【2025年8月12日 為替市場レポート】 ドル堅調と中央銀行政策への揺れ:CPIを前に方向性模索、貿易延長でリスク志向回復

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【2025年8月12日 為替市場レポート】

ドル堅調と中央銀行政策への揺れ:CPIを前に方向性模索、貿易延長でリスク志向回復


1. 市況概観:CPI前の探り合い、ドルは安定、株高継続

  • ドルは円に対して堅調:USD/JPYは約148.40円と0.2%上昇。米・ユーロ・ポンドに対する基軸ドル指標も安定した動きで推移し、ドル指数(DXY)は約98.48と先週後半の上昇を維持。市場は本日発表予定の米・消費者物価指数(CPI)に注目しつつ、ドルは底堅く「いったん買い戻し」の構えです。Reuters+1

  • 米・中国の関税合意延長でリスク志向回復:トランプ米大統領が米中間の関税猶予期間を90日間延長したことで、アジア株は総じて上昇。日本の日経平均は史上最高値を更新し、豪ASXも高値圏を維持しました。Reuters+1

  • インド・ルピーは堅調推移:米・インド両国のCPI発表前に87.71ルピー付近で小幅高。発表待ちムードが強く、市場は「次の中央銀行動向判断の材料」を慎重に見極めている状況です。Reuters

  • オーストラリアも注目:RBAが利下げする見通しが大半の中、AUDは0.6518ドル付近で安定。来週12日の政策決定にも注目が集まります。Reuters+1


2. 主要通貨ペア動向と戦略

以下に、各通貨ペアの「現状」「背景」「戦略案」を整理しました。

2.1 USD/JPY(ドル/円)

  • 水準:約148.40円

  • 背景:CPI前のポジション調整局面。ドルは堅調、円は安全資産としての一面も。

  • 戦略147.5–149円レンジで押し目買いが中心。148.5円を上抜く動きに連動するブレイク狙いも検討。

2.2 EUR/USD(ユーロ/ドル)

  • 水準:約1.1622ドル、小反発傾向

  • 背景:関税猶予でリスク通貨の買い戻し。ただしECBの利下げ懸念は根強い。

  • 戦略1.16–1.18レンジ。戻り売りトレード、上抜けで順張りモデルも有効。

2.3 GBP/USD(ポンド/ドル)

  • 水準:約1.3426ドル、やや軟調

  • 背景:ドル堅調と英国経済の不透明さが圧迫材料に。

  • 戦略1.34–1.36レンジ。戻り売り中心だがBoEや英指標次第で変化余地あり。

2.4 AUD/USD(豪ドル/ドル)

  • 水準:約0.6518ドル、RBAの利下げ見通し後安定推移

  • 背景:商品通貨として下落圧。利下げ観測も影響。

  • 戦略0.64–0.66レンジ。下限付近で押し目買い、上抜け確認後に順張り。

2.5 USD/CAD(ドル/加ドル)

  • 水準:ドル優勢の中、1.370前後

  • 戦略1.36–1.38レンジ。ドル強の場合は追随、原油など商品反応にも注視。

2.6 CAD/JPY(加ドル/円)

  • 推定水準:1.37×148.4 ≒ 約203?(現実は約107円)

  • 戦略105–108円レンジ。商品連動を加味しながら調整対応。

2.7 EUR/JPY(ユーロ/円)

  • 推定水準:1.162×148.4 ≒ 約172.5円

  • 戦略170–174円レンジ。上限ブレイク狙いの展開もあり。

2.8 GBP/JPY(ポンド/円)

  • 推定水準:1.3426×148.4 ≒ 約199円

  • 戦略195–200円レンジ。押し目買いと戻り売りの併用戦略。

2.9 CHF/JPY(フラン/円)

  • 背景:リスク回避が後退しつつも、安全通貨としての値守り優勢。

  • 戦略179–183円レンジ。イベント時の逆張りや利確場面に着目。

2.10 INR/USD(ルピー/ドル)

  • 水準:87.71ルピー付近、ほぼ横ばい

  • 戦略:CPI次第で振れやすいが、現状は観望継続。インド指標で反応時が狙い目。


3. マクロ背景と市場心理

● CPIの市場焦点度が限界に

9月利下げ期待が高まるなか、本日発表予定の米・CPIが市場の方向性を左右。中核CPIの0.3%上昇は9月利下げ継続を支持、上振れは慎重派Fedを支持。Reuters+1

● 貿易リスクが緩和されてリスク選好継続

米中の関税猶予延長により、潜在的なショックが一部除去。影響として株高・豪ドル支えなど流動性に好影響。Reuters+1

● Fed人事に市場注視強まる

パウエル後任や理事任命の声明が近日予定で、構造政策スタンスに揺れがあると見られ、ドルの信認にも大きく影響。Reutersバロンズ

● 日本円は地政学・災害反応が割と小さくなってきた

地震影響はあったものの、円は堅調維持。リスクオフ要因ではあるが構造的な円高シフトには至らず。

● 新興市場では中央欧通貨に弱含み圧力

ハンガリー・フォリントなどはインフレと財政懸念でユーロに対して弱含み予測が出ています。Reuters


4. 戦略まとめ

  • 基本戦術:主要通貨ペアはレンジ回転型(押し目買い・戻り売り)の中心戦略。

  • イベント次第で一気にブレイクも:CPI、Fed/ECB/RBA発表や貿易進展などへの敏感な反応が予想されるため、小まめなニュース確認と損切りライン設定が重要。

  • ドルの信認にブレの可能性あり:トランプ政権の人事介入が市場心理にノイズを与える可能性に備える。

  • 商品通貨の原油・鉱物との連動を活用:AUD、CADなどは商品相場に合わせたトレードも有効。


5. 今後の注目イベント一覧

  1. 米・7月CPI(本日重要)

  2. Fed人事/声明(9月利下げ含む政策方向)

  3. ECB会合(7月末の結果への市場反応)

  4. RBA利下げ&声明(8月12日予定)

  5. Trump-Putin会談(ウクライナ問題含む地政学リスク)

  6. 英・インドCPI指標や中央銀行動向

  7. 主要企業決算(ITセクターなど)


総括

  • 8月12日は、市場がCPIを目前に慎重方向感の中でドルを中心に「待ち」ムードが顕著に。

  • 貿易リスク後退がリスク資産を支えつつ、Fed利下げ期待がドル圧力を抑制する構図。

  • 主要通貨はレンジ内での反応に収まりやすく、トレンド化には重大イベント待ちの展開。

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