2025年9月3日 為替市場レポート 米金利の持ち直しでドル円は145円を突破、ユーロは軟調継続 米雇用統計を控えた思惑で神経質な展開に

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2025年9月3日 為替市場レポート

米金利の持ち直しでドル円は145円を突破、ユーロは軟調継続
米雇用統計を控えた思惑で神経質な展開に


1. 市場全体の振り返り

2025年9月3日の為替市場は、前日に続いて米金利の動向が最大のテーマとなりました。米8月PCEデフレーターがインフレ鈍化を示しながらも底堅さを維持したことから、FRBが急ピッチで利下げに踏み切るとの見方は後退。これを背景に米長期金利が持ち直し、ドル買いが優勢となりました。

ドル円は145円を突破し、145.30円付近まで上昇。日本の財務省が「為替の過度な変動には対応する」と口先介入を繰り返すも、実際の介入観測は後退しており、市場はドル高基調を維持しました。

一方、ユーロは景気指標の弱さから軟調が続き、対ドルで1.0750を割り込み、年初来安値水準に接近。ポンドは堅調さを維持しているものの上値は重く、資源国通貨は中国関連の報道に振らされながらも限定的なレンジでの推移となりました。

市場参加者は9月5日の米雇用統計を最大のイベントと見ており、その結果を待つ姿勢が鮮明。流動性の薄い中で上下に振れやすく、短期筋の取引が相場を動かす展開となっています。


2. 主要通貨ペアの動向

2.1 ドル円(USD/JPY)

現状:145.25円付近。
背景:米金利上昇がドルを支え、前日144円台後半から145円を突破。日銀は緩和姿勢を維持しており、日米金利差が引き続きドル円を下支えしている。
展望:145円台半ばを試す可能性があるが、当局による介入警戒が高まる水準。短期的には144.80円を下値サポートとしつつ、146円方向を意識。

2.2 ユーロドル(EUR/USD)

現状:1.0735ドル付近。
背景:ユーロ圏景気の弱さが鮮明で、ECBの年内利下げ観測が強まっている。米金利上昇によりユーロ売りが加速。
展望:1.07ドル台前半を維持できるかが焦点。割り込めば1.0680ドル付近まで下落余地がある一方、反発しても1.0780ドルが重い抵抗。

2.3 ユーロ円(EUR/JPY)

現状:156.00円前後。
背景:ドル円が上昇しているため下支えされる一方、ユーロ自体の弱さで上値は限定的。
展望:156円を挟んだレンジが続きやすい。155.50円が下値サポート、156.70円が上値抵抗。

2.4 ポンドドル(GBP/USD)

現状:1.2840ドル付近。
背景:英国の経済指標は底堅さを示すものの、米金利上昇の影響でポンドドルは伸び悩み。BOEの政策スタンスは依然タカ派寄りとみられ、下支え要因に。
展望:1.2820ドルがサポート。再び1.29ドルを試すには米金利の落ち着きが必要。

2.5 ポンド円(GBP/JPY)

現状:186.40円前後。
背景:ドル円の上昇に支えられて堅調。ユーロに比べれば比較的底堅い。
展望:187円方向を試す余地。ただしドル円が反落すれば連れ安もあり得る。

2.6 豪ドル円(AUD/JPY)

現状:93.20円付近。
背景:中国の不動産支援策期待で豪ドルが買われる場面もあったが、その後は再び売り優勢に。
展望:92.80円をサポートに、93.70円が上値抵抗。方向感は依然として中国関連ニュースに依存。

2.7 NZドル円(NZD/JPY)

現状:87.40円前後。
背景:豪ドルと同様の動き。NZ独自の材料は乏しいため、豪ドルや米金利動向に連動。
展望:87円が維持される限り、88円方向を目指す展開。ただし豪ドルが弱含めば下振れリスク。

2.8 カナダドル円(CAD/JPY)

現状:107.20円付近。
背景:原油価格の小幅反発を受けてカナダドルは底堅い。米金利上昇も支えとなり、107円台を維持。
展望:107円を維持すれば108円方向を試す展開。ただし原油価格が再び軟調となれば106円台へ。

2.9 スイスフラン円(CHF/JPY)

現状:177.80円前後。
背景:リスク回避の動きは限定的だが、円安によって高止まり。
展望:178円を試す展開もあり得るが、フラン特有の買い材料が乏しく、178円を超えると利確売りに押されやすい。

2.10 ユーロポンド(EUR/GBP)

現状:0.8360ポンド付近。
背景:ユーロ売り・ポンド買いが続き、ユーロポンドは年初来安値圏に近づいている。
展望:0.8350を割り込めば0.83台前半へ下落。戻りは0.84台前半が限界とみられる。


3. 今後の注目材料

  1. 米雇用統計(9月5日)

    • 非農業部門雇用者数、失業率、平均時給の3点セットが焦点。

    • 雇用が予想を大きく上回ればFRBの利下げ観測が後退し、ドル円は146円突破も。弱ければ143円方向への反落もあり得る。

  2. FRB要人発言

    • PCE発表後に意見が分かれる中、ハト派・タカ派双方のコメントで相場が振れやすい。

  3. ECB理事会メンバー発言

    • 利下げ観測が強まる中、ハト派的な発言が出ればユーロ売り加速。

  4. 原油価格動向

    • CAD/JPYに直結。原油の供給不安や需要見通し次第で大きく振れる可能性。


4. まとめ

2025年9月3日の為替市場は、米金利上昇を背景にドル円が145円を突破し、ドル高基調を再確認する展開となりました。ユーロは景気不安から売られ、ポンドは相対的に底堅さを維持。資源国通貨は中国関連や商品市況に左右されつつレンジ内の動きに留まりました。

今週の最大の焦点は9月5日の米雇用統計であり、結果次第でドル円は大きく方向性を変える可能性があります。市場はすでに「雇用統計待ちモード」となっており、短期的なポジション調整が続きやすい環境。投資家は米金利の動きと当局の介入姿勢に警戒を怠れない状況です。

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