【2025年8月13日 為替市場ファンダメンタル深掘り】
— 米7月CPI速報・ドル一時軟化、FRB人事が揺らぎ続ける中、150円超えへの攻防が交錯
本日の展開:注目CPIでドル反応、金が買われる流れ
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7月米CPIが前月比+0.2%、前年比+2.7%と予想通りだが、コアCPIは+0.3%(前年比+3.1%)と5カ月ぶりの高水準に反発し、市場に衝撃を与えました Reutersニューヨーク・ポスト。
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これによりドル指数(DXY)は98.1→97.8へと一時反落。直近のFRB利下げ観測は強まり、市場は約98%の確率で9月利下げを織り込む動きに転じています Reuters。
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ドル円も150円手前から149円台へ軟調に推移。この動きを受けて金価格は+0.2%高、水準は約3,351ドルへと上昇し、安全資産需要が復調しています Reuters。
ファンダメンタル①:CPI中身分析と市場反応
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ヘッドラインCPIの2.7%は安定示唆だが、コアCPIの反発(+3.1%)は依然高止まり。これは「不動産・保険・医療」のサービス価格が押し上げ要因となり、さらにトランプ政権の追加関税がインフレ圧に繋がり始めた可能性も指摘されています ニューヨーク・ポストThe Times。
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ただしガソリン価格が前年比-9.5%と大幅下落しており、エネルギー価格の抑制も効いているためインフレピークは通過との見方も健在 ニューヨーク・ポスト。
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結論として、市場は「コア高止まりだが、全体は落ち着いている」と判断し、9月の利下げへの期待が深化、ドル後退・債券利回り低下・金上昇へシフトしました Reuters+1。
ファンダメンタル②:FRB人事問題が影響、ドル信任への逆風
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トランプ大統領がFed理事候補としてStephen Miran氏を指名したことを受け、ドルには継続的な下落圧力がかかっています Reuters。
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引き続き市場では「FRBの独立性やデータ信頼性への懸念」が高まっており、データそのものがドルの信用に直結するリスク構造へと変貌しています Reuters+1。
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特にBLS(消費者物価統計局)の指揮者交代やデータの質疑応答を伴う流れは、ドルに対して継続的な重圧となっています ReutersIndiatimes。
通貨別展開と金融政策動向
ドル円(USD/JPY)
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150円前後で神経質な攻防が続く中、CPI受けて149円ミドルへ。
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日銀は今週も据え置き姿勢を維持し、BOJ利上げ期待は2026年初まで後送りとの観測が多い(多くの経済専門家が予想) マネーUSニュースFXStreet。
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当面は150円の節目に介入警戒が続くが、ドルインフレ懸念後退で円戻りトレンドが起こり得る。
ユーロドル(EUR/USD)
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CPI後のドル弱化受けて前日比+0.4%上昇。現在$1.166前後。
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Relief rallyの象徴だが、ECBは年内2回の利下げ路線を維持しており us.plus500.comforecasts.org、上昇の持続には独自の経済回復が鍵。
ポンドドル(GBP/USD)
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BOEは利下げ前の据え置き観測が強く、CPI堅調なら£強含み(現$1.345付近)Reuters+1。
豪ドル/NZ円/インドルピー
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オセアニア通貨はドル軟化とRBA/NZ利下げ見送りの複合材料で買い戻し圧力あり。
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ルピーはCPI・政策金利据え置きで堅調だが、ドル全体の下落によるサポートが重要要素。
投資戦略セクション
短期(即日〜今週)
ペア | 戦略 | 指標目安 |
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USD/JPY | 押し目買い検討 – 148.80~149.20再挑戦後反転 | SL=148.4, TP=150.2 |
EUR/USD | ドル軟化へのロング – $1.166→$1.18狙い | SL=1.162; TP=1.178 |
GBP/USD | 利上げ先送りならロング – $1.345→$1.36 | SL=1.34; TP=1.36 |
Gold | 連動トレンド継続 – $3,350→$3,400目処 | SL=3,300; TP=3,400 |
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CPI後の「ドル反落→非ドル通貨反発」の流れを活かす展開を狙い、早期ポジション確保後の利確を意識。
中期(数週間〜)
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ドル構造弱継続前提:年末にかけてドル指数は再調整局面へ。
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USD/JPYは142~145円帯に中期回帰、EUR/USDは1.18超え。ポンド・豪ドルなどへの構造的配置推奨。
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ヘッジ戦略としてはUSDプット、EUR/GBPロング、金など非ドル資産積み増し。
テクニカルチャート要点(ドル円)
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20日SMA:149.20円付近
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RSI(14日):58(中立〜やや過熱)
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MACD:デッドクロス前
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レジスタンス:150円、151円
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サポート:149.00→148.50→148.00
→150円超え狙いは材料依存、割れた場合は148円割れサポート狙い展開。
リスク要素と注視ポイント
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✅ FRB人事の正式発表(独立性維持かドル信任の試金石)
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✅ 米7月非農業雇用統計(バランス良い弱・中立・高のどれかでトレンド変化)
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✅ 米中関税延長の継続シグナルと交渉進展
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✅ BOE・ECBの声明、RBA・NZ政策発表
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✅ 株・債券・金利・商品価格の連動変化
総まとめ
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今日の為替相場は、予想通りのCPI+コア高反発+FRB人事問題の組み合わせで“ドルの一時反落 → 非ドル資産買い”という構図が鮮明になりました。
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改善された貿易環境 + インフレが落ち着く姿勢 = ドル圧力緩和。しかし、有意な方向転換にはFRBの政策信頼回復が必須です。
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トレーダーは「短期でのレンジ戦略&非ドル資産の反発機会を押さえつつ、中長期はドル弱基調として構造配置」する態度が重要になります。
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150円のメンタルライン突破には慎重姿勢、割れれば調整チャンスが到来します。柔軟なポジショニングとヘッジ戦略で次週からの変化に備えましょう。
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