【2025年10月23日 為替市場レポート】 ドル小幅反発、円は軟調継続─欧州通貨下落・資源国通貨は一進一退

【2025年10月23日 為替市場レポート】

ドル小幅反発、円は軟調継続─欧州通貨下落・資源国通貨は一進一退

2025年10月23日(木)の外国為替市場は、先週までの「ドル安+円安」傾向からやや調整色が強まり、ドルが小幅反発、円は引き続き軟調な展開となりました。特に、対ドルでのユーロやポンドの値動きが鈍く、欧州経済指標の弱さが浮き彫りとなった一方で、資源国通貨は商品市況の乱高下に振られやすい状態が続いています。

東京時間では、ドル円が約 ¥151〜¥152 付近で推移し、円安基調が継続。海外時間に入ると、米長期金利のわずかな上昇がドルを支え、対ドルでユーロ・ポンドが軟化しました。中国からの製造業データが再び弱めだったことが、豪ドル・NZドルなどオセアニア通貨の支えを弱める要因にもなりました。市場は来週予定される米雇用統計およびインフレ指標を控え、ポジション調整ムードが強まり、通貨ペアによってはレンジ取引的な展開が目立ちました。


1. 市場概況

本日、アジア株式市場が軟調に始まり、特に中国・香港市場の下落が目立ちました。これがリスク回避的な動きを誘い、円買い・豪ドル売りなどが観察されましたが、円そのものは依然として下値圏での買いが限定的で、円安の流れが継続しています。ドル円はドル買い・円売りの構図を維持しながら、151円台後半へと上昇しました。

欧州時間に入ると、独10月製造業PMI速報値が予想を下回ったとの報道を受けて、ユーロが対ドルで売られました。DailyForex+1 また、米10年債利回りがわずかに上昇したことがドルの支えとなりました。終始方向性を欠く展開ではありましたが、「ドル弱が反転か」という思惑が市場に影を落としていました。


2. 主要通貨ペアの動向

以下、主要10通貨ペアをそれぞれ「現状・背景・展望」の順に整理します。

2.1 ドル円(USD/JPY)

  • 現状: 約 ¥151.80〜¥152.30付近。 Investing.com+1

  • 背景: 円安基調が継続。日本の金融政策および為替介入への警戒感があり、ドル買い・円売り優勢。米金利が若干上昇したこともドル支援につながりました。

  • 展望: 短期レンジとしては ¥150.50〜¥153.00 が想定ゾーン。上値突破には米指標の強さ・日本の政策転換が必要。下値は¥150付近がサポートとなる可能性。円の反発材料が出ない限り、円安傾向は継続しやすいと見られます。

2.2 ユーロドル(EUR/USD)

  • 現状: 約 1.1580〜1.1610ドル付近。 DailyForex+1

  • 背景: ユーロ圏の製造業指標の弱さ、ECBの追加利下げ観測がユーロの重し。ドルが底堅く動いていることも相まって、ユーロドルは軟調基調。

  • 展望: 1.1550ドルを割れるかどうかが注目。上値阻力は1.1660〜1.1700ドルあたり。レンジはおおよそ 1.1500〜1.1650 ドルと想定。米インフレ指標次第では1.1500ドル割れのリスクも。

2.3 ユーロ円(EUR/JPY)

  • 現状: 約 ¥176〜¥177 付近(ドル円×ユーロドル換算ベース)

  • 背景: 円安進行がユーロ円を押し上げるいっぽう、ユーロ自体の上値余地が限られているためクロス円としては伸び悩み。

  • 展望: レンジは ¥174〜¥178 あたり。上抜けにはユーロ圏改善の材料が必要。下値トライなら¥174円台前半までの調整余地あり。

2.4 ポンドドル(GBP/USD)

  • 現状: 約 1.3350〜1.3400ドルあたり。 Forex.com

  • 背景: 英国経済指標がさえない中、ドル買い圧力がポンドを抑制。ドルの反発が相対的優位をもたらしています。

  • 展望: 1.3400ドル突破なら1.3450ドル方向も。「1.3300ドル割れ」で下値圧力強まる可能性。BOEの動向と英国指標に注目。

2.5 ポンド円(GBP/JPY)

  • 現状: 約 ¥204〜¥205 付近(換算ベース)

  • 背景: ドル円上昇とポンドドルの堅調さが複合してクロス円での上昇材料。

  • 展望: レンジとしては ¥202〜¥207 が目安。短期的には¥205円台乗せを試す展開。下値警戒は¥202〜¥203。

2.6 豪ドル円(AUD/JPY)

  • 現状: 約 ¥104〜¥105 付近

  • 背景: 豪ドルは資源価格の影響を受けやすく、中国指標の弱さが重し。円安が下支え。

  • 展望: 上値は¥105円台中盤〜後半。下値では¥103円台半ばがポイント。資源市況の反動が鍵。

2.7 NZドル円(NZD/JPY)

  • 現状: 約 ¥93〜¥94 付近

  • 背景: NZドルは豪ドルと似た動きをしつつ、NZの内需弱さも意識されやすい。

  • 展望: ¥92.50〜¥94.50 のレンジ想定。中期で87〜90円台の調整を警戒する向きも。

2.8 カナダドル円(CAD/JPY)

  • 現状: 約 ¥120〜¥121 付近

  • 背景: 原油価格の上昇期待が支援材料。ただしドルの反発が抑制要因。

  • 展望: 上値が¥122〜¥123を目指す可能性。下値は¥119〜¥120。原油価格と米金利動向が鍵。

2.9 スイスフラン円(CHF/JPY)

  • 現状: 約 ¥167〜¥168 付近

  • 背景: 円安によりクロス円では上昇。だが安全資産通貨としての買いが抑制されている面も。

  • 展望: レンジは ¥165〜¥170 程度。リスクオフ局面では上振れ余地、リスクオンでは下振れの可能性。

2.10 ユーロポンド(EUR/GBP)

  • 現状: 約 0.865〜0.870ポンドあたり

  • 背景: ユーロ、ポンド双方の対ドル位置の動きがクロスでも反映されており、大きなトレンドは出にくい。

  • 展望: 0.860〜0.875ポンドのレンジが当面想定。どちらかの通貨に明確な材料が出れば動きが派生。


3. 注目材料と今後の展望

米インフレ指標・雇用統計

来週に控える米消費者物価指数(CPI)および雇用統計が、米ドルの次の動きを決める最大テーマです。ドル反発の動きが見られているとはいえ、インフレ鈍化・景気後退懸念が再燃すれば、ドル再度軟化局面に戻る可能性があります。特に1.1500ドル付近を維持できるかがユーロドルでの焦点。

日本の政策・為替介入リスク

円安の動きが続く中、政府・日銀の政策スタンスが市場のリスク要因として浮上しています。円安が加速すれば、為替水準・株価・輸入インフレなどを巡って「為替介入」への警戒が高まる可能性があります。これはドル円上抜けの上限を抑える材料となり得ます。

中国・資源価格・リスクオン/オフ

中国の経済指標が引き続き弱いことが、資源国通貨(豪ドル・NZドル・カナダドル)にとってマイナス要因です。一方、原油・金属価格の回復がこれら通貨を支える可能性もあります。また、米中通商リスク再燃や地政学的緊張がリスクオフを誘えば、円やスイスフランなどの安全通貨が買われる可能性があり、クロス円の下押し圧力となり得ます。

欧州景気・ECBの動向

欧州では景況感指数が弱く、ECBの利下げ観測が再燃しています。ユーロの上値を抑える要因となっており、ユーロドル・ユーロ円ともに反発には明確な改善材料が必要です。


4. 戦略的視点と総括

10月23日の為替市場は、全体として「レンジの中での様子見」が中心の展開であったといえます。ドル円をはじめとした主要通貨ペアは、明確な方向感を伴わずに動いており、来週以降の指標・政策発表を控えてポジションを絞る動きが目立ちました。

戦略的には以下を意識したいところです:

  • ドル円:¥150〜¥153レンジを維持。¥152円超えなら上昇余地、下押しなら¥150円割れ注意。

  • ユーロドル:1.1550ドル付近でサポート確認。1.1660ドル超えには改善材料が必要。

  • クロス円(豪ドル円・NZドル円・カナダドル円):資源価格・リスク選好の動きに敏感。押し目買い機会を探すなら、¥103〜¥104円台(豪ドル円)あたりが目安。

  • 円・スイスフラン:円安・ドル強の構図が続くが、為替介入警戒・地政学的リスクが上振れ要因となる可能性あり。急な円高やフラン高には備えを。

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