2025年9月5日 為替市場レポート
米雇用統計発表を控えドル円は146円を試す展開、ユーロは下げ止まりの兆し
1. 市場全体の振り返り
2025年9月5日の為替市場は、今夜発表される米8月雇用統計を前に神経質な値動きが続きました。前日まで米長期金利が持ち直したことを受けてドル買いが優勢となり、ドル円は一時146円目前まで上昇。東京時間から欧州時間にかけて145.80〜146.00円のレンジで推移し、イベントを前にしたポジション調整が目立ちました。
米国の景気指標はまちまちですが、8月PCEデフレーターが底堅いインフレを示したことから「FRBは年内の利下げ開始を急がない」との見方が再浮上。これがドルを支える要因となっています。ただし、今夜の雇用統計で労働市場の鈍化が確認されれば、再び利下げ観測が強まる可能性があり、市場は方向感をつかみきれない状態です。
ユーロは対ドルで1.0750近辺を回復し、前日の売り一巡後は下げ止まりの兆し。ポンドは小幅高、資源国通貨は中国関連ニュースに一喜一憂しつつもレンジ内取引にとどまりました。
リスクイベントを控えた金曜日らしく、流動性が薄い中で短期筋の売買が主導。雇用統計発表後には大きなボラティリティが予想され、各通貨ペアは重要な節目を試す展開が意識されています。
2. 主要通貨ペアの動向
2.1 ドル円(USD/JPY)
現状:145.95円前後。
背景:米長期金利上昇を背景にドル高・円安が進行し、146円台をうかがう展開。日本当局による為替介入への警戒感は根強いが、実際のアクションは見られず、市場は強気。
展望:雇用統計で強い数字が出れば146円を明確に突破する可能性が高い。一方、雇用減速が鮮明なら145円を割り込んで144円台半ばへ調整も。
2.2 ユーロドル(EUR/USD)
現状:1.0755ドル付近。
背景:ユーロ圏景気の弱さが重石となる中、対ドルで下げ止まりを模索。ECBメンバーのハト派発言が続き、上値は限定的。
展望:1.0770〜1.08ドルを回復できれば底打ち感が出るが、米雇用統計が強ければ再び1.07ドル割れも。
2.3 ユーロ円(EUR/JPY)
現状:157.10円前後。
背景:ドル円上昇に連れ高。ユーロ自体は弱含むが円安が支え。
展望:157円を維持できれば157.70円を試す。ただしユーロドルが再び下落すれば156円台に押し戻される可能性も。
2.4 ポンドドル(GBP/USD)
現状:1.2870ドル付近。
背景:BOEのタカ派姿勢が意識されポンドは底堅い。ただし米金利上昇の影響でドル買いが優勢な局面では伸び悩み。
展望:1.2850ドルを維持できれば再び1.29ドルを試す展開。雇用統計でドルが急伸すれば1.28ドル割れも。
2.5 ポンド円(GBP/JPY)
現状:187.90円前後。
背景:ドル円上昇が主因。ポンド自体は小動きだが円安が追い風。
展望:188円突破なら188.50円を目指す。ただしドル円が反落すれば187円割れもあり得る。
2.6 豪ドル円(AUD/JPY)
現状:93.45円付近。
背景:中国政府の景気刺激策報道が豪ドルを一時支えたが、持続力は限定的。
展望:93.00円を維持できれば93.80円方向。逆に割り込めば92円台半ばへ。
2.7 NZドル円(NZD/JPY)
現状:87.70円前後。
背景:豪ドルに連動した動き。NZ国内の材料は乏しい。
展望:87.50円がサポート。88円突破には米雇用統計の結果待ち。
2.8 カナダドル円(CAD/JPY)
現状:107.60円付近。
背景:原油価格が底堅く推移したことでカナダドルは買い戻し。ドル円高も支え。
展望:108円を試す可能性。ただし原油が下落すれば107円割れも。
2.9 スイスフラン円(CHF/JPY)
現状:178.40円前後。
背景:リスク回避ムードは限定的。円安主導で高止まり。
展望:178円を維持できれば179円方向。ただし安全通貨需要が乏しいため上昇余地は限られる。
2.10 ユーロポンド(EUR/GBP)
現状:0.8350ポンド付近。
背景:ユーロ売り・ポンド買いの流れが継続。年初来安値圏。
展望:0.8330割れなら下落基調加速。戻りは0.84前後が限界。
3. 今後の注目材料
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米雇用統計(9月5日夜)
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非農業部門雇用者数(NFP):市場予想+17万人。
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失業率:3.9%。
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平均時給:前年比+3.7%。
→ 予想以上ならドル高・金利上昇、弱ければドル急落も。
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FRB要人発言
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雇用統計後のコメント次第で利下げ見通しが揺らぐ可能性。
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日本当局の対応
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ドル円が146円を超えた場合、財務省による口先介入・実弾介入の可能性に警戒。
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原油相場・中国関連ニュース
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CAD・AUD・NZDなど資源国通貨の方向感を左右。
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4. まとめ
2025年9月5日の為替市場は、米雇用統計を目前に控えた様子見ムードの中で取引が行われ、ドル円は146円を試す動きとなりました。ユーロは下げ止まりの兆しを見せ、ポンドは底堅さを維持。資源国通貨はレンジ内での調整が続きました。
今夜の雇用統計は、FRBの次の一手を占ううえで極めて重要です。強い数字なら「利下げ先送り」でドル高・円安が進行し、ドル円は146円台を明確に突破する可能性がある一方、弱ければ一気に144円台へ反落するリスクも。投資家にとってはポジション管理とリスクヘッジが欠かせない1日となります。
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