【2025年9月29日 為替市場レポート】米金利低下とドル安持続、円は142円台後半で下げ渋り ― 欧州通貨は堅調、資源国通貨は軟調基調

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【2025年9月29日 為替市場レポート】米金利低下とドル安持続、円は142円台後半で下げ渋り ― 欧州通貨は堅調、資源国通貨は軟調基調

2025年9月29日(月)の外国為替市場は、先週に続くドル安基調を背景に、ユーロやポンドなど欧州通貨が対ドルで堅調な値動きを示す一方、ドル円は142円台後半で下げ渋る展開となっています。米国の金利低下はドルにとって重石であるものの、株価の堅調さやエネルギー価格の上昇によるインフレ再燃懸念が市場を複雑にしています。

週明けの東京市場では、ドル円が142.70円〜143.10円付近で取引され、方向感に欠ける様子。ユーロドルは1.15台を固める動きを続け、ポンドドルも1.2950をうかがう展開。資源国通貨は中国経済指標の弱さが嫌気され、豪ドル円・NZドル円は上値が重く、カナダドルも原油高を背景に下支えされながらも積極的な買いは入っていません。

今週は米PCEデフレーター、ISM製造業景況指数、雇用統計といったビッグイベントが集中しており、9月相場の総仕上げとなる可能性があります。まずは本日夜の米指標や欧州消費者信頼感指数に注目が集まります。


1. 前週(9月22日〜26日)の振り返り

先週は米住宅関連指標の悪化や耐久財受注の弱さを受けて、米長期金利がじりじりと低下。ドルインデックスは再び100を割り込み、ドル売り優勢の週となりました。

  • ドル円: 145円目前から142円台後半まで下落。日銀の金融政策修正観測は後退したが、米金利低下が主因。

  • ユーロドル: 1.1450を突破し、1.15台定着を試す展開。ECB理事のタカ派寄り発言がサポート。

  • ポンドドル: 英インフレ指標の上振れで1.29台後半に上昇。BOEが当面利下げを急がない姿勢を強調。

  • 資源国通貨: 豪ドル・NZドルは中国PMIや不動産市場の不安定さが嫌気され下落基調。カナダドルは原油高が下支え。

  • スイスフラン: リスクオフの動きは限定的で、対円では163円台で小動き。

総じて、米国の景気減速懸念と金利低下がドル安の大きな流れを作り、欧州通貨の強さと資源国通貨の弱さが際立つ週でした。


2. 本日の為替市場の注目点

  1. 米PCEデフレーターを控えた市場の様子見
    今週最大の注目材料は米PCEデフレーター(9月30日発表予定)。インフレの鈍化が確認されればFRBの利下げ観測が強まり、ドル売りが進む可能性。

  2. 欧州経済指標
    今晩発表されるユーロ圏消費者信頼感指数がユーロの底堅さを確認させるかどうか注目。

  3. 中国景気の影響
    豪ドル・NZドルは引き続き中国経済への依存度が高いため、景気減速懸念が続くと上値を抑えられる可能性。


3. 主要通貨ペア詳細分析(10通貨ペア)

3.1 ドル円(USD/JPY)

  • 現状: 142.70〜143.10円

  • 背景: 米金利低下でドル売り圧力。ただしリスクオフの円買いは鈍く、142円台後半で下げ渋り。

  • 展望: 142.50を割り込むと141円台半ばまで下押しの余地。反発局面では143.50〜144.00が上値抵抗。

3.2 ユーロドル(EUR/USD)

  • 現状: 1.1520〜1.1540ドル

  • 背景: ECBのタカ派姿勢がユーロを支え、ドル安と相まって1.15台に乗せた。

  • 展望: 1.1550を突破すれば1.16方向を試す動き。逆に1.15割れなら利食い売りが強まりやすい。

3.3 ユーロ円(EUR/JPY)

  • 現状: 164.50〜164.80円

  • 背景: ユーロ高と円安の相乗効果で上昇。ただしドル円の軟調さが上値を抑制。

  • 展望: 165円突破が試金石。下値は164円前半がサポート。

3.4 ポンドドル(GBP/USD)

  • 現状: 1.2920〜1.2950ドル

  • 背景: 英国インフレ高止まりとBOEの慎重姿勢がポンドを下支え。

  • 展望: 1.2950を上抜ければ1.30台が視野。下方向は1.2850が堅いサポート。

3.5 ポンド円(GBP/JPY)

  • 現状: 184.40〜184.80円

  • 背景: ポンド高が支えだが、ドル円軟調で伸び悩み。

  • 展望: 185円突破で再び強気に。ただし183円後半を割ると売りが加速。

3.6 豪ドル円(AUD/JPY)

  • 現状: 91.30〜91.60円

  • 背景: 中国景気減速懸念が豪ドルの重石。RBAの利上げ期待も後退気味。

  • 展望: 91円割れなら90円台前半までの調整リスク。上値は92円が分岐点。

3.7 NZドル円(NZD/JPY)

  • 現状: 86.20〜86.50円

  • 背景: 豪ドル同様、中国依存度が高く、リスクオフの地合いで弱含み。

  • 展望: 87円回復ができればセンチメント改善。ただし年内利下げ観測が根強く、上値は限定的。

3.8 カナダドル円(CAD/JPY)

  • 現状: 106.20〜106.50円

  • 背景: 原油価格が80ドルを上回りカナダドルを支えるが、ドル円の軟調さが抑制。

  • 展望: 107円を目指す動きは原油次第。下値は105円後半が堅い。

3.9 スイスフラン円(CHF/JPY)

  • 現状: 163.20〜163.50円

  • 背景: リスクオフのフラン需要は小幅。SNBはインフレ抑制に慎重な姿勢を維持。

  • 展望: 163円がサポート。地政学リスクが高まれば164円方向へ。

3.10 ユーロポンド(EUR/GBP)

  • 現状: 0.8900前後

  • 背景: ユーロとポンドが共に強いが、ECBのタカ派寄りがやや優勢。

  • 展望: 0.8920突破で0.8950試し。逆に0.8850を割ると調整色が強まる。


4. 本日の注目材料とイベント

  • 米ダラス連銀製造業指数(今晩)
    景況感が弱ければドル売りが加速する可能性。

  • 欧州消費者信頼感指数
    ユーロドル1.15台定着を後押しするかどうか焦点。

  • 原油価格動向
    カナダドルとインフレ懸念に直結。80ドル超え維持ができるかがカギ。


5. 戦略と総括

29日の為替市場は、ドル安持続と円の下げ渋りがメインシナリオです。ドル円は142円台後半〜143円前半でのレンジ相場が基本。ユーロやポンドは引き続き上昇余地を残す一方、豪ドル・NZドルは下値リスクが意識されやすい局面です。

投資戦略としては、

  • ドル円: 戻り売り優勢、143.50円を超えるまでは売り目線。

  • ユーロドル: 1.15台維持を確認しつつ押し目買い。

  • ポンドドル: 1.30を意識した上値追い、ただし米指標発表前はポジション調整。

  • 資源国通貨: 豪ドル・NZドルは戻り売り優勢。カナダドルは原油を見ながら短期売買が有効。

今週は米ビッグイベントを控え、ドル相場の大きな方向転換の可能性がある重要な週です。29日はその序章として、市場のポジション調整とレンジ内での揺さぶりが続きそうです。

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