【2025年10月23日 為替市場ファンダメンタル分析】 — ドル上伸/円安継続、CPI控えた不透明感と通商リスクが交錯

【2025年10月23日 為替市場ファンダメンタル分析】

— ドル上伸/円安継続、CPI控えた不透明感と通商リスクが交錯


1.本日の市場概況とキーテーマ

10月23日の為替市場は、米消費者物価指数(CPI)発表を明日に控えた中で、ドルが底堅く上昇し、円が弱含んだ展開となりました。米中貿易摩擦の再浮上懸念も材料視されつつ、市場では「指標を待つ神経質な膠着」から「ドル買い・円売り」の動きに歩調が移っています。Reuters

この日、ドル指数は僅かながら上昇し、ドル/円(USD/JPY)は約 152.37円 に至り、約1週間ぶりの水準まで円が売られました。Reuters
一方、ユーロ/ドル(EUR/USD)は軟調な展開にあり、1.1600台を割り込む場面も。DailyForex+1

本日の主要テーマは以下です:

  • 明日発表予定の米CPIを巡る期待と警戒

  • 米中貿易摩擦再燃リスクとドル安全資産としての役割

  • 日本の新政権・円売り圧力と為替介入懸念

  • 欧州通貨の軟化とクロス通貨のポジション調整

これらを順に見ていきます。


2.米国:CPI発表目前・ドルの立ち位置とリスク

2-1 CPI控えた市場心理

明日発表の 米消費者物価指数(CPI) を市場が注視しており、その前哨戦としてドルに“買いベース”の動きが見られています。米国政府機関の閉鎖により一部指標の発表が遅延しており、データの透明性に対する懸念が残る中、指標への期待と先回りのドル買いが進行中です。Reuters

ただし市場関係者の中には「CPIが予想を上回っても、すでに動きが織り込まれており、その反応は限定的」という慎重論もあります。 headlineでは「everyone thinks the Fed is going to cut next week, and probably again in December」との見方も。Reuters

2-2 ドル強の構図と限界

ドル上昇の背景には、①ドルの“安全資産”的な魅力、②米金利差・実質金利優位の期待、③ポジション調整の巻き戻しが挙げられます。特に円売り基調の中でドルが受け皿となる構図が強まっています。

しかし一方で、ドル強トレンドには“限界”も存在します。利下げ観測が根強く、米景気・雇用データに対する信用が低下しており、実際の利上げ・利下げサイクルの混乱がドルに対して重しとなっています。例えば、利下げ期待が過剰に織り込まれている状況では、ドル買い継続は難しいという見方もあります。

2-3 見通しと戦略的視点

短期的には、ドル買い・円売り優位の展開が継続しやすく、USD/JPY は 152円台半ば~153円付近を試す展開が想定されます。
ただし中期的には「CPI結果」「FOMCのスタンス」「米中通商リスク」「ポジションの巻き戻し」などがドルの上昇維持を左右する鍵となります。

戦略的には、ドル/円の押し目買いや、ドル/ユーロの調整売りが現実味を帯びていますが、ポジションは軽めに、ストップを明確にしておきたい所です。


3.日本/円:円売り圧力と政策・介入リスク

3-1 円売り継続の背景

円については、日米の金融・財政政策の見通しの差、ならびに日本政府・与党の新政権発足による“円安政策”期待が円売りを後押ししています。実際に、新首相の掲げる大規模財政刺激策観測が強く、円は売られやすい状況です。Reuters

また、円安に伴う輸入物価上昇・消費への圧迫という逆風もありますが、市場は「円売り=株・輸出好調」という構図を一時的に受容しています。

3-2 政策・介入懸念とその影響

ただし、この円安には“為替介入リスク”が常に付きまといます。財務大臣・金融当局が「過度な変動を警戒する」との発言を繰り返しており、特に150円~155円あたりでの急反転には要注意です。Reuters+1

日銀についても、利上げ観測が徐々に市場に出てきており、円安メリットと輸入インフレのダブル影響による政策シフトの可能性も視野に入る状況です。

3-3 見通しと戦略視点

USD/JPY を中心に、152円台での推移が当面の焦点です。上値としては153円近辺、下値では151円前後がサポートゾーンになります。円売りの流れを前提としつつも、円安急進後の戻り売りや介入懸念の反転に備えたショート逆張り戦略も念頭に置くべきです。


4.ユーロ・英国・資源通貨:クロス通貨および新興市場の動き

4-1 ユーロ/ドル(EUR/USD)

ユーロドルは1.1600台割れの兆しが出ており、売り圧力が優勢です。DailyForex+1 特に、「米CPI控え」でドルが堅調な中、ユーロの上値追いが抑えられています。

ユーロ圏では景況感低迷・インフレ鈍化・政局リスクが重く、ユーロ買い材料が乏しい状況となっています。中期的には1.1500近辺までの調整余地が指摘されており、売り優勢の構図が続く可能性があります。

4-2 ポンド/ドル(GBP/USD)および資源通貨

ポンドもドル強影響、英国インフレ鈍化観測などを背景に軟調です。例えば、RoboForex のトレードアイデアでは、GBP/USD での買いブレイク待ちの戦略が提示されていますが、「売り優勢」という見方も同時にあります。RoboForex

資源通貨(AUD/USD や USD/CAD など)については、原油・資源価格の動向、中国景気の関連指標、ドルの流れが鍵です。USD/CAD ではサポート1.3980付近での反発試行が指摘されています。Economies.com

4-3 新興国通貨・資金フロー

アジア圏では債券流出・ドル買い傾向が観察されており、新興国・資源国通貨の調整が進むリスクがあります。資金フローの観点から、ドルの強さが背景にあるうちはこれら通貨は軟調傾向をたどりやすいです。


5.リスク要因・逆行シナリオ

本日の相場にとって影響を与えうる主要なリスク・逆行要因は次の通りです:

  • 米CPIのサプライズ:予想を大きく上振れすればドル上昇加速、逆に弱ければドル急反落の可能性。

  • 米中通商摩擦激化:レアアース輸出規制や報復関税などが出れば、リスクオフで円・スイスフラン上昇も想定。

  • 日本の介入・政策転換:円安進行が顕著になった場合、介入期待・日銀スタンス変化で円反発シナリオ。

  • 欧州リスク・政局変動:ユーロ圏が予期せぬ弱材料を出せば、ユーロ安が加速。

  • ポジション巻き戻し:ドル/円の円ショートが過剰に積みあがっている場合、急反転リスクが内在。

特に「反動の速さ」は過去の相場でもよく見られており、流れを読み切るだけでなく、逆流にも備えたポジション設計が重要です。


6.投資/トレーディング戦略

以下は、10月23日の相場背景を踏まえた通貨・資産別戦略案です:

  • USD/JPY:押し目買いベース。「151.50~152.00円」付近で買い、上値めどで「153円台」か「154円トライ」。ただし、円急反転リスクを考え、ストップは「150円割れ」で設定。

  • EUR/USD:売り優勢という構図。1.1610~1.1660付近で売り、目標1.1550~1.1500。反発狙いは1.1700突破時に検討。

  • GBP/USD:レンジ中心。1.33~1.34付近での売り観点。ブレイクなら1.35台。

  • AUD/USD / USD/CAD:資源・中国景気関連指標に注目。ドル強ならAUD売り、CAD買いが選択肢。USD/CADでは1.3980サポートで反発試行も。

  • ヘッジ戦略:ドル強基調ながら変化の兆しあるため、小ロット・分散・ヘッジ(逆ポジション)併用を推奨。


7.総括

10月23日の為替市場は、ドル上伸・円売り継続という比較的分かりやすい流れの中で、「CPI発表前の手控え」「通商・政策リスク」「ポジションの巻き戻し」という複数の不確実性を抱えた展開です。ドル/円は152円台を突破しつつありますが、これが持続するかどうかは、まさに明日の指標とその後の政策反応にかかっています。

ユーロ・ポンド・資源通貨といったクロス通貨は、ドル動向の影響を強く受けやすく、「ドルの次の動き=相場の分岐点」と言っても過言ではありません。
読者・トレーダーの皆さまには、このような不透明な局面で「流れに追随」するだけでなく「逆流に備える」姿勢を持っていただきたいと思います。押し目買い・戻り売り双方を想定しつつ、ストップ管理・ポジション分散を徹底したうえで、相場の転換点を見極めていきましょう。

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