【9月24日|ファンダメンタル分析レポート】
ドル円158円台、米金利5%超。円安を止めるのは日銀か、それとも為替介入か
2026年9月24日の為替市場は、再び「ドル高・円安」が強く意識される一日となりました。
ドル円は前日のニューヨーク市場で158.32円で取引を終え、24日の東京市場でも一時158.37円まで上昇。その後は日本政府による円安けん制を受けて157.79円まで下落しましたが、午後には再び158円台を回復し、17時時点では158.20~158.30円付近で推移しました。([turn0news9])
今回のドル円上昇を支えた最大の材料は、米国経済の強さです。
23日に発表された米9月PMIは、製造業、サービス業ともに市場予想を上回り、総合PMIは58.4と2021年7月以来の高水準となりました。これを受けて市場ではFRBの追加利上げ観測が強まり、米10年債利回りは一時5.13%台まで上昇。2007年以来の高い水準に達しました。([turn2search2]
一方、日本では日銀が18日に政策金利を1.25%へ引き上げたばかりです。
それでも円安が進む。
この現象を理解するには、単純に「日銀が利上げしたから円高」「FRBが利上げしたからドル高」と考えるのではなく、政策金利と長期金利、そして市場が予想する今後の利上げ回数を分けて見る必要があります。
さらに24日は、片山財務相が「日米協調介入以降のプリンシプルは生きている」と発言しました。
つまり現在のドル円は、
「米国の強い経済」
「FRBの追加利上げ観測」
「米長期金利5%台」
「日本の円安けん制」
「為替介入警戒」
という複数の材料が同時にぶつかる局面に入っています。
ドル円は158円台へ
まず24日のドル円を整理します。
23日のニューヨーク市場では、ドル円は157.76円から158.40円まで上昇し、終値は158.32円でした。([turn0search28])
その背景には、米9月PMIの予想外の強さがありました。
24日の東京市場では朝方158円台前半で始まり、仲値にかけてドル売り・円買いが優勢となり、一時157.79円まで下落。
しかし、その後は米金利の上昇を背景にドル買いが再び強まり、午後には158.37円まで上昇しました。([turn2search6])
15時時点では158.21~158.23円。
17時時点では158.20~158.30円付近となっています。([turn2search0])
つまり24日の相場は、
157円後半まで下落
↓
再び158円台へ上昇
という往復運動でした。
この動きは非常に重要です。
日本政府による円安けん制が出てもドル円が完全には崩れず、米金利が上昇すると再びドルが買われています。
現在のドル円は、単純な円売りではありません。
米国側のファンダメンタルズが強く、ドルを買う理由が存在しているため、当局のけん制だけではドル円の上昇圧力を完全に消すことが難しくなっています。
米9月PMIが相場を変えた
今回のドル高を理解する最大のポイントが、米9月PMIです。
S&Pグローバルが23日に発表した9月のPMI速報値は、
製造業PMI:57.0
サービス業PMI:58.7
総合PMI:58.4
となりました。
製造業は前月から3.1ポイント上昇し、4年4カ月ぶりの高水準。
サービス業も4年11カ月ぶりの高水準となっています。([turn1search8])
特に重要なのは、単に景気が強いというだけではありません。
企業の投入価格指数も高く、インフレ圧力が根強いことが意識されました。
つまり、
景気が強い
+
物価圧力も残る
という組み合わせです。
FRBにとっては非常に重要な材料です。
景気が弱ければ利上げを続ける必要性は低下します。
しかし景気が強く、しかもインフレ圧力が残っているなら、金融引き締めを継続する余地が出てきます。
そのため市場では、10月のFOMCで追加利上げが行われる確率がPMI発表前の約53%から約70%まで上昇したとReutersが報じています。([turn2search2]
これがドル買いを強くしました。
FRBは「利上げしたのに、さらに利上げする」という相場
FRBは16日のFOMCで政策金利を3.75~4.00%へ引き上げました。
今回の利上げは約3年ぶりでした。
通常なら「利上げをした」という時点で、その後は金融引き締めが一服する可能性も意識されます。
ところが現在の米国では、
利上げ
↓
それでも経済が強い
↓
インフレ圧力も残る
↓
追加利上げ観測
という流れが形成されています。
23日にはバーFRB理事も、さらなる利上げが必要になる公算が大きいとの見方を示しました。([turn2search2]
このため市場では、FRBが今回の利上げで終わるのではなく、年内あるいは10月以降も追加利上げを行う可能性が意識されています。
ここが日銀との大きな違いです。
日銀は利上げしたが、円は売られた
日本では18日に日銀が政策金利を1.25%へ引き上げました。
これは31年ぶりの高水準です。
しかし、利上げ後のドル円はむしろ円安方向へ動き、158円台まで上昇しました。
なぜでしょうか。
市場が注目したのは今回の利上げではなく、次回以降の政策でした。
日銀は利上げをしましたが、投票結果は7対2。
市場では、今後の追加利上げペースがFRBほど積極的ではないとの見方が残っています。([turn0news17]
そのため、
米国
3.75~4.00%
日本
1.25%
という大きな政策金利差が残っています。
さらに米10年債利回りが5%を超えてきたことで、日米の長期金利差もドル円を支える材料になっています。
米10年債5.13%、日本10年債3.07%
24日の東京市場で特に注目されたのが長期金利です。
米10年債利回りは一時5.13%付近まで上昇。
一方、日本の10年国債利回りも3.07%前後まで上昇し、1996年以来およそ30年ぶりの水準となりました。([turn2search5]
これは非常に重要な変化です。
日本の長期金利も上昇しています。
つまり、日銀の利上げによって日本の金利正常化が進んでいることは確かです。
しかし、それ以上に米国の金利上昇が目立っています。
米10年債5.13%
日本10年債3.07%
単純比較では約2.06%ポイントの差があります。
この金利差が残る限り、ドル円には一定の上昇圧力がかかりやすくなります。
片山財務相が円安を強くけん制
そして24日の市場で非常に重要だったのが、片山財務相の発言です。
片山財務相は、円安への対応について、
「先般の日米両政府による協調介入以降のプリンシプルというのは生きている」
と述べました。
為替水準について具体的なコメントは避けましたが、7月31日に行われた日米協調介入の原則が現在も有効だと強調しました。([turn1news26]
この発言を受け、ドル円は一時157円70銭台まで下落しました。([turn1news30]
これは市場にとってかなり重要です。
なぜなら、現在の円安が単なる「口先介入」だけで終わるのか、それとも実際の市場介入へ発展する可能性があるのかを、市場参加者が改めて意識するからです。
さらに関係筋によれば、日銀は18日にレートチェックを行っていたとされています。
レートチェックは為替介入そのものではありません。
しかし、市場では一般的に介入への準備段階として意識されます。([turn1search4]
そのため158円台では、通常のドル買いとは違ったリスクが存在します。
「158円」は単なる節目ではない
ドル円にとって158円は、現在非常に重要な水準です。
テクニカル面だけなら、160円を意識する手前の節目という位置づけになります。
しかし現在は、それだけではありません。
158円台では、
日本政府の円安けん制
↓
レートチェック
↓
為替介入警戒
という政策リスクが存在します。
一方で、
米PMI上振れ
↓
FRB追加利上げ観測
↓
米10年債5%台
↓
ドル買い
というファンダメンタルズも存在しています。
つまり158円は、
「ドルを買いたい市場」
と
「ドルを買い上げることを警戒する市場」
が正面からぶつかる場所です。
このため、158円を突破しても一気に上昇するとは限りません。
反対に、158円付近から急落した場合も、単なる利益確定なのか、当局発言への反応なのかを区別する必要があります。
豪ドル円は雇用統計で110円台へ
24日は豪州の8月雇用統計も発表されました。
雇用者数は前月比3万9500人増と、市場予想の2万人増を大きく上回りました。
一方、失業率は4.6%と予想の4.5%を上回り、2021年11月以来の高水準となりました。
さらに正規雇用は6300人減少し、非正規雇用が4万5800人増加しています。([turn1search2]
この数字は一見すると複雑です。
雇用者数そのものは増えています。
しかし、失業率が上昇し、増加の中心が非正規雇用でした。
そのため市場では、RBAが今後の利上げペースを鈍化させる可能性が意識され、豪ドルが売られました。([turn1news27]
豪ドル円は一時110.80円付近まで下落しました。
これはドル円の円安とは対照的です。
ドル円は158円台なのに、豪ドル円は110円台。
つまりクロス円では、「円が弱いから全部上がる」という状況ではなく、各国のファンダメンタルズが明確に影響しています。
ユーロ円は180円を挟んだ攻防
ユーロ円は24日の東京市場で179.51円まで下落した後、180.45円まで上昇しました。
17時時点では180.30~180.40円付近でした。([turn0news9]
ユーロドルは1.1369ドルまで下落した後、1.1380ドル前後まで戻しています。
現在のユーロはドルに対して弱く、円に対しては比較的高いという複雑な状態です。
これは円の弱さがユーロ円を支えているためです。
したがってユーロ円を見る場合には、
ユーロドル
ドル円
の二つを分けて考える必要があります。
ポンド円は209円前後
ポンド円は24日の東京市場で208円台後半から209円台を中心に推移しました。
ドル高が進んでいるためポンドドルには下押し圧力がかかっていますが、対円では円安がポンド円を支えています。
ただし英国では9月PMIが弱含みとなっており、英国経済の先行きに対する警戒も残っています。
そのためポンド円についても、
「円安だから上昇する」
だけではなく、
英国の景気
英国のインフレ
BOEの利上げ姿勢
を確認する必要があります。
NZドル円は90円前後
NZドル円は24日、90円前後を中心に推移しました。
豪ドルが雇用統計を受けて売られたことで、NZドルもオセアニア通貨全体の弱さに引っ張られる場面がありました。
一方、円安そのものが続いているため、NZドル円は大きく崩れず、90円前後での攻防となっています。
90円を明確に維持できるか、それとも豪ドル・NZドル双方の下落が強まるのかが今後のポイントになります。
カナダドル円は原油価格と米ドルの両方を見る
カナダドル円は112円前後で推移しています。
カナダドルは原油価格との関連性が強い通貨です。
今回の相場では中東情勢によって原油価格が大きく変動しています。
原油高
→ カナダドル支援
原油安
→ カナダドル下押し
という基本構造があります。
ただし、カナダドル円ではドル円と同様に円安の影響も大きいため、原油だけで判断することはできません。
スイスフラン円は190円台
スイスフラン円は24日、190円台を中心に推移しています。
スイスフランは安全資産として買われることがありますが、現在の市場では米ドルの金利上昇が強く意識されているため、ドルの優位性が目立っています。
一方、円については日本当局による介入警戒があるため、スイスフラン円でも円高方向への急変リスクには注意が必要です。
南アランド円・メキシコペソ円は高金利が支え
南アランド円やメキシコペソ円は、円との金利差が大きいことから、円安局面では比較的底堅くなりやすい通貨です。
しかし現在の市場では米国の長期金利が5%を超えています。
米国金利が上昇すると、新興国通貨にとっては資金流出リスクが高まります。
そのため、高金利通貨だから必ず円安メリットを受けるとは限りません。
米金利と世界的なリスク選好を同時に見る必要があります。
9月24日の主要通貨ペア
9月24日の東京市場を中心に整理すると、主要通貨ペアは以下のような水準となりました。
ドル円:157.79~158.48円
ユーロ円:179.51~180.45円
ユーロドル:1.1369~1.1390ドル
ポンド円:208円台~209円台
豪ドル円:110.80~111円台
NZドル円:89円台~90円前後
カナダドル円:111円台~112円台
スイスフラン円:190円台~191円前後
南アランド円:9円台後半
メキシコペソ円:9円台前半
ドル円は24日午後に158.48円まで上昇したとの市場データもあり、158円台後半が新たな上値として意識されています。([turn0news9]
今後のドル円で最も重要なのは「米金利5%台」
今後のドル円を考えるうえで、最も重要な数字の一つが米10年債利回り5%です。
米10年債利回りが5%を超えて定着すれば、ドルを保有する魅力が高まりやすくなります。
一方で、米金利が5%を下回り、4%台後半へ戻る場合は、ドル円にも調整圧力がかかりやすくなります。
現在の相場では、
米10年債5.13%
日本10年債3.07%
という状況です。
日本の金利も30年ぶりの高水準ですが、米国の金利上昇がより強く意識されています。([turn2search5]
したがって、ドル円を見る際には政策金利だけではなく、米10年債利回りを毎日確認する必要があります。
158円を突破した場合の注意点
ドル円が158.50円を超えて上昇した場合、次は159円、さらに160円が意識される可能性があります。
ただし、この上昇局面では為替介入への警戒も強くなります。
18日にレートチェックが行われたと報じられ、24日には財務相が日米協調介入の原則が生きていると発言しました。
つまり、158円台後半から上では、
「上昇余地」
と
「政策リスク」
の両方が拡大します。
このため、ドル円は上昇しているからといって、必ずしも値動きが安定しているわけではありません。
むしろ現在は、上昇するほど急落リスクも高まる相場です。
まとめ
2026年9月24日の為替市場で最も重要だったのは、ドル円が158円台へ再び上昇したことです。
日銀が政策金利を1.25%へ引き上げた後にもかかわらず、円安が続いています。
その背景には、米国経済の強さがあります。
9月PMIは総合58.4と2021年以来の高水準。
製造業57.0、サービス業58.7とともに強く、米国経済が想定以上に底堅いことが示されました。
さらに企業の投入価格も高く、インフレ圧力が残っています。
このためFRBの追加利上げ観測が強まり、米10年債利回りは一時5.13%まで上昇しました。
一方、日本でも10年国債利回りが3.07%前後まで上昇し、金融政策の正常化は進んでいます。
しかし、日米の金利差は依然として大きく、短期的にはドル買い・円売りを支えています。
そこへ24日、片山財務相が「日米協調介入以降のプリンシプルは生きている」と発言しました。
この発言は市場にとって明確な警告です。
ドル円158円台は、単なるテクニカルな節目ではなく、
米国の強いファンダメンタルズ
対
日本当局の円安けん制
という二つの力がぶつかる場所になっています。
今後のドル円では、158.50円前後を突破できるかが短期的な焦点になります。
突破すれば159円、160円が視野に入ります。
しかし、その一方で介入警戒は一段と高まるでしょう。
反対に157円を明確に割り込めば、156円台まで調整する可能性があります。
そして今回の相場で忘れてはいけないのが、米国経済の強さが続くかどうかです。
PMIが一時的な上振れなのか、それとも米国経済の再加速を示すものなのか。
ここが今後のFRB政策を左右します。
米国の経済指標が強ければ、追加利上げ観測が強まり、ドル円には上昇圧力がかかります。
逆に今後の雇用、消費、物価関連指標が弱くなれば、追加利上げ観測は後退し、ドル円にも調整圧力がかかります。
さらに原油価格も重要です。
原油価格が上昇すればインフレ懸念が強まり、FRBの金融引き締めが長期化する可能性があります。
一方、原油価格が下落すればインフレ圧力が弱まり、米金利低下を通じてドル高が一服する可能性があります。
9月24日の為替市場は、まさにこうした複数の材料が同時に動いていました。
現在のドル円は、
「日銀が利上げしたから円高」
でも、
「米国が利上げしたからドル高」
でも説明しきれません。
米国の景気、インフレ、長期金利、日本の金融政策、そして為替介入。
これらすべてを組み合わせて見る必要があります。
特に158円台では、ファンダメンタルズによるドル買いと、政策による円買いが衝突しやすくなっています。
9月後半の為替市場は、ドル円にとって極めて重要な局面です。
米10年債利回りが5%台を維持するのか。
FRBが追加利上げへ向かうのか。
日銀が次回以降の利上げをどこまで前倒しできるのか。
そして日本政府が実際にどこまで円安へ対応するのか。
この4点が、158円から160円へ向かうのか、それとも156円台へ調整するのかを左右することになります。
9月24日は、ドル円が158円台を再び試す一方で、日本当局が明確に警戒姿勢を示した一日でした。
今後は「円安だからドルを買う」という相場ではなく、米金利と日本当局の対応を同時に確認する相場へ移行したと考えることが重要でしょう。

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