【2025年10月28日 為替市場レポート】 円が急反発、ドル円は151円台前半へと押し戻される — 米ドルは一服、日米政策・通商リスクに揺れる相場

【2025年10月28日 為替市場レポート】

円が急反発、ドル円は151円台前半へと押し戻される — 米ドルは一服、日米政策・通商リスクに揺れる相場

2025年10月28日(火)の外国為替市場は、前日に見られたドル高・円安の流れが一転し、円が急反発する展開となりました。特に、東京市場で円買いが目立ち、ドル円は152円台後半から151円台前半へ下落。背景には、米国による日銀・日本政府への政策・為替に関する言及、ならびに米ドル全体の反落ムードがありました。

この日は、米ドルが対ユーロ・対豪ドルでも弱含みを見せる一方で、円の戻りが加速。資源国通貨とクロス円通貨はやや持ち合いながらも、日米・日銀を巡る思惑が相場の焦点となりました。以下、全体の背景整理とともに、10通貨ペアの詳細分析、そして今後の展望を整理していきます。


1. 市場全体の背景とテーマ

● 日米当局発言/為替介入警戒

この日最大の材料は、米財務長官Scott Bessentが来日中、日本銀行(BOJ)・日本政府に対して「適切な金融政策と為替政策を追求すべきだ」と明言した点です。Reuters
この発言は短期的に円買いを誘発し、「日本が円安を放置している」との米側の懸念が市場に強く意識されました。日本側では「過度な為替変動には警戒し、必要なら対応する」といった口先介入的な姿勢が強調され、円の上昇につながっています。

● ドルの一服とリスクオンムード

また、前日には米中貿易交渉の進展観測が浮上し、ドル安・リスク選好の動きが出ていました。Reuters+1
28日朝のアジア時間では、ドルインデックスがやや低下し、ドル買いの勢いが鈍化。これがドル円の下押しを助長しました。
加えて、ロンドン/ニューヨーク時間に予定されている米・欧州・日本の金融政策会合を控えて、ポジション整理の動きも出ていたようです。

● 円安トレンドへの警戒

ここ数週間、円安の流れが続いていましたが、この日は「円安が行き過ぎた」との見方も台頭しており、円の反発基調が一気に強まりました。為替介入警戒・日銀の利上げ観測などが重なり、円買いの流れが加速しました。United States – English+1


2. 主要通貨ペアの分析(10通貨ペア)

以下、各通貨ペアに関して「現状/背景/展望」の順で整理します。

2.1 ドル円(USD/JPY)

  • 現状: 約 ¥151.10~151.40あたりで推移。

  • 背景: 円の急反発が目立ち、ドル円は前日の152円台後半から下落。米財務長官の発言、日銀政策修正への思惑が円買いを刺激。ドル買い基調には一服感。

  • 展望: 短期では ¥151.00~¥152.50 のレンジが想定される。上値の目安としては¥152.50台後半、下値では ¥150.50~¥150.80 がサポート。日銀・財務省の動き次第で150円割れのシナリオも。

  • 戦略: 押し目買いを維持する一方で、152円台での戻り売りも選択肢。特に、介入リスクが浮上する際の反転には要注意。

2.2 ユーロドル(EUR/USD)

  • 現状: 約 1.1570~1.1590ドル付近。

  • 背景: ドルの軟化が支えとなるが、ユーロ圏景気の減速・ECBの利下げ観測が歩みを鈍らせる。ドル反落だけではユーロの勢いは限定的。

  • 展望: 1.1550ドルをサポートとしつつ、1.1650ドル前後が上値の目安。ドル売り継続なら1.17ドル台も視野だが、ユーロ側の改善材料が不可欠。1.1500ドル割れのリスクも念頭。

  • 戦略: 1.1550ドル付近での押し目買いを考慮。ただし、1.1600ドル付近での戻り売りも警戒。

2.3 ユーロ円(EUR/JPY)

  • 現状: 約 ¥174.80~¥175.50あたり。

  • 背景: ドル円の下落を反映してユーロ円も上昇。ただしユーロ自体の弱さが上値を抑制。円の反発による戻りも加わっている。

  • 展望: レンジとしては ¥174.00~¥176.50 を想定。上抜けにはユーロ改善+円安継続が必要。下押しなら ¥173円台半ばまでの調整もあり得る。

  • 戦略: 円買い視点のクロス円操作も有効。ユーロ側の改善材料待ち。

2.4 ポンドドル(GBP/USD)

  • 現状: 約 1.3330~1.3370ドル付近。

  • 背景: 英国経済指標に明確な改善が見られず、ドル軟化がポンド支援の主因。ドルの戻りがみられればポンド弱く反応。

  • 展望: 1.3400ドルを超えると1.3450ドル方向が視野。逆に1.3300ドル割れとなると1.3250ドル近辺まで調整のリスク。

  • 戦略: 上昇余地を探るなら1.3350ドル近辺での買い検討。下値突破なら戻り売りへ切り替え。

2.5 ポンド円(GBP/JPY)

  • 現状: 約 ¥201.00~¥202.00あたりに推移。

  • 背景: ドル円・ポンドドルの両方の動向が影響。円反発が上値を抑える一方、ポンドの対ドル堅調が支え。

  • 展望: ¥200~¥205レンジ。上抜けなら¥206円方向、下抜けなら¥198~¥199円あたり。

  • 戦略: 円の動きに敏感なクロス円として、円買いの流れが強まれば戻り売りを検討。

2.6 豪ドル円(AUD/JPY)

  • 現状: 約 ¥103.50~¥104.20あたり。

  • 背景: 円反発が豪ドル円には重し。一方で資源価格の下支えが下値を限定。中国景気指標の弱さは依然懸念。

  • 展望: ¥103円台前半~¥104.50円台がレンジ。突破には資源需要改善・中国指標好転が必要。下値ターゲットは¥102円台後半。

  • 戦略: 押し目買い狙いで¥103.00~¥103.50あたりが注目。方向感出るまで待機も選択肢。

2.7 NZドル円(NZD/JPY)

  • 現状: 約 ¥92.40~¥93.00あたり。

  • 背景: 豪ドル同様資源国通貨の流れに準じるが、NZドルはRBNZの利下げ観測も根強く、上値はやや限定的。

  • 展望: ¥91.50~¥93.50レンジ想定。上値突破にはNZの指標改善が必要。下値では¥91円台割れに注意。

  • 戦略: 豪ドル円同様、押し目買いながらも急落リスクを警戒。

2.8 カナダドル円(CAD/JPY)

  • 現状: 約 ¥119.20~¥119.80あたり。

  • 背景: 原油価格の下落基調が重し。円反発による押しも加わって上昇余地限定。

  • 展望: ¥118.50~¥120.50レンジを想定。原油価格が反発すれば¥121円台試す展開。

  • 戦略: 資源通貨として原油動向を注視。上値トライ時は慎重に、下値なら押し目買いも。

2.9 スイスフラン円(CHF/JPY)

  • 現状: 約 ¥166.80~¥167.20あたり。

  • 背景: リスク選好の回復で安全通貨としてのフラン買いは弱め。円反発がクロス円では重石。

  • 展望: ¥166.00~¥168.50レンジ。地政学リスク・金融政策変化で上振れ余地。

  • 戦略: 急なリスクオフが出た場合は戻り売りも検討。現状は持ち合い。

2.10 ユーロポンド(EUR/GBP)

  • 現状: 約 0.8700~0.8730ポンドあたり。

  • 背景: ユーロの対ドル弱さ、ポンドの対ドル堅調さが交錯し、方向感を欠く。

  • 展望: 0.8680~0.8760レンジ。どちらかの通貨に明確な材料(ECB/BOE)が出ればブレーク可能。

  • 戦略: レンジトレードが中心。材料待ちの展開を想定。


3. 注目材料と今後の視点

  • 日銀金融政策決定会合(10月30日決定):日本側では利上げの可能性と為替介入警戒の両観点で注目。円の反発が実需・政策両面で意味を持っています。

  • 米中通商交渉・貿易リスク:ドルの動きを左右する主要なファクター。貿易緊張が和らげばドル弱→円安継続、再燃すれば円買い・ドル売りも。

  • 資源価格の動向:原油・金属価格が資源国通貨(AUD, NZD, CAD)に直結。価格動向次第でクロス円に大きな振れ。

  • 欧州景気指標・ECB会合:ユーロの方向感を決める鍵。景況感改善ならユーロ反発、鈍化なら利下げ観測強まりユーロ売り。

  • 米ドルインデックス・米金利動向:ドル全体の基調を把握する指標。ドルの巻き戻し・再下落どちらにも備えが必要。


4. 戦略的視点と総括

10月28日の為替市場では、「円の急反発・ドルの一服」が大きなトレンドでした。ドル円は151円台前半へ押し戻され、クロス円も円買い影響で調整色が強まりました。一方、ユーロやポンドなどは明確な反発材料に欠け、資源国通貨も商品価格の動き次第で上昇余地を保持しているものの、方向感はやや鈍い状況です。

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