【2025年10月3日 為替市場レポート】米雇用統計を受けドル乱高下、ドル円は142円前半から143円半ばへ反発

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【2025年10月3日 為替市場レポート】米雇用統計を受けドル乱高下、ドル円は142円前半から143円半ばへ反発

2025年10月3日(金)の外国為替市場は、米9月雇用統計の発表を受けてドルが大きく振れました。発表直後は雇用の伸びが市場予想を下回ったことでドル売りが先行し、ドル円は142.20円まで急落しましたが、その後に平均時給が強い結果となったことで金利上昇とともにドル買いが入り、ドル円は143円半ばまで反発しました。

欧州通貨は一時的に上昇したものの、ドルの巻き戻しに押され伸び悩み。資源国通貨は中国景気懸念と商品市況の不安定さを背景に方向感が定まりにくい展開となりました。


1. 市場全体の概況

東京時間は米雇用統計を控え、全般的に小動き。ドル円は142円後半、ユーロドルは1.1420前後で膠着しました。欧州時間にかけてはユーロやポンドがやや買われましたが、動きは限定的。

注目の米9月雇用統計は、

  • 非農業部門雇用者数(NFP): +14万人(予想+18万人)

  • 失業率: 4.1%(予想4.0%)

  • 平均時給: 前月比+0.4%(予想+0.3%)、前年比+4.2%

雇用の伸びは鈍化し失業率も悪化した一方、賃金インフレ圧力は依然強いことが示されました。この結果を受け、市場は一時的に「米利下げ観測」が意識されドル売りが強まりましたが、その後は「高止まりする賃金がインフレ抑制を遅らせる」との見方から米金利が反発し、ドル買いに転じる複雑な値動きとなりました。


2. 主要通貨ペアの動向

2.1 ドル円(USD/JPY)

  • 終値: 143.40円前後

  • 展開: 雇用統計発表直後は142.20円まで急落。しかし賃金の強さから米長期金利が上昇に転じ、買い戻しが優勢となり143.50円まで反発。

  • 展望: 今後は米インフレ指標次第で145円台を再び試す可能性もあるが、142円台前半がサポートとして意識される。

2.2 ユーロドル(EUR/USD)

  • 終値: 1.1390ドル前後

  • 展開: ドル安局面では1.1450ドルまで上昇したが、その後のドル反発で押し戻された。

  • 展望: 当面は1.1350〜1.1450ドルのレンジ取引が中心。ECB理事会を控えて様子見ムード。

2.3 ユーロ円(EUR/JPY)

  • 終値: 163.20円付近

  • 展開: ドル円の乱高下に連動。ユーロ自体は底堅いが、円買い圧力で上値が抑制。

  • 展望: 162.50円がサポート、164円台前半がレジスタンス。横ばい推移を予想。

2.4 ポンドドル(GBP/USD)

  • 終値: 1.2830ドル前後

  • 展開: 雇用統計直後に1.2910ドルまで上昇したが、その後は反落。英国景気指標もさえず、買い意欲は続かなかった。

  • 展望: 1.28ドルを割り込むと下落加速の可能性。BOE政策期待が支えとなるか注目。

2.5 ポンド円(GBP/JPY)

  • 終値: 183.90円付近

  • 展開: ドル円の動きに連動し乱高下。終盤はドル円反発に支えられ持ち直し。

  • 展望: 183円台を維持できれば上昇余地。下値は182.50円がポイント。

2.6 豪ドル円(AUD/JPY)

  • 終値: 92.60円前後

  • 展開: 中国PMIの低迷が引き続き豪ドルの重荷。雇用統計のドル高局面では売られる場面もあった。

  • 展望: 92円がサポート、上値は93円半ばで重い展開。

2.7 NZドル円(NZD/JPY)

  • 終値: 86.40円付近

  • 展開: 豪ドルと同様に中国経済の影響を受け上値が抑制。雇用統計後の円安基調で下支えされた。

  • 展望: RBNZのタカ派スタンスが支えとなるが、87円突破には力不足。

2.8 カナダドル円(CAD/JPY)

  • 終値: 106.10円付近

  • 展開: 原油価格の反発がカナダドルを支え、ドル高基調と重なり106円台を維持。

  • 展望: 原油相場次第だが、105円後半がサポートとして意識される。

2.9 スイスフラン円(CHF/JPY)

  • 終値: 162.80円前後

  • 展開: 雇用統計直後のリスク回避で一時買われたが、その後は円安圧力が勝り162円台後半に落ち着いた。

  • 展望: 162円前後で底堅く推移しそう。リスク回避局面では上振れの可能性。

2.10 ユーロポンド(EUR/GBP)

  • 終値: 0.8880ポンド前後

  • 展開: ユーロ・ポンドともにドルに対して振れたため、クロスでは方向感に乏しかった。

  • 展望: 0.8850〜0.8900でのもみ合い継続を予想。


3. 今後の注目材料

  1. 米インフレ指標(CPI/PPI)
    平均時給の強さを受け、物価指標への注目度が一段と高まっている。結果次第でFRBの利下げ観測が揺れる可能性。

  2. ECB理事会(来週)
    ユーロの方向性を決める最大のイベント。追加利下げを巡るスタンスが注目される。

  3. 中国経済動向
    豪ドル・NZドルの不安定要因。来週発表の貿易収支・物価指数が焦点。

  4. 原油市場
    カナダドルの方向感を左右。供給リスクと需要懸念の綱引きが続いている。

  5. 米株式市場の動き
    リスクオン・リスクオフのセンチメントがクロス円の方向を決める要因に。


4. まとめ

2025年10月3日の為替市場は、米雇用統計の結果を受けて大きく振れた1日となりました。雇用の伸びは弱く失業率も悪化したものの、平均時給の強さがドル買いを誘い、結果的にドル円は142.20円から143.50円へ急反発しました。

ユーロやポンドは一時的に買われたものの、ドルの持ち直しで上値を削られ、資源国通貨は依然として重い動きが続いています。市場は今後の米インフレ指標に一段と敏感になっており、FRBの政策スタンスを巡る思惑次第でドルの方向性が大きく左右されそうです。

雇用統計を終え、来週以降は米CPI・ECB理事会・中国経済指標 が主要テーマとなり、10月相場のトレンドを決定づける局面に差し掛かっています。

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