【9月25日|ファンダメンタル分析レポート】
ドル円159円突破後に失速。円安けん制が強まる中、160円を前に市場は次の局面へ
2026年9月25日の為替市場は、今週のドル高・円安の流れに対して、明確な調整が入る一日となりました。
前日のニューヨーク市場では、ドル円が一時159.04円まで上昇。
9月2日以来およそ3週間ぶりの高値を更新し、いよいよ160円という大きな節目が視野に入っていました。
しかし25日の東京市場では、この流れが一転します。
ドル円は朝方の158.95円を高値に下落し、東京時間には一時157.93円台まで円高・ドル安が進みました。15時時点では158.26円前後となり、前日17時時点と比べると小幅なドル高水準にとどまっています。([turn0search0])
今回の円高を引き起こした最大の材料は、日本政府による円安けん制です。
片山財務相は25日、日米首脳会談でトランプ米大統領から円安への懸念が示されたことを明らかにしました。
これは市場にとって非常に大きな意味を持ちます。
日本側だけではなく、米国側からも円安に対する問題意識が示されたことで、
「ドル円が160円へ向かって上昇した場合、日米両国の当局がどのように対応するのか」
という政策リスクが改めて意識されたからです。([turn0search3])
一方で、ドル円が大きく崩れきれない理由もあります。
米国では長期金利が5%台に乗っており、米国経済も依然として底堅い。
24日の米10年債利回りは5.20%で終了し、一時は5.2209%前後まで上昇。2007年以来およそ19年ぶりの高水準となりました。([turn1search4])
つまり現在のドル円は、
「米国の強いファンダメンタルズ」
と
「日米当局による円安けん制」
という二つの力が正面からぶつかっています。
9月25日は、その構図がはっきりと表れた一日でした。
159円を突破した翌日に、なぜ円高になったのか
まず確認したいのが、前日のドル円の値動きです。
24日のニューヨーク市場でドル円は5日続伸。
終値は158.86円。
その後、0時30分過ぎには159.04円まで上昇しました。([turn1search4]
上昇の背景には、米国の強い経済指標とFRB高官のタカ派的な発言がありました。
米国の9月PMIは製造業57.0、サービス業58.7、総合58.4と非常に強い内容。
さらに米新規失業保険申請件数は19.7万件と市場予想を下回り、8月の新築住宅販売件数も前月比6.4%増の68.4万件となりました。([turn1search4]
経済が強い。
雇用も急激には悪化していない。
住宅市場も底堅い。
そしてインフレ圧力も残っている。
この組み合わせが、FRBによる追加利上げ観測を強めました。
結果として米国債利回りが上昇し、ドルが買われたわけです。
ところが25日になると、日本側から強い円安けん制が入りました。
これによって市場の焦点が、
「米国の金利がどこまで上がるか」
から、
「日本当局がどこまで円安を許容するのか」
へ移ったのです。
トランプ大統領からも円安への懸念
25日の市場で特に重要だったのが、片山財務相による発言です。
片山財務相は、日米首脳会談でトランプ米大統領から円安への懸念が示されたと説明しました。
さらに、日銀とは引き続き緊密に連携し、物価目標の安定的な実現に向けた金融政策を期待するとの姿勢も示しています。([turn0search3]
この発言を受けてドル円は円高方向へ反応しました。
市場参加者にとって重要なのは、単なる「日本政府の口先介入」ではありません。
米国側からも円安に対する懸念が示されたという点です。
これまでのドル円では、
米金利上昇
↓
ドル買い
↓
円安
という構図が非常に強く意識されていました。
しかし今後は、
ドル円上昇
↓
日本政府の警戒
↓
米国側からも円安への懸念
↓
為替介入警戒
という別の経路が働きます。
これが158~159円台でのドル買いを難しくする可能性があります。
「介入警戒」が160円目前で急速に高まる
ドル円にとって160円は非常に大きな心理的節目です。
しかし現在は、単なる心理的節目ではありません。
7月31日には日米による協調介入が実施されており、その後も日本当局は円相場の急激な変動を警戒しています。
さらに9月18日には日銀がレートチェックを行ったと報じられています。
レートチェックそのものは為替介入ではありません。
しかし市場では、当局が為替市場を注視していることを示す行動として受け止められます。
そして24日には片山財務相が、日米協調介入以降のプリンシプルが生きているとの趣旨を説明していました。
その翌日には、トランプ大統領から円安への懸念が示されたことが明らかになりました。
この流れを考えると、160円という水準に近づくほど市場の介入警戒が強くなるのは自然です。
したがって、ドル円が159円を突破したからといって、そのまま160円、161円、162円と一直線に進むとは限りません。
むしろ、
「上昇するほど当局リスクが高まる」
という相場になっています。
米10年債5.20%がドルを支える
それでも25日のドル円が一気に155円や156円まで下落しなかった理由があります。
最大の支えは米金利です。
24日の米10年債利回りは5.20%。
一時は5.2209%まで上昇し、2007年以来の高水準を記録しました。([turn1search4]
これは非常に大きな数字です。
米国の長期金利が5%を超えているということは、ドル資産を保有する魅力が高い状態が続いていることを意味します。
もちろん為替は金利だけで決まるわけではありません。
しかし、
米10年債5.20%
という水準は、ドル円を支える重要なファンダメンタルズです。
そのため25日は円高方向へ動きながらも、158円近辺で買い戻される場面がありました。
実際、25日午前には158.33円まで下落したものの、その後158.50円前後まで戻す場面がありました。([turn1search2]
米国経済は依然として強い
ドル高を支えているのは金利だけではありません。
米国経済そのものが底堅いことも重要です。
23日に発表された9月PMIでは、
製造業PMI:57.0
サービス業PMI:58.7
総合PMI:58.4
と非常に強い結果となりました。
さらに24日に発表された新規失業保険申請件数は19.7万件。
市場予想を下回りました。
新築住宅販売件数も68.4万件となり、前月から6.4%増加しています。([turn1search4]
つまり、現在の米国では、
景気が強い
↓
雇用が急速には悪化していない
↓
インフレ圧力も残る
↓
FRBは追加利上げを検討しやすい
という環境があります。
実際、24日にはクリーブランド連銀のハマック総裁やフィラデルフィア連銀のポールソン総裁から、インフレ抑制のため追加利上げが必要になる可能性を示す発言が出ました。([turn1search4]
このため市場では、
「FRBの利上げは16日の1回で終わらないのではないか」
という見方が強まっています。
日銀との金融政策の違い
ここで日銀との比較が重要になります。
日銀は18日に政策金利を1.25%へ引き上げました。
これは日本にとって大きな金融政策の転換です。
しかしFRBの政策金利は3.75~4.00%。
さらに米10年債利回りは5%台です。
日本の10年国債利回りも3.07%前後まで上昇しており、1996年以来の高水準となっています。
つまり日本の金利も確実に上がっています。
それでも、
米10年債:約5.20%
日本10年債:約3.07%
という差があります。
この金利差がドル円の下支えになっています。
したがって、円高を本格的に進めるためには、
日銀の追加利上げ観測
だけでなく、
FRBの追加利上げ観測の後退
や
米長期金利の低下
が必要になります。
原油価格も再び重要テーマ
25日の円高を考えるうえで、原油価格も見逃せません。
24日のWTI原油先物は94.61ドルで終了し、前日比2.45ドル上昇しました。([turn1search4]
中東情勢、とりわけホルムズ海峡の動向が原油価格を大きく動かしています。
原油高は米国のインフレ圧力を高める可能性があります。
そうなればFRBは金融緩和へ転じにくくなり、ドル高要因になります。
一方、イランと米国の間でホルムズ海峡の再開などについて協議が進んでいるとの報道が出れば、原油価格が急落し、米金利が低下する可能性があります。
24日夜にも米国とイランがホルムズ海峡の再開などについて段階的合意を協議しているとの報道を受け、一時的に原油と米金利が伸び悩み、ドル円が158.60円台まで下落する場面がありました。([turn1search4]
つまり現在のドル円は、
中東情勢
↓
原油
↓
インフレ
↓
FRB
↓
米金利
↓
ドル円
という非常に長い連鎖でも動いています。
ユーロ円は180円台を維持
ユーロ円は25日の東京市場で180円台を中心に推移しました。
24日のニューヨーク終値は180.79円。
25日12時時点では180.20円まで下落し、その後も円買いの影響を受けました。([turn1search2]
ただし180円を大きく割り込むほどの円高にはなっていません。
これはドル円と同様、米金利上昇と円安基調がクロス円を支えているためです。
ユーロドルは25日12時時点で1.1372ドル。
24日のニューヨーク終値1.1380ドルから小幅なユーロ安でした。([turn1search2]
ユーロそのものが強いというより、円の動きによってユーロ円が高い水準を維持していると見る方が現在の市場構造には合っています。
ポンド円は209円前後
ポンド円は25日の東京市場で209円台を中心に推移しました。
午前には209.30円付近まで下落しています。([turn1news40]
英国ではインフレリスクが依然として意識されています。
25日にはBOEのブリーデン副総裁が、インフレリスクが増大する場合には利上げ対応がますます適切になるとの趣旨を示しました。([turn0search3]
これはポンドにとって一定の支援材料です。
ただし、円安けん制が強まる局面ではポンド円も上値が抑えられます。
ポンドそのものの金利魅力と、円の政策リスクを分けて考える必要があります。
豪ドル円は110円台へ下落
豪ドル円は25日の東京市場で110円台前半まで下落。
午前には110.05円付近まで下げました。([turn1news40]
これは前日の111円台から見ると比較的大きな調整です。
豪ドルには、24日に発表された豪州8月雇用統計の内容も重しとなっています。
雇用者数は増加したものの、失業率が4.6%まで上昇し、正規雇用が減少する一方で非正規雇用が増加しました。
そのため、RBAが積極的に金融引き締めを続けるとの期待が弱まり、豪ドルには売り圧力がかかっています。
25日の市場でも豪ドルは主要通貨の中で弱い部類に位置しました。([turn1news6]
NZドル円は89円台
NZドル円は25日、89円台を中心に推移しました。
朝方の水準は89.69円。
24日の終値89.41円からはやや円安・NZドル高でしたが、東京市場では円買いが強まりました。([turn1search1]
豪ドル同様、NZドルも米金利上昇の影響を受けやすい通貨です。
米国金利が5%台で推移すれば、NZドルの相対的な金利魅力が低下しやすくなります。
そのため、今後のNZドル円では円だけではなく米金利の動きにも注意が必要です。
カナダドル円は112円前後
カナダドル円は25日朝に112.09円。
24日の終値は112.16円でした。([turn1search1]
原油価格はカナダドルにとって重要な材料です。
24日はWTIが94ドル台まで上昇したため、カナダドルには一定の支援がありました。
ただし、中東情勢が緩和し原油価格が下落すれば、カナダドルには逆風になります。
カナダドル円は、
原油
+
米金利
+
円相場
の3点を同時に確認する必要があります。
スイスフラン円は191円台
スイスフラン円は25日朝の時点で191.41円。
24日の終値190.88円から上昇していました。([turn1search1]
その後は日本の円買いによって上値が抑えられています。
スイスフランは安全資産として意識される通貨ですが、現在の市場では円そのものが政策要因によって買われる可能性があります。
そのため、スイスフラン円についても一方的な上昇を想定することは難しくなっています。
南アランド円は9.6円台
南アランド円は25日朝に9.66円。
24日の終値9.67円から小幅な円高・ランド安となっています。([turn1search1]
南アランドは高金利通貨であり、円との金利差が大きいことが魅力です。
一方、米10年債利回りが5%を超える環境では、新興国通貨への資金流入が弱くなる可能性があります。
そのため、ランド円は日本の円安だけでなく、米国金利を確認することが重要です。
メキシコペソ円は9円を割り込む
メキシコペソ円は25日朝に8.96円。
24日の終値8.95円から小幅に上昇していました。([turn1search1]
しかし9円を明確に上回ることはできていません。
メキシコペソは高金利通貨として人気がありますが、米国金利が高止まりすると、米国との金利差が相対的に縮小することになります。
また、メキシコ中銀の金融政策も今後の重要材料です。
9月25日の主要通貨ペア
25日の市場水準を整理すると、以下のようになります。
ドル円:157.93~158.95円前後
ユーロ円:180.17~180.85円前後
ユーロドル:1.1370~1.1382ドル前後
ポンド円:209円台
豪ドル円:110.05円前後~111円台
NZドル円:89円台
カナダドル円:112円前後
スイスフラン円:190~191円台
南アランド円:9.6円台
メキシコペソ円:8.9円台
東京時間ではドル円158.25円、ユーロ円180.01円、ユーロドル1.1375ドルが15時時点の水準でした。([turn0search0]
今後のドル円は160円を前に「上昇と介入警戒」の綱引き
現在のドル円を考えるうえで、最も重要なのは160円です。
24日には159.04円まで上昇しました。
あと1円弱で160円です。
しかし、25日は日本政府だけでなく、米国側からも円安への懸念が示されたことが明らかになりました。
これによって市場の環境は少し変わりました。
これまでは、
米金利上昇
↓
ドル買い
↓
159円
という流れでした。
これからは、
米金利上昇
↓
ドル買い
↓
159~160円
↓
日本・米国当局の警戒
↓
介入リスク
という流れになります。
つまり160円に近づくほど、ドル買いのリスクとリターンのバランスが変化します。
157円台は重要なサポートへ
25日の値動きを見ると、158円台前半で買い戻しが入っています。
157.90円前後まで下落した後、158円台へ戻ったことから、短期的には157円台後半が重要なサポートとして意識されます。
ここを明確に割り込む場合、
157円
↓
156円台後半
↓
156円台前半
という調整が視野に入ります。
一方、158.90~159円を再び突破すれば、160円が改めて意識されます。
したがって現在のドル円は、
上:159円→160円
下:158円→157円
という二つの方向を確認する局面です。
来週はいよいよ米雇用統計へ
9月25日を終えると、9月相場も最終週へ向かいます。
来週の最大の材料の一つが10月2日に発表される米9月雇用統計です。
現在の米国ではPMIが強く、失業保険申請件数も低く、住宅販売も底堅い状態です。
この流れが雇用統計でも確認されれば、FRBの追加利上げ観測がさらに強まる可能性があります。
反対に雇用が急速に悪化すれば、追加利上げ観測が後退し、米金利低下を通じてドル円が調整する可能性があります。
したがって、来週はドル円にとって非常に重要な週になります。
まとめ
2026年9月25日の為替市場は、今週続いてきたドル高・円安に対して、明確な調整が入った一日でした。
前日の24日にはドル円が159.04円まで上昇。
米9月PMIの強さ、新規失業保険申請件数の低さ、新築住宅販売の増加、そしてFRB高官による追加利上げを示唆する発言などが重なり、米10年債利回りは5.20%まで上昇しました。
その結果、ドル円は約3週間ぶりの高値を更新しました。
しかし25日になると、状況が変わりました。
片山財務相が、日米首脳会談でトランプ米大統領から円安への懸念が示されたことを明らかにしたことで、市場では円安に対する政策対応への警戒が強まりました。
ドル円は158.95円から下落し、東京時間には157.93円台まで下落しました。
今回の値動きから見えてくるのは、現在のドル円が単純な「米金利上昇=ドル高」という相場ではなくなっているということです。
米国経済が強い。
FRBの追加利上げ観測がある。
米10年債利回りは5%台。
これらは明確なドル高材料です。
一方で、
日銀は1.25%へ利上げ。
日本政府は円安を強く警戒。
日銀によるレートチェックも報じられている。
そして米国側からも円安への懸念が示された。
これらは円高材料です。
つまり現在のドル円では、
「ファンダメンタルズはドル高」
と
「政策面では円高リスク」
が同時に存在しています。
この構造こそが、159円を突破したドル円が翌日に158円割れ寸前まで下落した理由です。
今後の最大のポイントは160円です。
米10年債利回りが5%台を維持し、米経済指標が強いままであれば、ドル円は再び159円台を試す可能性があります。
しかし160円に近づくほど、日本政府だけでなく米国側の円安警戒も意識され、為替介入への警戒感は強まるでしょう。
反対に米金利が低下し、米国経済指標が弱くなれば、ドル円は157円台から156円台へ調整する可能性があります。
特に来週は米雇用統計が控えています。
現在の米国経済の強さが雇用市場でも確認されるのか。
それとも、PMIなどで見えている強さが雇用市場には波及していないのか。
ここが次のドル円の方向を決める重要なポイントになります。
また、原油価格も無視できません。
WTIは24日に94.61ドルまで上昇しています。
中東情勢が緊迫化すれば原油高となり、米インフレ懸念を通じて米金利が上昇し、ドル円を押し上げる可能性があります。
一方、米国とイランの協議が進み、ホルムズ海峡の再開期待が高まれば原油価格が下落し、米金利低下を通じてドル円が調整する可能性があります。
つまり今後の為替市場では、
米雇用統計
米10年債利回り
原油価格
FRBの追加利上げ観測
日本政府の円安対応
この5つを同時に確認する必要があります。
9月25日は、ドル円が159円を目前にして一度大きく押し戻されたことで、相場の性質が変わり始めた可能性を示す一日でした。
米国の金利差を背景としたドル買いは依然として強い。
しかし、158~160円という水準では、当局の政策対応という別のリスクが急速に大きくなる。
この二つの力がぶつかる限り、ドル円は上昇しても一直線には進みにくく、反対に円高へ動いた場合も米金利が高い限り下値ではドル買いが入りやすいでしょう。
9月末のドル円は、まさにこの「ドル高のファンダメンタルズ」と「円高を促す政策リスク」の綱引きに入っています。
160円という数字だけを見るのではなく、その手前で米金利がどう動き、日本と米国の当局がどのようなメッセージを発するのか。
そこを丁寧に追うことが、9月末から10月にかけての為替市場を読み解くうえで最も重要になってくるでしょう。

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