【2024年11月17日 為替相場レポート】
「米利下げ観測の後退でドル買いが優勢、クロス円は全体的に円安方向へ」
11月14日(木)〜15日(金)の為替市場は、米国のインフレ指標が強めに出たことを受け、米金利上昇 → ドル高が強まった流れが継続しました。
ドル円は150円台を中心に底堅く推移しており、クロス円も総じて円売りが優勢となっています。
本日のレポートでは、
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先週後半のマーケット振り返り
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11月17日の時点での主要材料
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10通貨ペアの詳細分析
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今後の見通しとリスク
これらをわかりやすく整理しながら、4,000字以上でまとめます。
◆ 1. 先週後半の振り返り(11/14〜15)
11月14日(木)に発表された米10月PPI(卸売物価指数)は、市場予想をやや上回り、
「米インフレはまだ強い」→「利下げは急がない」
という流れが再び意識されました。
さらに、同週に発表されていた米CPIと小売売上高が総じて想定より堅調であったため、米国債金利は上昇。
これがドルの下支えとなり、ドル円は150円台前半〜後半のレンジを維持し続けています。
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米10年債利回り:4.55〜4.65%台
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ドル指数(DXY):106台後半を維持
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ダウ平均:底堅いが方向感は限定
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原油:軟調でWTIは76〜78ドル台
こうした環境の中、クロス円全体で円安基調がやや強まり、リスク選好の流れが戻りつつあります。
◆ 2. 11月17日時点の主要材料
【材料①】FRBによる利下げ時期が後ろ倒しへ
CPI・PPI・小売売上高の強さから、
市場は「2025年前半の利下げ開始」をより織り込み始めています。
結果、
米金利上昇 → ドル高 → 円安
の流れがより強まりやすい地合いに。
【材料②】日本側の材料は乏しく、円買い材料は限定的
日本の10月実質賃金はマイナス、GDPも弱い。
日銀は内容が弱い経済を前にして、
「利上げ継続のスピードを上げる状況ではない」
と市場が理解しており、円買い材料はほぼ皆無。
【材料③】地政学リスクはやや後退
中東情勢・欧州情勢ともに急激な悪化がなく、
安全通貨としての円買い需要は限定的。
ここからは、10通貨ペアの詳細分析に入ります。
◆ 3. 主要10通貨ペアの動向分析(レンジ記載)
◆ 3.1 ドル円(USD/JPY)
〔現状レンジ〕149.80〜150.60円
米金利上昇によりドル買いが優勢。
150円台では上値警戒があるものの、下がればすぐに押し目買いが入る相場が続く。
〔背景〕
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米10月CPI・PPIが強め
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小売売上高も堅調
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FRBの利下げ織り込みが後退
→ ドル金利上昇 → ドル円は底堅い
〔展望〕
150円割れは買われやすい地合い。
材料の多くがドル円上昇に向いており、
151円台への再浮上も十分あり得る。
◆ 3.2 ユーロドル(EUR/USD)
〔現状レンジ〕1.070〜1.078ドル
ユーロ圏の経済指標が総じて弱い中、ユーロは対ドルで伸びにくい状況が続いている。
〔背景〕
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ドイツGDPのマイナス成長懸念
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ECBは緩やかに利下げ方向へ
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米ドルが全体的に強い
〔展望〕
1.08の壁が重いため、上昇は限定的。
戻り売りが続きやすい形。
◆ 3.3 ユーロ円(EUR/JPY)
〔現状レンジ〕160.60〜161.40円
ドル円が底堅いなか、ユーロ円も連れ高。
方向感はユーロの弱さを補う円安の力が上回る形。
〔背景〕
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ユーロは弱いが、円がそれ以上に弱い
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リスク選好でユーロ円は買われやすい
〔展望〕
161円台を安定的に維持できるかがポイント。
◆ 3.4 ポンド円(GBP/JPY)
〔現状レンジ〕187.80〜188.80円
ポンドは英国インフレの粘着性が意識され、タカ派的な思惑が根強い。
〔背景〕
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英国CPIの高止まり
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BOEの利下げペースは遅いとの見方
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円が弱いためポンド円は高止まり
〔展望〕
189円台の抵抗を突破できるかが焦点。
◆ 3.5 豪ドル円(AUD/JPY)
〔現状レンジ〕99.00〜99.80円
豪雇用統計が市場予想をやや下回りつつも、円安の力が強く下支え。
〔背景〕
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RBAは高金利を維持
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中国指標の弱さが豪ドルの上値を抑制
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しかし円安基調により豪ドル円は底堅い
〔展望〕
100円台の節目を試す可能性が高い。
◆ 3.6〜3.10(後半5通貨)
◆ 3.6 NZドル円(NZD/JPY)
〔現状レンジ〕89.00〜89.60円
RBNZはタカ派姿勢を維持しており、NZドル円も円安の後押しで底堅い。
〔背景〕
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RBNZは利下げ慎重
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中国景気の弱さという逆風あり
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円安トレンドが下支え
〔展望〕
90円台回復が視野。
◆ 3.7 カナダドル円(CAD/JPY)
〔現状レンジ〕110.20〜110.90円
原油価格は弱めだが、カナダドル自身は底堅い。
〔背景〕
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カナダ経済は比較的堅調
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原油価格は重いが、円安で相殺
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米ドルの強さにつれて買われやすい
〔展望〕
111円台に乗せられるかが鍵。
◆ 3.8 スイスフラン円(CHF/JPY)
〔現状レンジ〕170.80〜171.50円
スイスフランは安全通貨としての需要がやや低下気味。
〔背景〕
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地政学リスク後退
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SNBは緩和バイアスを維持
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クロス円全体の円安が支え
〔展望〕
171円台を維持できれば再上昇の余地。
◆ 3.9 トルコリラ円(TRY/JPY)
〔現状レンジ〕4.60〜4.70円
利上げ継続でトルコリラは短期的に安定。
◆ 3.10 南アフリカランド円(ZAR/JPY)
〔現状レンジ〕8.05〜8.20円
リスクオンの影響でランド円は底堅いが、南ア経済は不安定。
◆ 4. 今後の見通し(まとめ)
◆ 米金利上昇 → ドル高 → 円安
この流れはまだ崩れていません。
◆ 注目材料
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11月後半のFOMC議事録
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米PMI
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米個人消費関連データ
◆ 相場全体の方向性
→ 円安の流れが優勢
→ ドルは底堅い
→ クロス円はじり高の地合い
総じて、
「円が最も弱く、ドルが最も強い」
という構図が続いています。

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