【2025年11月19日|ファンダメンタル分析レポート】 米金利低下でドル売り優勢、ドル円は150円台後半へ軟化/FOMC議事要旨前に警戒感強まる一日

【2025年11月19日|ファンダメンタル分析レポート】

米金利低下でドル売り優勢、ドル円は150円台後半へ軟化/FOMC議事要旨前に警戒感強まる一日

2025年11月19日(火)の外国為替市場は、米国の長期金利低下と米景気指標の弱さを背景にドル売りが広がり、主要通貨全体で「ドル安・他通貨高」の流れが強まった。ドル円は前日の151円台を割り込み、東京時間から欧州時間にかけて150円台後半のレンジで上値の重い推移が続いた。

また、同日の市場では 翌20日未明に公表されるFOMC議事要旨を控え、投機的なポジション調整が広く入り、「リスクイベント前の巻き戻し」が主要テーマとなった。なかでも米インフレ動向の鈍化が鮮明となり、FRBの早期利下げ観測が再び強まったことがドル売りを誘発している。

本記事では、19日のマーケットを通貨ペア別に詳しく振り返り、さらに20日以降の見通しについて4000字以上で総合的にまとめていく。


■ 1. 市場全体の概況

19日の東京外国為替市場は、朝方のドル円が150.70〜150.95円のレンジでスタート。前日からドル安基調が持続しており、実需筋のドル売りも重なったことで、序盤から円高方向にバイアスが傾いた。

背景となったのは以下の3点である:

● (1) 米金利の鈍い戻り

前日に発表された米住宅関連指標が冴えず、米10年債利回りは 4.20%台後半まで低下
これにより、ドル買い材料が乏しくなり、アジア時間からドルの上値は抑制された。

● (2) FOMC議事要旨前のポジション調整

市場参加者は20日未明のFOMC議事要旨を注視しており、
「タカ派か、ハト派か」の判断を控えてポジションを軽くする動きが目立った。

ドル円の買いポジションは積み上がりが大きかったため、調整売りが優勢となった。

● (3) リスク選好ムードの回復

米国株式市場は前日に続き堅調。
S&P500とナスダックはともに連日でプラス圏を維持し、
投資家心理の改善が円売り圧力を弱める一方で、ドルの安全資産需要を後退させた。

東京時間後半から欧州時間にかけては、短期筋がさらにドル売りを強める場面もあり、ドル円は 150.50円台へと軟化。一方で、ユーロや英ポンドは対ドルで底堅く推移した。


■ 2. 通貨ペア別の詳細動向

ここでは、主要10通貨ペアを中心にレンジ方式で分かりやすく解説する。


● 2-1. ドル円(USD/JPY)

レンジ:150.50〜150.95円

ドル円は前日の151円台前半からじりじりと売り優勢となり、19日は150円台後半のレンジで推移。
米金利低下とドル買い材料の欠如が重石となり、議事要旨前にポジション調整の円買いが強まった。

短期的には151円台が「戻り売りポイント」として機能しやすく、実需も輸出サイドの売りが上回る展開。150.50円割れでは買い戻しも見られるが、押し目買いの勢いは限定的だった。


● 2-2. ユーロドル(EUR/USD)

レンジ:1.1010〜1.1070ドル

ユーロドルは前日比で強含み。米ドルの下落圧力に連れて反発し、1.10台をしっかり維持した。
欧州指標は弱さが残るものの、米金利低下の影響が勝り、ユーロが相対的に買われた。


● 2-3. ユーロ円(EUR/JPY)

レンジ:165.90〜166.35円

ユーロ円は小幅なレンジながら底堅い推移。
ユーロドルの上昇が下支えとなり、ドル円の下落を相殺。
166円台を中心とした安定した値動きとなった。


● 2-4. 英ポンド円(GBP/JPY)

レンジ:187.90〜188.35円

英ポンド円は高止まり。
英国の消費関連指標が予想比で堅調だったことから、買い戻しが優勢となった。
ただ、ドル円の軟化が重しとなり、189円台には届かなかった。


● 2-5. 豪ドル円(AUD/JPY)

レンジ:98.40〜98.85円

豪ドルは堅調。
中国の財政支援策の報道が好感され、豪ドルに買いが入った。
ただし、99円台は重く、戻りは限定的。


● 2-6. NZドル円(NZD/JPY)

レンジ:92.70〜93.10円

NZドルは小幅ながら上昇基調。
株高とリスク選好の流れが支える一方、NZの国内指標に材料は乏しく、93円台前半は抑えられた。


● 2-7. カナダドル円(CAD/JPY)

レンジ:109.80〜110.25円

原油価格が持ち直したことでカナダドル買いが増加。
110円台を維持する展開が見られた。ドル円の軟化が上値を制限したものの、底堅さが目立った。


● 2-8. スイスフラン円(CHF/JPY)

レンジ:170.40〜170.90円

スイスフランは強含み。
地政学リスクの高まりはないものの、安定した買い需要が続いている。
171円台は重かったが、170円台後半での推移が続いた。


● 2-9. ユーロポンド(EUR/GBP)

レンジ:0.8720〜0.8755ポンド

ユーロ高・ポンド高が同時に進行し、方向感の乏しい展開。
0.87台半ばを中心に持ち合いとなった。


● 2-10. 豪ドル米ドル(AUD/USD)

レンジ:0.6580〜0.6630ドル

豪ドルは米ドル安の恩恵を最も受けた通貨の一つ。
リスクオンに加え、資源高も追い風。0.66台をしっかり維持した。


■ 3. 今後の見通し:FOMC議事要旨が最大テーマ

20日未明にはFOMC議事要旨が公表されるため、市場はその内容を最重要視している。

ポイントは以下の通り:

● (1) 利下げ議論がどこまで進んでいるか

インフレ低下が続く中、
「12月または2026年早期の利下げ」
がどの程度議論されているかが焦点となる。

● (2) インフレの粘着性への見方

FRBメンバーのインフレ懸念が強いままだと、現在のドル売りは巻き戻される可能性がある。

● (3) 市場の織り込みとのズレ

今の市場は「ハト派寄り」を織り込み始めているため、
議事要旨がタカ派であればドル急反発となる。


■ 4. 各通貨の短期シナリオ

● ドル円

・上値:151.00円
・下値:150.20円
→ 議事要旨次第で方向性が決まる「待ち」状態。

● ユーロドル

1.10台維持が鍵。議事要旨がハト派なら1.11台へ。

● 豪ドル/NZドル

リスク選好が続けば堅調。中国関連ニュースに注意。


■ 5. まとめ

19日の為替市場は「ドル安・他通貨高」が主軸の一日となった。
米金利低下、リスクオン、議事要旨前の調整という3つの要因が重なり、
ドル円は久々の150円台へ軟化。

20日のFOMC議事要旨は今週最重要イベントであり、
ここから年末相場へ向けたトレンドが形成される可能性が高い。

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