145円¼~143円半ばのレンジ形成。再トライの上昇に対し、143円台では買いサポートが強まる可能性。
2.2 EUR/USD(ユーロ/ドル)
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水準:1.162台に上昇し、2021年10月以来の水準reuters.com
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背景:ドル売りに加えて、ECB利下げ観測の一時緩和が支援材料。
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展望:1.155–1.165のレンジで推移。ドル調整の状況次第では1.17も見えてくる展開。
2.3 EUR/JPY(ユーロ/円)
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水準:168円台後半–169円台reuters.com+15reuters.com+15reuters.com+15
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背景:ドル円との連動により円が軟化する中、ユーロは高水準キープ。
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展望:168–170円のレンジが継続。上抜ければ171円台トライも視野に。
2.4 AUD/JPY(豪ドル/円)
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水準:0.6503豪ドル=1ドル→約94円台
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背景:ドル安・リスクオン&原油下落によるコスト圧力緩和で、豪ドルが力強く反応。
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展望:93–95円のレンジ中心。米経済指標、商品市況に敏感な動き。
2.5 NZD/JPY(NZドル/円)
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水準:大台返り咲き後、小反落で円絡み調整圧力継続。
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背景:豪ドルと合わせてリスク回復による強含み。
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展望:86–88円レンジ。FOMC後の米指標動向がキードライバー。
2.6 CAD/JPY(カナダドル/円)
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水準:104.5–105円台半ば
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背景:原油下落を受け商品通貨圧力減。リスク回復により円の軟化が支援して相対的に堅調。
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展望:105円前後のレンジ。7月のBOC発言が注目材料。
2.7 CHF/JPY(スイスフラン/円)
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水準:175–176円台
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背景:安全通貨としての位置づけは変わらず、円との連動で範囲安定。
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展望:176円近辺が試される場面あり。不確実性の再燃には上値余地も。
2.8 GBP/USD(ポンド/ドル)
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水準:1.350–1.360のレンジ
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背景:ドル売りに支えられて強含むが、BoEの緩和観測により上値限定的。
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展望:1.345–1.365レンジ。米・英イベントが方向感材料に。
2.9 GBP/JPY(ポンド/円)
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水準:194–196円台
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背景:ドル円の軟化とポンドドルの活動により、円全面軟化の流れに連動。
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展望:193–197円のレンジ内。理由なきブレイクには注意。
2.10 USD/CAD(ドル/カナダドル)
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水準:1.365→1.370台まで再反発
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背景:ドル調整一服で反発。原油価格下落は重しながら、全体のドル需給が優勢。
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展望:1.36–1.38のレンジ中心。事件・原油動向に注意。
3. マクロ・政策要因と市場心理
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停戦報道(脆弱ながら継続):リスク回避の一服感が生まれましたが、実体確認や地元政治の対応が未確定。
- 原油急落(3%の大幅下落=66.8→約65ドル)。商品通貨全面に影響、インフレ圧力も抑制へ
reuters.com+4reuters.com+4reuters.com+4。
- ドル下落の流れ継続:テクニカルな調整というより中期トレンド継続の形。オプション市場でもUSDプット優勢でドル下落圧力のしかかり継続中
。
- 金価格上昇:ドルの一服とインフレ・地政学リスク後退を背景に、金が3,328ドル台へ反発
- 中央銀行の動向:BOJ理事会は方針割れる中、SNB利下げ後のフラン動向、ECB・Fed見通しも注目
。
- ドル離れの流れ:OMFIFによれば多くの中央銀行がドル以外(特にユーロ・金・人民元)へ保有を拡大中。中期の方向性示唆
4. テクニカル展望と戦略アイデア
通貨ペア | レンジ | キー水準 | 戦略案 |
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USD/JPY | 143.5–146.0円 | 上抜け146円、下抜け143.5円 | 不確実性時はレンジ売買、明確ブレイクには順張り |
EUR/USD | 1.155–1.165 | 上抜け1.17、下抜け1.15 | ECB後のトレード、押し目買い重視 |
AUD/JPY, NZD/JPY, CAD/JPY | 各90–95円周辺、85–88円、104–106円 | 原油次第で下限接近も反発狙いが有効 | |
CHF/JPY | 174–178円 | 安全資産のレンジ | ボラ高時は逆張り、安定時はレンジ売買 |
5. 今後の注目ポイント
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パウエル証言(議会上下院):利下げ時期・インフレ見通しの開示。
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ECB・BOE関係者発言:金融政策見通しと景気判断。
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原油価格動向:地政学絡みでのぶれが市場に直撃。
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中東情勢(停戦実態):“永久”ではなく短期的な停戦と予想。
🔍 まとめ:6月25日の整理
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停戦期待が市場に安心感を与え、リスク通貨が一斉に反発
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ドルは調整軌道継続:144–145円中心、ユーロは高値圏回復
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商品通貨は原油次第で反発一服も、リスクオンの恩恵は継続
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政策と地政学の混線相場、方向感の出る材料待ち
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イベント待ちレンジ運用が現時点では有効
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