【2026年9月1日|為替市場ファンダメンタル分析レポート】
ドル円160円台へ再上昇――日米が「円相場の安定」で再協調、しかし米利上げ観測と原油高がドルを押し上げる
2026年9月1日の為替市場は、8月末から続く**「ドル円160円攻防戦」**がさらに激しくなる一日となった。
前日の8月31日にはドル円が一時160円20銭付近まで上昇したものの、160円台を維持できず、159円47銭前後まで反落していた。
ところが9月1日の東京市場では、朝方に159円59銭付近まで下落した後、ドルの買い戻しが優勢となり、夕方には再び160円台を回復した。9月1日の市場では、ドル円が160円付近で底堅く推移し、欧米市場では160円台前半へ上昇する場面も見られた。
ドル高を支えた最大の材料は、先週末から続くウォーシュFRB議長のタカ派姿勢である。
FRBが9月に利上げするとの観測は、ウォーシュ議長の発言前には約35%だったものが、その後急速に上昇し、9月1日には約68%まで高まったと報じられている。
一方、日本側では円安に対する警戒感が強まっている。
G20財務相・中央銀行総裁会議の場で、片山財務相とベッセント米財務長官が会談し、日米が円相場の「秩序ある動き」を確保するため、引き続き協調していくことを確認した。
さらにベッセント長官は植田日銀総裁とも会談し、インフレ期待を安定させ、過度な為替変動を避けるために適切な金融政策を行う重要性を強調した。
つまり現在のドル円は、
FRBの利上げ観測によるドル高
と
日銀の追加利上げ・日米協調による円高圧力
が真正面からぶつかっている。
さらに米国とイランの軍事衝突が再燃し、原油価格が上昇。
原油高によってインフレ懸念が再び強まり、世界的な債券売りと金利上昇を招いている。
9月1日の市場は、単純な「月初のドル買い」ではない。
金融政策・為替介入・G20・原油・米雇用統計という複数の材料が同時に動き始めた、9月相場の本格的なスタート地点
なのである。
1.9月初日からドル円は160円台へ
9月1日のドル円は、朝方には159円59銭付近まで下落した。
8月31日に160円20銭付近まで上昇したものの、その後159円47銭前後まで反落していたため、東京市場のスタート時点では、
「160円突破は一旦失敗した」
という見方も出ていた。
しかし、そこからドル買いが強まった。
月末にかけてのポジション調整で売られたドルを買い戻す動きに加えて、米国の金利上昇やFRBの利上げ観測がドルを支えた。
その結果、ドル円は夕方に160円を回復した。
つまり9月1日の値動きは、
159円50銭台まで下落
↓
ドル買い
↓
160円回復
という流れだった。
これは非常に重要だ。
なぜなら、前日のように160円を一度突破してから反落したのではなく、今度は159円台で買いが入り、再び160円へ戻ったからである。
市場の中に、
「160円より下ではドルを買いたい」
という需要が存在していることを示している。
2.160円が「上値抵抗線」から「下値支持線」へ変わるのか
ドル円を見るうえで、9月1日の最大のポイントはここだ。
これまで160円は、
「突破しても介入が怖い上値抵抗線」
だった。
しかし9月1日に160円を再び回復したことで、今度は、
「160円を維持できるか」
が重要になった。
もし今後、
160円突破
↓
159円80銭付近まで調整
↓
再び160円突破
という動きを繰り返すなら、市場の心理は徐々に変化する。
160円が、
「売る場所」
から
「買う場所」
へ変わっていく可能性がある。
そうなると、161円、162円と上値を試す展開も見えてくる。
3.しかし160円には政策当局の警戒がある
一方で、160円が簡単に突破できない最大の理由がある。
それが、
為替介入への警戒感
だ。
7月31日には、日本と米国が異例の協調による円買い介入を実施した。
この介入によってドル円は一時163円99銭付近から急落し、155円台まで円高が進んだ。
しかし、その効果は長続きせず、8月末には再び160円近辺まで戻ってきた。
つまり市場からすると、
「160円を超えれば介入があるかもしれない」
という警戒と、
「介入してもドル円は戻ってくる」
という経験の両方が存在している。
これが非常に難しい。
4.日米財務相が再び「円相場」で協調
9月1日に最大のニュースとなったのが、
日米が円相場について再び協調姿勢を確認したこと
である。
片山財務相とベッセント米財務長官がG20の場で会談し、円相場の秩序ある動きが世界の金融市場の安定に重要だとの認識を共有した。
片山財務相は、先月の日米協調介入についても、G7などの国際的な合意に沿ったものだったと説明した。
これは市場に対して、
「7月31日の協調介入は一度限りの特殊な対応ではない」
というメッセージを送っている可能性がある。
もちろん、160円になったから即座に介入するという意味ではない。
しかし、
「必要であれば再び日米で協調する」
という選択肢が残されていることは間違いない。
5.ベッセント氏は「円安を放置しない」
ベッセント米財務長官は8月末から一貫して、日本政府と日銀が円高につながる措置を講じると確信しているとの発言を繰り返している。
9月1日には植田日銀総裁とも会談。
米財務省によると、ベッセント長官は、
- インフレ期待を安定させる金融政策
- 過度な為替変動の回避
- 円の大幅な過小評価への対応
を支持する姿勢を示した。
これはかなり強いメッセージだ。
なぜなら、米財務長官が日本の金融政策について明確に関心を示しているからだ。
6.日銀は9月利上げをほぼ織り込まれている
市場では、9月17~18日に開催される日銀金融政策決定会合で、政策金利が現在の1%から1.25%へ引き上げられるとの期待が強まっている。
ロイターによれば、市場では9月利上げがほぼ織り込まれている。
さらにベッセント長官の発言によって、
「9月に利上げするかどうか」
から、
「9月利上げ後、日銀はどの程度のペースで利上げするのか」
へ、市場の関心が移り始めている。
ここが重要だ。
7.日銀が「四半期ごとの利上げ」に動く可能性
現在の市場で浮上しているのが、
日銀がより速いペースで利上げする可能性
である。
ロイターは、9月利上げに加えて、その後もより積極的に利上げする可能性が意識されていると報じている。
仮に日銀が、
9月利上げ
↓
12月利上げ
↓
2027年春にも利上げ
というペースに移行するなら、円のファンダメンタルズは大きく変わる。
これまでの円安の最大要因は、
日米金利差
だった。
しかし日銀が継続的に利上げするなら、
日米金利差の縮小
が進む。
その場合、ドル円の上値は徐々に重くなっていく。
8.日本10年国債利回りが3%へ
9月1日、日本の10年国債利回りは、
3%
に到達した。
これは1996年以来の高水準とされる。
日本の長期金利が3%まで上昇することは、為替市場にとって非常に大きな意味を持つ。
これまでの日本は、
「低金利の国」
というイメージが強かった。
しかし、
10年国債3%
という数字が現実になると、
日本の金融環境そのものが変わっている
と市場が認識する。
これは中長期的には円高材料になる。
9.ただし「日本金利上昇=必ず円高」ではない
注意したいのは、
日本の金利が上がれば必ず円高になるわけではない
ということだ。
なぜなら米国の金利も上昇しているからである。
9月1日の米10年債利回りは上昇し、米国債市場も売られた。
原油価格上昇によるインフレ懸念に加え、FRBの利上げ観測が強まっているためだ。
つまり、
日本10年金利↑
米10年金利↑
という状態になっている。
この場合、
金利差が思ったほど縮小しない
可能性がある。
だからドル円も簡単には下落しない。
10.FRB利上げ観測は68%まで上昇
9月1日のドル円を支える最大の材料は、やはりFRBである。
ウォーシュFRB議長はジャクソンホールで、インフレが十分に低下しなければFRBには「やるべき仕事がある」との姿勢を示した。
これを受け、9月利上げの織り込みは、
35%前後 → 68%
へ上昇した。
この変化は非常に大きい。
市場はわずか数日前まで、
「FRBは利下げするのではないか」
と考えていた。
ところが現在は、
「FRBは利上げするかもしれない」
という状態になった。
金融政策の方向性が180度近く変わっている。
11.米国のインフレに原油高が追い打ち
さらに9月1日には、米国とイランの軍事衝突が再燃。
トランプ大統領がさらなるイラン攻撃を警告したこともあり、原油価格が上昇した。
原油高はインフレに直結する。
原油価格上昇
↓
ガソリン価格上昇
↓
輸送費上昇
↓
企業コスト上昇
↓
商品・サービス価格上昇
という流れが起こる。
FRBにとっては非常に厄介な状況だ。
12.WTI原油は86~87ドル台
9月1日の市場ではNY原油先物WTIが一時87ドル台まで上昇し、86ドル台でも高止まりしていた。
原油価格がこの水準で定着すれば、米国のインフレ見通しは簡単には改善しない。
その場合、
FRBの利上げ観測がさらに強まる
可能性がある。
これはドルにとって強い材料だ。
つまり、
中東情勢悪化 → 原油高 → インフレ → FRB利上げ → ドル高
という新しいドル高ルートが形成されつつある。
13.9月1日の米ISM製造業景況指数は54.6
9月1日に発表された米8月ISM製造業景況指数は、
54.6
だった。
7月の55.6から低下し、市場予想を下回ったものの、50を上回る状態を維持している。
つまり、
米製造業は拡大圏にある
ということになる。
数字そのものは予想より弱かった。
そのため発表直後はドル買いがやや後退した。
しかし50を大きく下回っているわけではない。
米経済の基調が崩れていることを示す数字でもない。
したがって、ドル円の下落材料としては限定的だった。
14.JOLTS求人件数も注目された
9月1日には米7月JOLTS求人件数も発表された。
この数字は市場予想を下回った。
つまり米国の労働市場には、引き続き減速の兆候が見られている。
ここが現在のFRB政策の最大の矛盾だ。
インフレは強い。
しかし、
雇用は弱くなりつつある。
FRBとしては、
インフレを抑えるためには利上げしたい。
しかし雇用市場が悪化しているなら、利上げは景気をさらに冷やす。
この判断が非常に難しい。
15.今週最大のイベントは米雇用統計
そして今週最大のイベントが、
9月4日の米8月雇用統計
である。
ロイターの市場予想では、非農業部門雇用者数は、
+5万6000人
程度と見込まれている。
かなり低い数字だ。
つまり市場は、
「米雇用市場は強くない」
と見ている。
この状態で雇用統計が予想を上回れば、FRB利上げ観測はさらに強まる。
逆に予想を大きく下回れば、利上げ観測は一気に後退する。
16.雇用統計が強かった場合
もし8月雇用統計が、
+10万人
+15万人
など、予想を大幅に上回った場合。
市場は、
「米国経済はまだ強い」
と判断する。
さらに、
平均時給↑
失業率↓
となれば、FRBが利上げする可能性は一段と高くなる。
その場合、
米10年債利回り↑
↓
ドル買い↑
↓
ドル円160円突破
↓
161円台
というシナリオが考えられる。
17.雇用統計が弱かった場合
一方で、
雇用者数が予想を大きく下回る。
失業率が上昇する。
平均時給も鈍化する。
この3つが重なれば、FRB利上げ観測は大きく後退する。
そうなれば、
米金利↓
ドル↓
ドル円↓
という流れになる。
特に159円を割り込めば、
158円50銭
↓
158円
付近までの調整が意識される。
18.9月11日の米CPIも重要
雇用統計だけではない。
9月11日には米8月CPIが予定されている。
9月15~16日のFOMCを直前に控えた重要指標となる。
つまり9月のドル円は、
9月4日=雇用
↓
9月11日=CPI
↓
9月15~16日=FOMC
という流れになる。
さらに、
9月17~18日=日銀会合
が控えている。
これは為替市場にとって極めて重要な日程だ。
19.FRBと日銀がほぼ同時に動く
9月の為替市場が面白いのは、
FRBと日銀がほぼ同じタイミングで金融政策を変更する可能性がある
ことだ。
FRBは利上げ。
日銀も利上げ。
この二つが実現すれば、ドル円は非常に複雑な値動きになる。
市場は、
「どちらの利上げ幅が大きいか」
「今後の利上げペースはどちらが速いか」
を比較するようになる。
20.ドル円は「日米金利差」から「利上げペース差」へ
今後のドル円を見るうえで重要なのは、
単純な金利差ではなく、利上げペースの差
である。
例えば、
FRBが9月に利上げする。
日銀も9月に利上げする。
この場合、
「両方利上げだからドル円は動かない」
とは限らない。
もし市場が、
FRB=今後も利上げ
日銀=9月だけ
と判断すれば、ドル円は上昇する。
逆に、
FRB=9月だけ
日銀=9月・12月・2027年春
と判断すれば、円高になる可能性がある。
21.G20で日本の財政政策もテーマに
9月1日のG20では、為替だけでなく日本の財政政策も注目された。
ベッセント長官は、日本が大規模な財政刺激策を続けることに対して慎重な姿勢を示している。ロイターは、米国側が日本に対して、従来型の大規模刺激策からの転換を促していると報じている。
これは為替市場にとって重要だ。
なぜなら、
財政拡大
↓
国債発行増加
↓
国債利回り上昇
↓
財政への不安
というルートがあるからだ。
日本の10年国債利回りが3%まで上昇していることもあり、財政と金融政策は切り離せない問題になっている。
22.日本国債売りと円売りの組み合わせに注意
日本の国債利回りが上昇する場合、通常は円高要因になる。
しかし、財政不安が原因で金利が上昇している場合は話が違う。
投資家が、
「日本政府の財政運営に不安がある」
と考えれば、
国債売り
+
円売り
が同時に起こる可能性がある。
これは日本にとって最も避けたいシナリオだ。
だからこそ、日米財務当局が円相場と債券市場を同時に注視している。
23.G20では中国問題も焦点
今回のG20では、中国の貿易黒字や輸出依存も大きなテーマになった。
米国は中国に対し、輸出依存を減らし、国内消費を増やすよう求めている。
中国の7月輸出は前年比で23.9%増加したと報じられている。
中国の輸出増加は世界の貿易バランスに影響する。
米国との貿易摩擦が再び強まれば、
中国人民元
豪ドル
NZドル
などにも影響する。
そしてリスク回避が強まれば、
円買い
につながる可能性もある。
24.豪ドル円は114円台
豪ドル円は9月1日も114円台を中心に推移している。
市場予想レンジは114円10銭~114円90銭程度とされていた。
豪ドルにとっては、
- 中国景気
- RBA金融政策
- 原油・資源価格
- 世界的なリスク選好
が重要だ。
原油高は資源国通貨にとって一定の支援材料になる。
しかし中東情勢の悪化が株式市場のリスク回避を招けば、豪ドルは売られやすい。
そのため豪ドル円は、
原油高による豪ドル買い
と
リスク回避による円買い
の綱引きになっている。
25.ユーロ円は185~186円台
ユーロ円は9月1日も185円台を中心に推移している。
9月1日の予想レンジは184円90銭~186円10銭とされていた。
欧州でもインフレと金利上昇がテーマになっている。
欧州の国債利回りも上昇しており、世界的な債券売りが進んでいる。
欧州の場合、
エネルギー価格上昇
↓
インフレ懸念
↓
ECB利上げ観測
という構図になっている。
ただし欧州経済が弱ければ、ECBは積極的に利上げできない。
そのためユーロ円も、
欧州金利上昇
と
円高リスク
の双方を意識する必要がある。
26.ポンド円は216円前後
ポンド円は9月1日も216円前後を中心に推移した。
市場では215円70銭~217円20銭程度が意識されている。
英国ではインフレが依然として重要テーマ。
英国債利回りも世界的な債券売りの影響を受けている。
ただし、英国の景気減速が強まれば、利上げ観測が後退する。
その場合、
ポンド売り+円買い
によってポンド円が下落する可能性がある。
27.原油高は「ドル高」と「円安」の両方を生む
現在の為替市場で見逃せないのが原油だ。
原油高は、
米国にとってはインフレ要因
であり、
日本にとっては輸入コスト上昇要因
である。
つまり原油高は、
米国→FRB利上げ観測→ドル高
日本→貿易収支悪化→円安
という二つの方向からドル円を押し上げる可能性がある。
そのため中東情勢がさらに悪化すると、ドル円160円台定着の材料になる可能性がある。
28.一方で「有事の円買い」もある
しかし、地政学リスクだから必ずドル円が上昇するわけではない。
戦争が激化すれば、
リスク回避
が強まる。
その場合、
株売り
↓
安全資産買い
↓
円買い
という動きになることもある。
したがって中東情勢がさらに悪化した場合、
原油高によるドル高
と
リスク回避による円高
のどちらが勝つかを見る必要がある。
29.金価格は金利上昇が重し
金価格も9月相場を見るうえで重要だ。
米10年債利回りが上昇すれば、利息を生まない金の相対的な魅力が低下する。
先週末にはウォーシュ議長のタカ派発言を受け、金価格が大幅に下落した。
今後も米金利が上昇するなら、金価格には下押し圧力がかかる可能性がある。
これは逆に、
「市場がインフレよりも金利上昇を重視している」
ことを示す材料になる。
30.株式市場は金利上昇を警戒
9月1日も世界的な株式市場では慎重な動きが見られた。
米国債利回り上昇。
日本国債利回り3%。
欧州国債利回り上昇。
これらが同時に進むと、
株式のバリュエーションに逆風
となる。
特にAI・半導体など高PER銘柄は金利上昇に弱い。
そのため株価が大きく下落すれば、リスク回避で円が買われる可能性がある。
31.ドル円の第一シナリオ――161円台へ
現在のドル円について、最も強いシナリオは、
160円台定着→161円台
である。
条件は、
- 米8月雇用統計が予想を上回る
- 米CPIが強い
- FRB利上げ観測が70%以上へ上昇
- 米10年債利回りが4.8%台へ上昇
- 中東情勢がさらに悪化
- 日銀の利上げペースが慎重
となること。
この場合、
160円50銭
↓
161円
↓
162円
が意識される。
32.第二シナリオ――160円で上値を抑えられる
次のシナリオは、
160円台を維持できず159円台へ戻る
展開。
これは、
- 米雇用統計が弱い
- 米CPIが鈍化
- 米金利低下
- 日銀利上げ観測上昇
- 日米協調介入警戒
などが重なるケースだ。
この場合、
159円
↓
158円50銭
↓
158円
が下値ターゲットになる。
33.第三シナリオ――160円を中心とした巨大レンジ
最も現実的なのが、
158~162円程度の巨大レンジ
になるケースだ。
FRBは利上げ観測。
日銀も利上げ観測。
米金利は高い。
日本金利も上昇。
介入警戒もある。
このように上下双方の材料が存在している。
そのため、どちらか一方向へトレンドが出にくい可能性がある。
34.9月1日時点の重要価格
ドル円の重要価格を整理すると、
上値
160円00銭
心理的節目。
ここを維持できるかが重要。
160円50銭
明確に突破すれば、上昇モメンタムが強まる可能性。
161円
次の重要なターゲット。
162円
中期的な上値目標。
下値
159円50銭
9月1日に意識された水準。
159円00銭
心理的節目。
158円50銭
重要なサポート。
158円00銭
ここまで下落すると、ドル高トレンドの再評価が必要になる。
35.160円を超えた後の「160円の意味」が変わる
9月1日の最も重要なポイントは、
160円を超えた後、再び160円を回復したこと
だ。
これは単なる数字ではない。
市場心理が、
「160円は高すぎる」
から、
「160円でも買いたい」
へ変わりつつある可能性を示している。
もちろん、まだ完全に定着したとは言えない。
しかし、160円割れで買い戻しが入るようになれば、
160円が下値支持線になる可能性
が高まる。
36.一方で「160円=介入」はまだ成立していない
ここも重要だ。
日米は9月1日に円相場の安定に向けて協調を続ける方針を確認した。
しかし、ベッセント長官は最近の円の動きを「かなり抑制されている」と評価している。
つまり、
現在の160円近辺の動きが、直ちに介入対象となるわけではない。
市場の動きが急激になった場合や、無秩序な動きと判断された場合に政策対応が強まる可能性がある。
したがって、
水準だけでなくスピードを見る
ことが重要だ。
37.9月相場は「スピード」に注目
ドル円が、
159円
↓
160円
↓
161円
と数日で急上昇する場合。
介入警戒が強まる。
逆に、
159円
↓
159円50銭
↓
160円
と時間をかけて上昇する場合。
当局は比較的対応しやすい。
そのため、
ドル円の絶対水準だけではなく、1日あたりの変動幅を見る
必要がある。
38.米雇用統計までドル円は底堅い可能性
9月4日の雇用統計までは、
ドル円は160円を中心に底堅い
可能性が高い。
なぜなら市場が、
「FRB利上げの可能性」
をかなり織り込んでいるからだ。
ISMが54.6とやや弱かったものの、50を上回った。
JOLTSは弱かった。
しかし、まだ米経済全体が崩れたとは言えない。
したがって雇用統計までは、
ドル買い優勢ながら、160円台では介入警戒
という展開になりやすい。
39.雇用統計後は一気に動く可能性
9月4日の雇用統計は、
現在のドル円のバランスを一気に崩す可能性
がある。
強ければ161円。
弱ければ158円。
このくらいの値幅を想定しておく必要がある。
特に現在は、
「FRB利上げ観測68%」
という水準まで市場期待が上がっている。
そのため、強い数字が出た場合のドル買い余地は大きい。
40.9月1日の総括――「160円をめぐる戦い」が新ステージへ
2026年9月1日の為替市場を一言で表すなら、
「ドル円160円攻防戦が、新しいステージに入った」
と言える。
8月31日には160円20銭まで上昇した後、159円台へ反落した。
しかし9月1日には159円59銭付近から反発し、再び160円台を回復した。
これはドル円にとって非常に重要な動きだ。
一方で、日米財務当局はG20で円相場について再び協調姿勢を確認した。
片山財務相は、秩序ある円相場が世界の金融市場の安定に重要だと強調。
ベッセント財務長官も植田日銀総裁と会談し、適切な金融政策と過度な為替変動の回避を支持した。
つまり、
160円を超えれば何でもドル高になる
という環境ではない。
むしろ、
160円を超えるほど、政策当局の存在感が強くなる。
ここが現在のドル円の最大の特徴だ。
41.9月の本当のテーマは「FRB vs 日銀」
9月相場を考えるうえで、最も重要なのは、
FRBと日銀のどちらがより速く金融政策を引き締めるのか
である。
FRBはインフレを警戒。
日銀も円安とインフレを警戒。
米国では原油高がインフレ懸念を強める。
日本では円安が輸入物価を押し上げる。
両国とも利上げ材料を抱えている。
だからこそ、
ドル円が160円を超えても、一方向へ走り続けるとは限らない。
42.9月1日時点で最も注目したい6つの材料
最後に、今後の為替市場で特に重要な材料を整理しておきたい。
① 米8月雇用統計
9月4日。
現在の最大イベント。
② 米8月CPI
9月11日。
FRBの利上げ判断を左右する。
③ FOMC
9月15~16日。
9月利上げが現実になるのかが焦点。
④ 日銀金融政策決定会合
9月17~18日。
追加利上げが最大テーマ。
⑤ 日米協調介入
160円台での円の動きが急激になれば、再び市場のテーマになる。
⑥ 中東情勢と原油
原油価格が80ドル台後半で定着するかが、世界のインフレと金利に影響する。
43.まとめ――160円の先に161円があるのか、それとも158円なのか
2026年9月1日の為替市場は、
「160円を超える力」と「160円を抑える力」が同時に強まった日
だった。
ドル円を押し上げているのは、
- FRB利上げ観測
- 米長期金利上昇
- 原油高
- 中東情勢悪化
- 米国経済の底堅さ
である。
一方、ドル円の上値を抑えているのは、
- 日銀追加利上げ観測
- 日本の長期金利上昇
- 日米財務当局の協調
- 為替介入警戒
- 円安是正への米国側の圧力
だ。
この二つの力が拮抗している。
だからこそ現在のドル円は、
160円付近から離れにくい。
しかし、これは「動かない相場」という意味ではない。
むしろ逆だ。
次の経済指標が出た瞬間に、大きく動く可能性を持った相場
である。
特に9月4日の米雇用統計は重要だ。
雇用が強ければ、
FRB利上げ観測↑ → 米金利↑ → ドル↑ → ドル円161円
という流れが期待される。
一方、雇用が弱ければ、
FRB利上げ観測↓ → 米金利↓ → ドル↓ → ドル円159円割れ
という展開もあり得る。
さらに9月11日のCPI、9月15~16日のFOMC、9月17~18日の日銀会合が続く。
つまり9月の為替市場は、
「160円を突破できるか」
だけを見る相場ではない。
本当に見るべきなのは、
「160円を超えた後、FRB・日銀・財務省のどこが次に動くのか」
である。
7月31日の協調介入によって一度は大きく円高へ動いたドル円だったが、約1カ月で再び160円近辺まで戻ってきた。
この事実は、介入だけでは円安の根本的な流れを変えることが難しいことを示している。
だからこそ現在、市場は日銀の利上げに注目している。
そして米国側も、日本の金融政策正常化を強く意識している。
一方、米国ではFRBがインフレ再燃を警戒し、利上げ観測が急速に高まっている。
米国は金利を上げる。
日本も金利を上げる。
この異例の構図が、2026年9月のドル円を動かす。
9月1日時点では、
160円はまだ完全な下値支持線ではない。
しかし、
160円を割ったところではドル買いが入り始めている。
ここが非常に重要だ。
今後、160円を明確に上抜け、160円台で数日間推移することができれば、
160円→161円→162円
というドル高シナリオが現実味を増す。
逆に159円を明確に割り込み、158円50銭も下抜けるなら、
「160円突破は一時的だった」
と市場が判断し、ドル円は再び下落トレンドへ転換する可能性がある。
9月1日は、その分岐点に立った一日だった。
そして9月相場は始まったばかりだ。
FRBの利上げか、日銀の利上げか。
米金利上昇か、日本金利上昇か。
ドル高か、円高か。
さらに、
160円突破か、160円反落か。
これから発表される米雇用統計とCPI、そして9月の日米金融政策が、その答えを決めることになる。
2026年9月の為替市場は、今年の中でも特に重要な一カ月になる可能性が高い。
そして9月1日の市場は、その本格的な戦いの幕開けとなった。

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