【2025年7月1日 為替市場レポート】
ドル全面安継続:Fedの独立性懸念とトランプ政策への警戒、円・フラン堅調、安全・リスク通貨に明暗
◆ 1. 市況全体の総括
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ドル下落圧力強まる
トランプ前大統領がパウエルFRB議長への批判を強め、利下げ圧力を示唆したことで、市場は「Fedの政治介入」を織り込みつつあります。これを受け、ドル指数は10年来安水準へ進行中reuters.com。 -
米ドル/円は10年ぶりの円高急伸
ドル/円は0.64%下落し、一時143.08円まで円高が進行。円は年初来で9%上昇し、2016年以来の高パフォーマンスとなっています。 -
ユーロ・ポンド・スイスフランが対ドルで強含む
ユーロは約4年ぶり高水準(1.1781ドル)、ポンドは1.3757ドル、スイスフランも強含み。総じてドル弱基調が鮮明にreuters.com。 -
夏場の薄商いリスク
米国の独立記念日週前に入り、取引量が減少。FTは「夏場の薄商いで一方向ストーリーが過剰に膨らむ恐れ」を警告しています。
◆ 2. 10通貨ペアの詳細分析
以下では、主要10通貨ペアを水準、動因、今後の見通しとともに詳しく解説します。
2.1 USD/JPY(ドル/円)
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水準:143.08円前後reuters.com
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背景:ドル全面安+円リスクオン圧力と、「薄商いによる急騰」パターン。
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展望:142.00–145.00円の広めレンジ。7月の季節要因で円が強くなる可能性大。
2.2 EUR/USD(ユーロ/ドル)
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水準:1.1781ドル(約4年ぶり高値)reuters.com+8reuters.com+8forex24.pro+8
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背景:ドル弱+欧州政策への信頼感+Fedの政治リスク。
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展望:1.17–1.19レンジ。テクニカルでは1.1895突破も視野reuters.com+6reuters.com+6reuters.com+6reuters.com+8forex24.pro+8forex24.pro+8。
2.3 EUR/JPY(ユーロ/円)
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水準:約165〜166円計算(ユーロ強+円高圧力)。
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背景:ユーロ高と円高の相乗で複雑な動き。
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展望:163–168円のレンジ。EUR/USD側の動きと連動。
2.4 AUD/JPY(豪ドル/円)
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見込み水準:96~98円レンジ。
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背景:リスク通貨買戻し+円高抑制の同時進行。
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展望:95–99円レンジの流動市場。米指標・中国データ注意。
2.5 NZD/JPY(NZドル/円)
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レンジ見込み:88〜90円。
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背景:豪ドル同様リスク回復効果を受けるが、円高圧力も効きやすい。
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展望:87–91円レンジ。リスクオン環境なら上限へ。
2.6 CAD/JPY(カナダドル/円)
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レンジ見込み:104〜107円。
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背景:商品通貨ながらドル安が主ドライバー。
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展望:原油価格次第の動き。原油急上昇時は上限トライ、逆では下限試し。
2.7 CHF/JPY(スイスフラン/円)
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水準:約0.79–0.80 CHF/USD → 約180–183円。
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背景:伝統的安全通貨としての地位を維持しつつ、ドル安が効いて強含み。
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展望:179–184円レンジ。リスクイベントでさらなる円買い・フラン買いも。
2.8 GBP/USD(ポンド/ドル)
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水準:1.3757ドルreuters.com
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背景:ポンド強+ドル安=上昇トレンド。英国経済や政策次第で一段高。
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展望:1.37–1.39のレンジ。BOE動向と対米関係が焦点。
2.9 GBP/JPY(ポンド/円)
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水準:約197円程度(GBP/USD × USD/JPY)。
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背景:ポンド高・円高の両面影響を受け、柔軟な価格帯。
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展望:195–200円レンジ。トレンドはスイング主体。
2.10 USD/CAD(ドル/カナダドル)
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水準:1.370前後(ドル安+カナダドル安の相殺)。
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背景:ドル売りの影響が大きく、商品通貨側の反応も限られる。
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展望:1.36–1.38レンジ。原油と米指標に反応しやすい。
◆ 3. マクロ・政策・心理動向
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Fedの独立性が市場動揺の主因
パウエル批判と利下げ圧力増加で、ドル失墜。中央銀行フォーラムでは政策独立性が争点に。 -
ドル最弱Q1相場進行中
ドルは上半期に10%以上下落し、1970年代以来の急落ペースに。 -
薄商いによる歪んだ夏相場
FT警告通り、市場は薄商いゆえに小動きで急変動の重圧が継続中。 -
市場のドル依存見直し
OMFIF調査では70%がドルへの不信を示し、ユーロや金、人民元へのシフトが確認されているreuters.com+14reuters.com+14reuters.com+14。
◆ 4. テクニカル & 投資戦略
通貨ペア | 短期レンジ | 戦略 |
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USD/JPY | 142–145円 | 着実なレンジ売買。年初円強継続。 |
EUR/USD | 1.17–1.19 | 押し目買い。1.19突破なら順張り。 |
AUD/NZD/CAD | 各通貨高入替 | 原油・米経済次第で押し目買い。 |
CHF/JPY | 179–184円 | 安全通貨。逆張りで利確を意識。 |
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米雇用統計(3日)、FOMC(22日)、ECB・BOE発言に注視。
🔍 総括
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ドル安の勢いが続きつつも、夏相場の「薄商い」が価格動向を不安定に。
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ユーロ・ポンド・円・フランが相対的な強さを維持し、各通貨ペアはレンジ中心の展開。
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投資判断は「政策、地政学、商品トレンド」の交差点に基づく戦略がカギ。
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夏場のボラティリティを活かした柔軟なトレード戦略が有効です。
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